試合レポート

山梨学院vs前橋育英

2022.05.23

レギュラー、新戦力の野手陣が機能した山梨学院が、前橋育英相手にコールド勝ち!

山梨学院vs前橋育英 | 高校野球ドットコム
6番ライト・岳原陵河(山梨学院)

<春季関東地区高校野球大会:山梨学院8-0前橋育英(7回コールド)>◇22日◇準々決勝◇[stadium]栃木県総合運動公園[/stadium]

 山梨学院が高い攻撃力を発揮し、前橋育英(群馬)を圧倒した。

 2回、首脳陣からも好打者として評価が高い8番澁谷 剛生外野手(3年)のセーフティースクイズと1番鈴木 斗偉内野手(3年)の右前適時打で2点を先制した。さらに3回には相澤 秀光内野手(3年)の適時打、澁谷の2点適時打で3点を追加し、3回までに5点を先行する。

 5回には無死一塁から、伸び盛りの2年生スラッガー・岳原 陵河外野手が右翼越えの二塁打でチャンスメークすると、7番佐仲 大輝捕手(2年)の右前適時打、8番澁谷の鮮やかな適時打で2点を追加。その後も満塁のチャンスを作り、押し出し四球で1点を追加した。8対0とした山梨学院武藤 大地投手(3年)が7回無失点に抑えた。

 高度な打撃が目立った。1番鈴木は低めの変化球に対し、鮮やかなバットコントロールで弾き返した。主将の相澤も抜群のバットコントロールを発揮。さらにスイングも鋭い。

 そして8番で4打点を記録した澁谷はオープンスタンスで構え、スキがなく、どのコースにもバットが出る。昨秋、チームの打点王で多くの勝利に貢献したが、センバツでは打てず悔しい思いをして山梨に帰ってきた。リベンジの思いで臨んだ山梨県大会、関東大会で結果を残した。吉田監督も澁谷の成長を称えていた。強打者タイプの岩田は今年の山梨学院では最も本塁打を打っている。コンパクトながらも打球に角度をつけるのが上手く、捉えた打球は大きく伸びる。

 新戦力として出てきた岳原は187センチ、80キロと他の山梨学院の選手と比較しても明らかにずば抜けているのが分かる。

 特にフォロースルーの豪快さは、スラッガーへの成長を予感させる。吉田監督の期待も高く、「今は研修生です」と語るように、意識的に経験を積ませている。5回、無死一塁の場面でもノーサインだった。他の選手ならばチャンスを拡大するために犠打の選択もあるが、岳原を成長させるために、あえてバントのサインは出さなかった。吉田監督は「併殺するリスクはありますが、それでも彼の将来性を考えてです。もし(併殺に)なったときは、選手たちに(気落ちしないよう)盛り上げてくれと話しています。もし高校が難しくても、その先で花が開く。それぐらい可能性を持った逸材だと評価しています」と期待を寄せている。

 山梨学院には身長175センチ〜180センチぐらいで総合力の高い野手は多いが、185センチ以上のスケール型の野手はあまりいない。江戸川中央シニア時代は最速140キロを誇る本格派右腕だっただけに、どんな成長をたどるのか注目をしていきたい。

 結局、コールド勝ちの内容に、吉田監督も「この試合展開は予想していませんでした。前橋育英さんは得点力が高いチームですし、何よりチームスタイルは素晴らしく、リスペクトしています。そういう学校から勝てたのは自信になります」とナインの奮闘に驚きを隠せなかった。

 レギュラー、新戦力の活躍が目立った準々決勝戦。山梨学院にとっては大きな1勝だった。

(記事:河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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