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昌平、浦和学院に逆襲狙う花咲徳栄など混戦模様 2023年の埼玉県高校野球を占う

2023.01.15

昌平、浦和学院に逆襲狙う花咲徳栄など混戦模様 2023年の埼玉県高校野球を占う | 高校野球ドットコム
増田 空(花咲徳栄)、齋藤 陽貴(昌平)、伊藤 充輝(浦和学院)

 今年の埼玉は浦和学院花咲徳栄、そしてこの2強に迫るほどのリクルート、選手層、実績を残している昌平の3チームが中心になるかと思われているが飛び抜けた高校がいない。改めて強豪校、新鋭などを紹介し2023年はどのような展開になるか、その展望を予想したい。

 まずは、昨秋優勝の昌平。これまでの代でも、エース米山 魁乙投手を擁した代は投手力を全面に押し出した代や、打線が強かった代だと鉄板打線と言われた千田 泰智角田 蓮渡邉 翔大吉野 哲平の代や吉野 創士寺山 太陽古賀 智己などを擁し初めて秋季大会で優勝した代がある。

 それに対し、今年の代は投手陣は左腕エース渡邊 俊輔投手(2年)、浦和学院戦で好投した1年生左腕・石井 晴翔投手、1年生の140キロ右腕・佐藤 立羽投手や安定感のある佐藤 勇心投手(2年)など枚数も多く、打線は甲斐 陸斗外野手(2年)、金子 晄也内野手(2年)、齋藤 陽貴捕手(2年)、小林 駿汰内野手(2年)、岩間 翔大外野手(2年)など上位下位満遍なく長打が飛び出すなど投打にバランスが良い。それを支えているのは旧チームからの柱、4番捕手で主将の齋藤であろう。リード面では申し分なく、好打者タイプだが、ツボに来れば長打も放つ。コメント力も高く、内容の悪い試合では自らがチームメートに厳しい言葉を放ちチームを鼓舞できるピッチ上の監督だ。地元開催となった関東大会は、スーパーシードで出場も初戦で慶應義塾(神奈川)に打ち負けたが、今年の代のポテンシャルは高い。

 昨秋県準優勝の浦和学院田中 樹人投手(2年)、伊藤 充輝投手(2年)、鈴木 夕稀投手(2年)、月野 龍投手(2年)など、投手陣がチームを引っ張り春日部共栄聖望学園山村学園を破り決勝進出。関東大会初戦では横浜(神奈川)に敗れたが、まずまずの陣容。課題は昨秋固定できなかった捕手の部分と旧チームに比べやや打線が小粒なところだ。喜屋武 夢咲外野手(2年)や三井 雄心内野手(1年)、小林 聖周外野手(2年)など好打者はいるだけに、その他の選手達の冬場の底上げが必須だ。

 花咲徳栄は、齋藤 海外野手(2年)、増田 空内野手(2年)、柴田 樹捕手(2年)、新井 大貴内野手(2年)と旧チームのメンバーが半数残る。それもあり昨秋はAシードであったが、岩井監督がU-18のため不在、エース飯島 大聖投手(2年)が投げられない状態の初戦で敗れるという不本意な結果となった。投手陣は左腕・飯島、木田 康介投手(2年)を中心とし、上原 堆我投手(1年)、和久井 大地投手(1年)などが続く。元々、岩井監督は1年生への期待が高かっただけに、昨秋4番・石塚 裕惺内野手(1年)や目黒 亜門外野手(1年)などは、一冬を越した姿を注視していきたい。

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林 大斗(春日部共栄)、今岡 達哉(山村学園)、金田 幸大(西武台)

 また、昨秋は初の関東大会出場を決め1勝を挙げた山村学園も侮れない。旧チームほどの大型チームではないが、右サイドの鹿島 駿吾投手(2年)、1年生左腕・西川 歩投手、メンタルの強い青木 孔志投手(1年)と投手陣3枚がチームを引っ張り、勝ち上がるにつれ打線も徐々に本領を発揮し関東大会でも1勝を挙げた。打線も一昨年夏にレギュラーであった高野 壮瑠内野手(2年)、今岡 達哉内野手(2年)に加藤 大輔内野手(2年)、田中 大貴外野手(1年)、藤原 将輝外野手(1年)、山﨑 一真(2年)らはまだ荒削りだがポテンシャルを秘めている。

 その山村学園と紙一重の戦いを演じた西武台も忘れてはいけない。プロ注目・金田 幸大内野手(2年)を筆頭にとにかく打線は強力。太田 誉内野手(2年)、神杉 勇波外野手(1年)、杉本 誉士外野手(2年)、渡邉 楽意内野手(2年)など上位は特に強力だ。課題は投手力であろう。

 春日部共栄は初戦で浦和学院と対決したため早期敗退となったが、シード校となってもおかしくない。制球力のいい林 大斗投手(2年)と独特なフォームからの伸びのある直球を放る永井 泰清投手(2年)の2枚看板は面白い。打線も昨夏の経験者である伊藤 悠哉捕手(2年)や小田部 輝内野手(2年)に小林 夢行外野手(2年)、鳥谷越 大成内野手(2年)、平尾 拓翔外野手(1年)など悪くない。

 その他個人としては、特に1年生に好素材が多い。西武ライオンズジュニアユースに選出された左3枚、前述山村学園・西川、大宮東富士 大和投手、上尾飯島 恒太投手は3人とも既に今大会を代表する投手であることは間違いなし。打者では聖望学園中村 アラシュ投手、川口市立西澤 剛内野手に注目したい。

 2年生の投手は滑川総合橋本 海里投手、山村国際前原 智希投手、狭山ヶ丘加藤 健太投手、大宮東森川 晟投手、浦和実清田 光投手、打者では上尾駿河咲 希也内野手、浦和麗明蓮實 悠人外野手、狭山清陵見方 駿平捕手が注目すべき存在だ。

 そもそも、今秋は投票シードで、春日部共栄聖望学園がシードから外れ、昌平山村学園が選ばれた。その2校は順当に勝ち上がり関東大会へ進出。浦和学院花咲徳栄春日部共栄聖望学園の私学4強が常に埼玉県を引っ張るというパワーバランスが昌平山村学園の台頭によりここ数年崩れ始めている。春以降どうなるのか注視していきたい。

(記事:南 英博

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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