「粘りの大濠」の屋台骨。川上陸斗は選抜で心の成長を見せる
投手力と守備力を中心とした、粘りの野球が持ち味の今年の福岡大大濠。19日に開幕する選抜甲子園でも粘りの野球で優勝を目指すが、4番で捕手とチームの屋台骨を担うのが川上陸斗だ。捕手として冷静なリードで投手陣を引っ張り、また打者としては4番であるが間を抜く打球や低いライナーを打つタイプで繋ぎの役割を果たす。
またチームの主将は背番号18の川本康平が務めるが、川上はゲームキャプテンを任されており試合中の司令塔。選抜甲子園でも、チームを牽引する活躍を見せたいと強い意気込みを口する。
苦しい時にもチーム全体を見渡せるように
選抜へ意気込みを見せる川上陸斗(福岡大大濠)
秋季大会前、八木啓伸監督は「納豆のように粘りの野球をしたい」とチームのカラーを語っており、その中で川上は唯一、前チームから試合に出場していたことから当然期待は大きかった。
川上自身もそのことは十分理解しており、捕手としてゲームキャプテンとして、ゲーム中だけでなく練習中からチームが一丸となって戦うことを意識していた。
「練習に合流することが遅かったこともあり、最初は1年生がチームの輪に入れていませんでした。自分が1年生の中に入ってコミュニケーションを取っていたのですが、練習や試合を重ねる中で、徐々に1年生からも意見も出るようになりました。
九州大会では相手投手のレベルが上がり全く打てない中で、1年生がチームの一員としてプレーしたことで、一丸となって粘り強い野球ができたと思います」
それでも、八木監督にとってはまだまだ物足りなさがある。川上にも不調や苦しい場面があるが、その時にチーム全体を見渡すことがまだできていない。自身が苦しい場面にぶつかっても、リーダーとしての振る舞いを忘れて欲しくないと八木監督は求める。
「キャプテンですので、苦しい時にもチーム全体を見て欲しいです。まだまだ自分の気持ちでプレーしてしまうところがあるので、もっともっとチーム全体を見渡していけるようになって欲しいと思います」
[page_break:冬はスローボール打ちで打撃力強化]冬はスローボール打ちで打撃力強化
ティー打撃を行う川上陸斗(福岡大大濠)
チームとしてこの冬は打撃力強化を課題に掲げて取り組んできたが、それは川上自身も同様だ。秋季大会では4番を任されていたが、八木監督からも状況に応じたバッティングをするように言われており、長打を狙わず状況に応じたバッティングで打点を稼ぐことを意識している。
この冬はより確実性を高めることを目指して、打撃強化を図ってきた。
「冬はスローボール打ちをずっとやってきました。スローボールや緩いボールは簡単に打とうと思えば打てるかもしれませんが、そこを簡単に打たずしっかり待ってポイントまで引きつけて打つことを意識してやってきました。
速いボールだと打つことが最優先になってフォームが作れませんが、緩いボールだとフォームを意識しながら打つことができます」
もちろん、捕手としての成長も忘れていない。エース左腕の毛利海大に加え、九州大会準決勝の宮崎商戦では1年生右腕の馬場拓海が台頭したが、ライバルたちもパワーアップして選抜を迎えることが予想される中で、投手陣とのより綿密なコミュニケーションや守備力の向上を図ってきた。
「キャッチャーとしての一番の課題はブロッキングで、またピッチャーも甲子園のマウンドに立つと力んだり焦りが出てくるかもしれません。自分が慌てずに、冷静に対応できるようにやっていきたいです」
目標は、4年前に出場した時のベスト8を越える優勝だ。
川上が中心となり、より粘り強さが増した福岡大大濠の戦いが今からとても楽しみだ。
(記事=栗崎 祐太朗)
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