Column

今春準々決勝敗退の横浜高の課題は?野手の総合力は県内No.1だが野手は爆発力、投手はエース以外の奮起がカギ

2023.05.18

今春準々決勝敗退の横浜高の課題は?野手の総合力は県内No.1だが野手は爆発力、投手はエース以外の奮起がカギ | 高校野球ドットコム
杉山 遥希

 今年の春季高校野球神奈川県大会は、2年連続で横浜東海大相模が関東大会を逃す結果となった。

 両校とも関東大会に出場できるほどの実力はあったと思う。ただ戦略ミスだったり、走攻守でも、まずさが少しでもあれば負けてしまうほど、神奈川県の各学校のレベルは高くなっている。良いことではあるが、常勝が求められる両校にとっては「悔しい春」となっただろう。改めて両校の課題を考えていきたい。

 準々決勝で敗退した横浜については、夏でも、優勝候補として期待されるほどの戦力はある。野手の総合力はハイレベルだ。

 冬場に打撃力を鍛え、県大会3回戦の桐光学園戦では5本塁打を放ったように、選手の能力は高い。それ以降、あまり得点ができなかったが、スイングの強さを見ても能力が低いわけではない。打席内でのアプローチなど、色々工夫する点はまだ残されているだろう。

 内野手は全員球際が強く、送球も強く、スピーディー。外野手は全員が強肩と、野球選手の総合力の高さは今年の神奈川ではNo.1。多くの選手が大学野球でも活躍できるのでは?と思わせる。野手ではいろんな打順を試していたが、控え選手でも能力の高さが感じられた。

 投手に目を向けると、エース・杉山 遥希投手(3年)は県内No.1左腕。今年の神奈川で杉山の球速を上回る投手がいても総合力で勝る投手はいない。

 ただ、気になったのは、すべての戦いが「全力」だった。もちろん公式戦なので、勝利を目指すことは当たり前だが、夏と比べて春は試すことができる。杉山以外の投手が先発してもすぐに状況が悪くなると、杉山に交代してしまっていた。勝つためには最善の方法であるが、もう少し、多くの投手に試練を与えて、それを乗り越えた経験があったら、もっと違ったかもしれない。春季大会で登板した青木 朔真投手(2年)、鈴木 楓汰投手(3年)と能力が高い投手もいる。

 ただ、打線はレベルアップしても、どんな状況でもカバーできるほどの爆発力がなかったため、杉山以外の投手を育てる余裕が春にはなかった側面がある。

 夏を見据えると、いきなり強豪校と戦う可能性もあり、杉山に頼らざるを得ない形になる。この不安要素を乗り越えるには、春までにはない要素で打ち勝つしかない。そして多くの投手が指揮官の期待に応える投球を見せ、投手陣に厚みをもたせることが必要だろう。

 最終的には、さすが横浜と思わせる戦力を整えることができるか注目したい。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.20

【春季京都府大会】センバツ出場の京都国際が春連覇!あえてベンチ外だった2年生左腕が14奪三振公式戦初完投

2024.05.20

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在31地区が決定、宮城では古川学園、仙台南、岩手では盛岡大附、秋田では秋田商などがシードを獲得

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉

2024.05.20

【岩手】花巻東、水沢商、盛岡誠桜、高田が8強入りして夏シードを獲得<春季大会>

2024.05.20

【秋田】横手清陵と本荘が8強入り、夏のシード獲得<春季大会>

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.17

「野球部や高校部活動で、”民主主義”を実践するには?」――教育者・工藤勇一さん【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.5】

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.19

【東海】中京大中京がコールド勝ちで17年ぶり、菰野は激戦を制して23年ぶりの決勝進出<春季地区大会>

2024.05.18

【秋田】明桜がサヨナラ、鹿角は逆転勝ちで8強進出、夏のシードを獲得<春季大会>

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?