静岡vs加藤学園
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気持ちの入った投球で静岡、期待の吉田雄飛投手が好投
最後まで気持ちが入っていた静岡・吉田雄飛君
この夏は甲子園出場を果たした静岡。池田新之介監督としても、島田商から異動してきてすぐのチームで甲子園出場を果たしたことで、まずは伝統の母校を背負う責任を果たしたといえようか。そして、今秋の新チーム。いよいよ、ここからその手腕が期待されるところでもある。
とは言え、その後もコロナ禍ということで、ほとんど対外試合も出来ない状態は続いていた。「ぶっつけ本番に近い状態で大会に入りました。だから、公式戦をやっていきながら、選手たちに期待するしかない状態」というのも本音のようだ。
対する加藤学園は、中止となった昨年の春のセンバツ出場を果たして、昨夏は交流試合で初めて甲子園で戦っている。近年は著しく躍進をしてきており、その力も安定している。それだけに、大会前半の一つのヤマともいえる試合として期待も高かった。
加藤学園は、静岡の先発吉田雄飛君に対して、先頭の太田侑希君が中前打すると、エンドランで内野ゴロでも二進して、二死三塁となってから、ちょっと硬かった相手内野手の失策を突いて先制。加藤学園としては、悪くない形での先取点でもあり、ある程度は主導権を取っていけるのかという感じの試合の入りでもあった。
ところが、やはり静岡は勝負強かった。2回にすぐに追いつき、ひっくり返す。
この回は四球とバントなどで二死二塁として、この日抜擢した9番の知念君が右線へ二塁打してこれで二塁走者を帰して同点。さらに四球後、2番猪股君も右前打して二塁走者を帰して逆転した。
リードされても、慌てることなくすぐに取り返していくあたり、やはりこの秋の新チームも静岡は強いぞと思わせるに十分だった。
その後、いくらか試合は膠着していく。こうなってくると、次のアクションというか、次の1点が大きく試合の行方を左右していくのではないかと思われるところである。
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加藤学園・内藤大輔君
加藤学園の米山学監督は常々、「野球は7、8、9回。そこまでついて行かれれば何とかすることが出来る」ということを言っている。それだけに、ロースコアの1点差と言う形で7回以降の終盤に入っていったことで、ひょっとしたら加藤学園の終盤の反撃もあるかもしれないと思っていた。
ところが、次の得点が入ったのは7回の静岡だった。
1番からの好打順の静岡は、先頭の山本君が内野安打で出ると、バントで送る。ここで、加藤学園ベンチは2番手として粘っていた石山君を下げて、3人目の左腕吉川君にスイッチした。
しかし、3番山岸君は中前打で一三塁とする。さらに盗塁もあって二死二三塁となる。ここで5番高林君の一打はフラフラと上がったどん詰まりの飛球だったが、これが不規則に変化して内野安打になる。これで三塁走者が帰った。さらに暴投もあってこの回2点が入り4対1。
こうなると、静岡の吉田君も、もう一度ギアが上がっていく。結局6安打1失点で完投。池田監督も、「本人の気持ちが入っていたので、ここは途中で代えたら、本人のためにもよくないと思って託しましたが、よく投げ切ってくれた」と、完投したことを喜んでいた。
吉田雄飛君に関しては、「5月から6月の自粛期間で対外試合が出来ないけれども、紅白戦を繰り返していく中で、成長してきた」ということで期待も高くなっていたという。それが新チームになって、鈴木脩矢君と共に投手陣の柱となっていくことが期待されている。この日の好投は、それに十分に応える好投だったといえよう。
加藤学園の米山監督は、「どっちが、ミスをしないでいられるかという厳しい試合になるとは思っていました。それが、こっちに出てしまいました。それでも耐えられるような、1試合を投げられる投手を育成していくことが、来年までのテーマです」と、この試合での反省点を基に再出発を目指していた。
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草薙球場のメモリアルプレート
静岡の選手たち
試合前の加藤学園の選手たち
(取材=手束 仁)