四国の野球2020を占う 四国アイランドリーグplus中心に「バズり」の予感
ついに東京五輪イヤーの2020年がスタート。首都から1000㎞近く離れた四国地区でも徐々に世界最大のスポーツイベントへの機運が高まっている。ではその中で四国の伝統工芸ともいえる「野球」はどのように進んでいこうとしているのか?現状紹介も交えながら占っていきたい
高校年代は「ホップ」大学年代は「ステップ」社会人は「ジャンプ」の2020

高校通算29本塁打の山田 響(済美)
高校年代は「ホップ」・大学年代は「ステップ」・社会人は「ジャンプ」……。これが2020年のアウトラインになってきそうだ。
高校年代の詳細は改めて触れることになるが、現状では我慢の年。投手陣では最速147キロ右腕の内田 悠太(大手前高松3年)、「ザ・コントロールサウスポー」新地 智也(明徳義塾新3年)。野手では高校通算29本塁打の山田 響(済美新3年主将・左翼手兼二塁手)、高校通算42本塁打の田中 大貴(観音寺第一新3年・遊撃手)などのスラッガーたちが周囲に刺激を与え、刺激が飛躍の種になることを祈りたい。まずは明徳義塾と尽誠学園の出場が確実視されているセンバツで、両校が四国の意地を見せられるか、だ。
四国地区大学野球リーグでは昨年秋に帝京第三(山梨)3年時以来の「投手兼遊撃手」となり、いきなり最速149キロをマークした水上 由伸(四国学院大4年主将)が大卒プロ入りを視野に入れる。小久保 気(西濃運輸)が東北福祉大を完封した2017年の大学選手権以来となる全国1勝をあげられれば、侍ジャパン大学代表入りも現実味を帯びてきそう。
夏に日本選手権。11月末から都市対抗と変則日程となる社会人では昨年、全国大会でも長打を連発したJR四国に注目。高卒ルーキーで都市対抗アーチをかけた水野 達稀(丸亀城西<香川>卒2年目・遊撃手)や、北尾 勇人(鳴門<徳島>~龍谷大卒2年目)の長打力は全国と伍してもそん色ない。ここに成長著しい篠崎 康(帝京第五<愛媛>卒3年目)のリードに投手陣が奮起する好循環が生まれれば、2大大会でも勝てるチームができそうだ
また、出身地の愛媛県東温市で東京五輪聖火ランナーを務めることが先日発表された松山東センバツ21世紀枠出場時のエース・亀岡 優樹(愛媛大)は今季から松山フェニックスへの入団が内定。まずはクラブ選手権での全国出場を目指す。
ただ、時に想像を超える成長が生まれるのがこの世代の特徴。いい意味で筆者の想定を覆す出来事の発生を心待ちにしたい。
四国アイランドリーグplus「ドラフト最多指名」へ。NPBもイベント多し

四国アイランドリーグplus・徳島インディゴソックス
四国アイランドリーグplusでは昨年、独立リーグ日本一になった徳島インディゴソックスを筆頭に全4球団に有望な選手が新加入。過去に同リーグからNPBドラフト指名を最も受けたのは2007年(育成6名)、2011年(全員育成指名)の7名となっているが、今年はそれを上回る最多指名を狙える布陣が整った。
平成唯一の三冠王・松中 信彦氏(元福岡ソフトバンクホークス)が監督業を含むGM職に就いた香川オリーブガイナーズや、高校・大学・社会人の3世代で日本代表を務めた谷田 成吾氏の徳島インディゴソックス新代表など就任などグラウンド外での話題も豊富な16年目のシーズン。実りの秋となることを大いに期待したい。
最後にNPB関連にも触れておこう。
まず2月には高知県で埼玉西武ライオンズ(B班)、阪神タイガース(二軍)の春季キャンプと埼玉西武ライオンズvs千葉ロッテマリーンズによる一軍練習試合「2020プロ野球プレシーズンマッチ」<22日(土)&23日(日)・高知県立春野運動公園野球場>が開催されるのを皮切りに、4月11日(土)・12日(日)には同じく春野において埼玉西武ライオンズvs読売ジャイアンツのイースタンリーグ。四国の地でこのカードが見られるのは大変貴重である。
さらに7月には13日(月)にフレッシュオールスターを愛媛県松山市の坊っちゃんスタジアムで13年ぶりに開催。五輪期間中となる7月25日(土)・26日(日)にはレクザムボールパーク丸亀(香川県丸亀市)で阪神タイガースvs広島東洋カープのウエスタンリーグが。ここでは一軍選手たちの出場も期待できる。
そして8月には恒例の東京ヤクルトスワローズ坊っちゃんスタジアム公式戦が読売ジャイアンツを迎え25日(火)・26日(水)の2連戦開催。9月に入っても12日(土)・13日(日)には[stadium]安芸タイガーズ球場[/stadium](高知県安芸市)で阪神タイガースvs福岡ソフトバンクホークスがウエスタンリーグ2連戦を戦うことになっており、例年以上に充実したイベントがそろっている。
また、大型契約で今季に臨む守護神・森 唯斗(福岡ソフトバンクホークス・海部<徳島>卒)をはじめ、四国にゆかりのある選手たちの躍動も楽しみでならない。
このように2020年は四国の野球が盛り上がる=令和的に言えば「バズる」要素が十分。私も四国野球の躍進を広く伝えていくと同時に、その手助けを正しくでもできるように尽くしていきます。本年もよろしくお願い申し上げます。
(文=寺下 友徳)
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