Column

ドラ1確定のイヒネを育て上げた誉はどんなチーム!?徹底したフィジカル強化、ラプソード導入など選手の能力を最大限に引き上げるチームだった

2022.10.11

 ソフトバンクが(愛知)のイヒネ・イツア内野手(3年)を1位指名する方針であることを公表したとして大きく話題となっている。そのイヒネを育て上げたはいったいどんな学校なのか。その育成システムを追っていくと、令和の高校野球を先取りするようなチームだった。

 は2019年夏に初の甲子園出場。その年の中心選手だった大型遊撃手・澤野 聖悠内野手が楽天から育成4位で指名された。21年には速球派右腕の川嵜 陽仁投手が巨人から育成9位指名を受けた。2人とも育成選手だが、イヒネは初の本指名どころか1位指名が確定したことになる。

 は愛知県の小牧市に所在する。グラウンドは学校から離れた場所にあり、選手たちは自転車を漕いで、グラウンドに向かう。グラウンドは山の中にあるが、それまでの道のりはアップダウンが激しい道のりで、移動するだけでもトレーニングになり、選手たちは「良いアップになる」と語る。

 練習は、ショートダッシュなど短距離系のメニューでアジリティを鍛えるメニューが多い。アップが終わると、打撃練習組とフィジカル練習を行う選手に分かれるが、右翼奥に建てられたプレハブの施設にはウエートトレーニングができる器具が多く揃っていた。選手たちはベンチプレスやスクワットなど高負荷のトレーニングを年間通して励む。

 イヒネや他の3年生も、最初は持ち上げることに苦労したようだが、慣れていくと、ベンチプレスでも100キロ以上持ち上げる選手もいるという。さらにパワーアップするために補食も置かれている。

 こうしたトレーニングだけではなく、1キロの縄跳び、ジャベリックスロー、エルゴメーター、パルクール、ボックスジャンプなど多彩なメニューがあった。フィジカルアップが重要と考えたの矢幡監督はフィジカル強化のトレーニングメニューを先取りし、多くの速球投手、強打者を育てる武田(広島)のメニューを大きく参考にしたという。またラプソードもいち早く購入し、ピッチングデザインにもこだわった。

 愛知の高校は多く取材しているが、の方針は選手のフィジカル、テクニカル、器を大きくすることに振り切っている。イヒネも中学時代は足が速くても絶対的な力量を持った選手ではなかった。フィジカルを徹底的に強化しつつ、首脳陣の指導のもと、打撃技術を伸ばし、守備についても身体能力に頼らず、丁寧にプレーしていく姿勢が見られ、順調に伸びていった。

 どの学校も甲子園出場を狙っている。ただ、その過程の中でも、選手のフィジカル、テクニカルを大きく伸ばす誉のチーム方針は、中学生からしても魅力的に映るだろう。

 イヒネは近い将来、野球のパイオニア的な存在になるかもしれない。の今後の活動に注目だ。

(記事=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.16

涙の甲子園デビューから大きくレベルアップ!前橋商の192センチの剛腕・清水大暉は、高速スプリットで群馬県大会19回1失点、22奪三振の快投!<高校野球ドットコム注目選手ファイル・ コム注>

2024.05.16

【2024年春季地区大会最新状況】全道大会は出場校決定、関東と東海は18日に開幕

2024.05.16

【秋田】夏のシードをかけた3回戦がスタート、16日は大館鳳鳴などが挑む<春季大会>

2024.05.16

U-18代表候補・西尾海純(長崎日大)、甲子園で活躍する幼馴染にむき出しのライバル心「髙尾響には負けたくない」

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.12

学法石川の好捕手・大栄利哉が交流戦で復帰! 実力は攻守ともに世代トップクラス!身長200センチ右腕を攻略し、完封勝利!

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?