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5大会連続で準決勝進出!イタリア戦を振り返る

2023.03.17

試合序盤から投打で気迫に溢れていた大谷翔平

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大谷翔平

<WBC:日本9ー3イタリア>◇16日◇準々決勝◇東京ドーム

 MLBエンゼルスとの契約の規定で、今大会はおそらく最後の登板となった大谷 翔平投手(エンゼルス=花巻東出身)。この準々決勝からは負けられない試合のため、初回から気迫溢れるピッチングを見せた。

 負けたら終わりということもあり、初回から飛ばしていき、2回には164キロを記録。決め球のフォークも冴えていて、試合序盤はイタリア打線を寄せ付けないピッチングを見せた。

 打っては3回に近藤 健介外野手(ソフトバンク=横浜高出身)が出塁すると、イタリアの極端なシフトに対し、意表を突くセーフティーバントでチャンスを広げた。このセーフティーバントにより、日本は吉田 正尚外野手(レッドソックス=敦賀気比出身)の遊ゴロの間に先制した。その後、岡本 和真内野手(巨人=智辯学園出身)の3ランで追加点を挙げるが、この得点の流れは大谷の闘志が他の選手にも、移ったと言っても過言ではない場面だった。

 投げる面ではその後初回から飛ばしたことや走塁の影響でバテていたこともあり、5回途中まで71球5奪三振2失点の内容でマウンドを降りた。この国際大会で、誰よりも注目を浴びている大谷だが、そのプレッシャーを軽々と乗り越えて結果を残した。

 このイタリア戦では改めて、パワー、技術、スピード、メンタリティー全てが、選手としてトップクラスだと認識した試合にもなった。準決勝以降は野手としての出場となるが、イタリア戦のような闘志剥き出しのプレーで、チームを引っ張ることに期待していきたい。

岡本和真・村上宗隆が復調の兆しと新たな得点パターン

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村上宗隆

 先制点は1次ラウンドと同様に、近藤が出塁して、大谷がつないで吉田がランナーを返すというパターンだった。その中で、1次ラウンドではなかなか当たりが出なかった岡本が、追加点となる3ランを放つ。さらに、2点を返された後の5回には無死一、二塁のチャンスで、村上 宗隆内野手(ヤクルト=九州学院出身)が中越えの適時二塁打を放つ。続く岡本も右中間に2点適時二塁打を放ち、一気に突き放した。

 その後、村上は7回にも二塁打を放ち、初のマルチヒットを記録。大会序盤は不調だった若き主砲が、復調の兆しを見せ始めた。長打力が持ち味のこの2選手に当たりが出たことは大きい。吉田にもホームランが出たことから、準決勝以降ではイタリア戦のように大技と小技のバランスを駆使したトータルベースボールで、勝ち抜いていきたいところだ。

史上最高の投手陣も盤石な体制に

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伊藤大海

 大谷をはじめとする投手陣も盤石な体制になりつつある。2番手の伊藤 大海投手(日本ハム=駒大苫小牧出身)は、ピンチの場面で難なく抑えて大一番の強さを見せた。東京五輪と同様に、国際大会の雰囲気やピンチの場面での強さを遺憾なく発揮した。

 3番手の今永 昇太投手(DeNA=北筑出身)は、1イニングをわずか11球で2奪三振を記録する完璧なピッチングを披露した。準決勝以降は、第2先発として一番頼りになる今永の起用法も鍵になっていくだろう。

 4番手としてマウンドに上がったダルビッシュ 有投手(パドレス=東北高出身)は、球のスピードや強度が本調子からは程遠かったものの、2イニングを1失点に抑えた。ピッチングの面ではなかなか調子が上がらない状態だが、チーム最年長で精神的支柱として準決勝以降はチームを支えてほしい。

 最後は大勢投手(巨人=西脇工出身)がマウンドに。本調子ではなかったが、イタリア打線を力でねじ伏せて、なんとか無失点に抑えて準決勝進出を決めた。

 準決勝以降では、今大会好調で国際大会の経験が豊富な伊藤や今永はもちろんのこと、高い奪三振率を誇る髙橋 宏斗投手(中日=中京大中京出身)、好調の宇田川 優希投手(オリックス=八潮南出身)の起用法もポイントになっていく。

 また、準決勝以降の先発は、山本 由伸投手(オリックス=都城高出身)や佐々木 朗希投手(ロッテ=大船渡出身)が投げると予想されるが、世界の競合相手に日本投手陣のレベルの高さを見せつけて世界一に輝いてほしい。

(文=ゴジキ

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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