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四国勢の逆襲か?過去10年間における「初戦勝率」から分析

2019.08.09

 第101回全国高等学校野球選手権大会第4日目。第1試合に登場した鳴門は、菊池 雄星(シアトル・マリナーズ)、大谷 翔平(ロサンゼルス・エンゼルス)の現役MLB選手2名を輩出した花巻東(岩手)に対し、今年のドラフト上位候補左腕・河野 竜生(JFE西日本)をエースにベスト8に進出した2016年以来、3年ぶりの大会勝利をあげました。

 かつ、試合内容も初回から主導権を一度も渡さない堂々たるもの。昨年・ベスト4に進出した済美(愛媛)を思わせるような強打に「野球の島」とも称される四国勢・逆襲の胎動を感じた方も多かったのではないでしょうか。

 では、本当に四国勢の逆襲は近づいているのか?今回は昨年までの過去10年間における「初戦勝率」から、分析を加えてみることにしましょう。

第97回大会以降は負け越していない

四国勢の逆襲か?過去10年間における「初戦勝率」から分析 | 高校野球ドットコム
浦 和博(鳴門)

 

 まずは、過去10年間の初戦勝敗と県別勝敗データをご覧ください。

2018年 第100回 2勝2敗(済美〇、高知商〇、丸亀城西●、鳴門●)

2017年 第99回  3勝1敗(済美〇、明徳義塾〇、鳴門渦潮●、三本松〇)

2016年 第98回  2勝2敗(鳴門〇、松山聖陵●、尽誠学園●、明徳義塾〇)

2015年 第97回  0勝4敗(鳴門●、今治西●、明徳義塾●、藤井学園寒川●)

2014年 第96回  1勝3敗(坂出商●、小松●、明徳義塾〇、鳴門●)

2013年 第95回  3勝1敗(鳴門〇、丸亀●、明徳義塾〇、済美〇)

2012年 第94回  1勝3敗(今治西●、香川西●、鳴門●、明徳義塾〇)

2011年 第93回  3勝1敗(今治西●、明徳義塾〇、英明〇、徳島商〇)

2010年 第92回 1勝3敗(英明●、宇和島東●、明徳義塾〇、鳴門●)

2009年 第91回  2勝2敗(西条〇、高知〇、徳島北●、藤井学園寒川●)

計18勝22敗(高知県9勝1敗・愛媛県4勝6敗、徳島県3勝7敗、香川県2勝8敗)

 やはり数字は正直です。2015年・第97回大会において1988年・第70回大会以来27年ぶり2度目となる四国4県初戦敗退を喫して以来、四国勢は負け越しを喫していません。

 

 その中でも突出しているのは高知県勢です。明徳義塾の7勝1敗を筆頭に高知高知商も1勝ずつ。やはりここは今年も初戦勝利を飾った明徳義塾・馬淵 史郎監督の存在の大きさを感じざるをえません。また、愛媛県勢も過去10年間初戦3勝無敗の済美がいることによって、健闘の成績を残しています。

 逆に言えば、これまでやや停滞感のあった徳島県勢の鳴門が今回勝利したことは、今後の四国高校野球を活気づける上でも、いっそう意味がある出来事だったと言えるでしょう。

 残念ながら第4試合で高松商(香川)が鶴岡東(山形)に4対6で敗れたことにより、明徳義塾が初優勝、川之江(愛媛)がベスト4、鳴門工(徳島・現鳴門渦潮)、尽誠学園(香川)もベスト8に入った2002年・第84回大会以来となる「四国勢初戦全勝」は果たせませんでしたが、「四国勢の逆襲」をより確かな歩みとするためにも、大会第7日目・8月12日(月)に登場する宇和島東(愛媛)には、ぜひいい準備をして宇部鴻城(山口)を下してもらいたいと思います。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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