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2年連続MVPをほぼ手中にしている村上宗隆 オリックスとの交流戦では打率.500

2022.10.22

2年連続MVPをほぼ手中にしている村上宗隆 オリックスとの交流戦では打率.500 | 高校野球ドットコム
ヤクルト・村上宗隆

2年連続MVPをほぼ手中にしている村上宗隆

 今シーズン、日本人のホームラン記録を塗り替える56本塁打を記録し、最年少で三冠王を達成したのがヤクルト・村上 宗隆内野手(九州学院出身)だ。2年連続MVPも、ほとんど決まっているようなものだろう。打率こそは歴代の三冠王の中でも低い方ではあるが、本塁打数はトップを記録した。さらに、打点に関しては、130打点以上とトップクラスの数字を記録するなど、いかに4番らしい4番打者だったか分かる。6月から8月の3ヶ月で34本塁打、77打点を記録している。この3ヶ月間の数字がシーズンの成績といってもおかしくないだろう。

 村上の昨年のクライマックスシリーズは、打率.222、0本塁打、1打点と苦しんだものの、今年のクライマックスシリーズでは、打率.333、1本塁打、3打点を記録した。国際大会を見ても、東京五輪では打率.333、1本塁打、3打点を記録。唯一のホームランを決勝で放つなどの活躍で金メダルに導いた。ここ一番の勝負強さを見ても、村上の場合はある程度は打たれる覚悟で攻めていくべきだろう。

 だからこそ、昨年は打率.217だったと苦しんだ日本シリーズも、対応できる可能性は高い。今年の交流戦のオリックス戦では打率.500を記録している。そのため、クライマックスシリーズのように一発があるオスナにチャンスで回す打撃をすることもできるだろう。

 このような点を見ると、チームの勝利に貢献できる打撃が目立っている。中心選手としてチームを優勝に導く力があり、代表の実績を含めても、自らチームを優勝に導く活躍が日本シリーズでも期待される。

走れるスラッガーでもある村上

 プロ野球は、年々レベルが上がって、一流選手の定義も連動して上がってきている。特に打者は、単に打球を飛ばす長打力がある能力だけでは物足らなくなってきている。ひと昔前は、身体を大きくしなければ、スラッガー選手としては台頭しづらい状況だった。

 2020年、2021年の巨人・岡本 和真内野手(智辯学園出身)のように、村上は複数のタイトルを連続で獲得している現状はないが、2020年から3年連続で2ケタ盗塁を記録している。今では豪快な打撃が目立っている中で、1イニング3盗塁を記録するなど、走塁センスも抜けている。

 村上こそ、東京五輪代表監督を務めた稲葉篤紀氏がコメントしていた「スピード&パワー」を存分に発揮している選手ではないだろうか。現在、MLBで活躍しているエンゼルス・大谷 翔平投手(花巻東出身)はもちろんのこと、ヤクルトのキャプテンである山田 哲人内野手(履正社出身)を見ても、今後の代表戦に選ばれる選手であれば、打力はもちろんのこと、水準以上の脚力や動けるものは必要になっていくに違いない。そして、良い野手としての基準値も長打力だけではなく、動けた上での長打力が必要な時代になっていくのだろう。

主砲らしい一発で決めることに期待

 昨年の日本シリーズは、凌ぎ合いや攻めきれない場面が多々あったが、接戦ならではの戦い方が浮き彫りになった。それは、一発で試合を決めることである。このシリーズを見ても、ほとんどの試合が一発で試合が動いている。だからこそ、短期決戦で求められるのは「長打力」である。好投手とマッチアップする接戦では連打が難しいため、長打力がある選手の一発で得点し、安打数は少ないながらも勝利するような試合が多々生まれる。短期決戦は双方が良い投手から順番につぎ込む。徹底してロースコアゲームとなりやすく、このような勝ち方が必要となる。そのような試合展開では、警戒されながらも村上の一発でヤクルトが勝利することもあるだろう。少しでも甘い球がくれば村上が捉えることや、現在のプロ野球で最高峰の対決となるオリックス・山本 由伸投手(都城高出身)との対戦にも注目していきたい。

(文=ゴジキ)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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