杉山 遥希
今年の春季高校野球神奈川県大会は、2年連続で横浜、東海大相模が関東大会を逃す結果となった。
両校とも関東大会に出場できるほどの実力はあったと思う。ただ戦略ミスだったり、走攻守でも、まずさが少しでもあれば負けてしまうほど、神奈川県の各学校のレベルは高くなっている。良いことではあるが、常勝が求められる両校にとっては「悔しい春」となっただろう。改めて両校の課題を考えていきたい。
準々決勝で敗退した横浜については、夏でも、優勝候補として期待されるほどの戦力はある。野手の総合力はハイレベルだ。
冬場に打撃力を鍛え、県大会3回戦の桐光学園戦では5本塁打を放ったように、選手の能力は高い。それ以降、あまり得点ができなかったが、スイングの強さを見ても能力が低いわけではない。打席内でのアプローチなど、色々工夫する点はまだ残されているだろう。
内野手は全員球際が強く、送球も強く、スピーディー。外野手は全員が強肩と、野球選手の総合力の高さは今年の神奈川ではNo.1。多くの選手が大学野球でも活躍できるのでは?と思わせる。野手ではいろんな打順を試していたが、控え選手でも能力の高さが感じられた。
投手に目を向けると、エース・杉山 遥希投手(3年)は県内No.1左腕。今年の神奈川で杉山の球速を上回る投手がいても総合力で勝る投手はいない。
ただ、気になったのは、すべての戦いが「全力」だった。もちろん公式戦なので、勝利を目指すことは当たり前だが、夏と比べて春は試すことができる。杉山以外の投手が先発してもすぐに状況が悪くなると、杉山に交代してしまっていた。勝つためには最善の方法であるが、もう少し、多くの投手に試練を与えて、それを乗り越えた経験があったら、もっと違ったかもしれない。春季大会で登板した青木 朔真投手(2年)、鈴木 楓汰投手(3年)と能力が高い投手もいる。
ただ、打線はレベルアップしても、どんな状況でもカバーできるほどの爆発力がなかったため、杉山以外の投手を育てる余裕が春にはなかった側面がある。
夏を見据えると、いきなり強豪校と戦う可能性もあり、杉山に頼らざるを得ない形になる。この不安要素を乗り越えるには、春までにはない要素で打ち勝つしかない。そして多くの投手が指揮官の期待に応える投球を見せ、投手陣に厚みをもたせることが必要だろう。
最終的には、さすが横浜と思わせる戦力を整えることができるか注目したい。