秋5本塁打&最速140キロ超の二刀流 2022年はその名を全国区にできるか
西村 瑠伊斗(京都外大西)
2022年の高校野球でぜひ注目してほしい選手が一人いる。それが京都外大西の西村 瑠伊斗(2年)だ。二刀流として下級生から活躍しており、投手としては最速147キロ、野手としては秋の京都大会で5試合5本塁打を記録している。
今年は夏準優勝、秋3位とあと一歩のところで甲子園や近畿大会出場を逃しており、大きな大会での実績はないが、間違いなく投打で全国上位クラスの逸材だ。
中学時代は京都ポニーでプレー。ポニーリーグ日本代表に選ばれるなど、当時から能力の高さは光っていた。
京都外大西では入学早々にレギュラーを獲得。コロナ禍で練習の合流が遅れたにも関わらず、昨夏の独自大会では1番中堅手で出場している。
公式戦デビューとなった独自大会初戦では、1回表の第1打席で初球をいきなりセンター前に運ぶ非凡な打撃センスを見せつけた。甘い球を逃すことなく、一球で仕留められるのは打者にとって必要な要素であるが、西村は1年夏の時点でそれを既に身に付けているように感じた。
さらに秋からは投手も務め、1年生にしてエースで4番の重責を担うようになっていた。当時から最速は既に140キロを超えており、今後はどちらで勝負していくのだろうかと思いながら試合を見ていた。
今年に入ってからは打者として存在感を示すようになる。上級生に投手が揃っていたこともあり、今夏は外野手として出場することが多かった。任された打順は2番。俊足の1番・中村 友哉(2年)が出塁して盗塁、それを西村が還すという得点パターンが確立されていた。
圧巻だったのが、準決勝の乙訓戦。第1打席、第2打席と左投手相手に2打席連続本塁打を放ち、チームを勝利に導いている。
しかし、甲子園が懸かった京都国際との決勝では無安打に抑えられてしまう。さらに4対3の1点リードの4回裏からはマウンドにも上がったが、中川 勇斗(3年・阪神7位)に逆転2ランを浴びると、5回にも武田 侑大(2年)にソロ本塁打を打たれ、甲子園行きを逃す結果となってしまった。
試合後には、「自分が点を取られて負けて、3年生に申し訳ない。自分たちの代でリベンジしたいです」と敗戦の責任を感じつつ、秋以降のリベンジに燃えていた。
今秋は再びエースナンバーを背負い、打順は引き続き2番を任される。3回戦では鳥羽を相手に2本塁打を放って完封の離れ業をやってのけると、準々決勝までの3試合で3本塁打を放ち、投げても無失点と大車輪の活躍を見せていた。
だが、勝てば近畿大会出場となる準決勝の塔南戦では10安打を浴びて6失点。5点を追う8回裏にソロ本塁打を放って意地を見せたが、得点はその1点のみに終わり、1対6で敗れてしまった。
それでも翌日に行われた福知山成美との3位決定戦では2試合連発となる2ラン本塁打を叩き込んで意地を見せる。京都府のメイン球場となる[stadium]わかさスタジアム京都[/stadium]はフェンスが高く、簡単に本塁打が出る球場ではないだけに5試合で5本塁打というのは非常に価値のある数字だ。
西村の打撃の特徴として挙げられるのが、タイミングをとるのが上手く、自分のポイントで捉えることができているということだろう。また、大谷 翔平(エンゼルス)のようにボールを前で捉える打撃をしているため、変化球が曲がり切る前に弾き返すというところが相手投手にとっては非常に厄介なところだ。150キロに迫るような速球も苦にせず打てるようであれば、高校生レベルではなかなか手を付けられないだろう。
投手としても平均して140キロ前後の速球を投げることができ、スライダー、カーブ、フォークの精度も悪くない。夏に2本塁打を浴びた京都国際のような速球に強い打者に対してどう攻めていけるかが今後の課題となりそうだ。
大谷のように二刀流で活躍することを今後の目標にしている西村。高い身体能力を活かしたプレーを一目見れば、プロを狙える選手だとすぐにわかるはず。機会があれば、一度見ておくことをオススメしたい。
(記事:馬場 遼)