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無欲になって上位進出を狙う! 白岡(埼玉)【後編】

2019.04.01

 全国屈指の激戦区である埼玉県。その埼玉で過去に夏の埼玉大会で決勝進出、昨秋の県大会では初戦で南埼玉代表・浦和学院を破った県立高がある。その学校が今回の訪問先である白岡高校である。
 昨夏の新人戦で強豪・春日部共栄との対戦で敗戦し力の差を感じたと高橋監督は語る。そこからどうして、浦和学院に勝利することが出来たのだろうか。後編では、その後の取り組みに迫った。

 強豪私学の前に敗れて気づいた凡事徹底の大切さ 白岡(埼玉)【前編】

粘って掴んだ大金星

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エースの迫田将矢

 昨秋、白岡は5対4で浦和学院を倒したが、その試合で4番に座った松永一洸選手は勝因について、「春日部共栄に負けてから、浦和学院戦までは地道な練習をひたすらやってきました。それで染みついた基礎と、投手も良かったおかげです」と語る。

 浦和学院戦で先発完投し、松永選手が称賛した迫田将矢投手は「自分の実力が通用するか不安で初回は足が震えましたが、監督から『とにかくインコース!』と言われたのは覚えています」と話す。

 その迫田投手をリードしたキャッチャーの三瓶祐貴選手は、「(迫田は)決して調子が良いわけではありませんでしたが、相手打者にインコースに対する意識付けが上手くできたおかげで、外角のスライダーが有効に使えました」と振り返る。

 高橋勝也監督のアドバイスを迫田投手が信じて投げ切り、三瓶選手が迫田投手の良さを引き出した。迫田-三瓶バッテリーを中心に粘り強く戦った白岡は、前半を1対4でリードされて折り返すものの、終盤に勝ち越しに成功して大金星を挙げた。

 高橋監督は浦和学院戦について、「あの試合、ピッチャーはどれだけ打たれても点数を与えませんでした。一方の打撃陣は前半で1点取ってくれたので、もしかすると5回以降上手くいくんじゃないかと思っていました。
 もし自分が私立の監督だったら、公立高校に1点とられればイライラしますし、選手たちもやばいと考えてしまうかなと。だけど選手たちは頭の中で“いつか突き放せるだろう”と思っていて、実際に打てなかった時に余計慌ててしまう選手たちが何となくイメージできたんです。このイメージのおかげで上手くいった」と考えている。

[page_break:無心で上を目指す]

無心で上を目指す

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トレーニングを積む白岡の選手たち

 この勢いで一気に上位進出を狙いたかった白岡だったが、続く山村学園戦は1対3で敗れてしまう。
 「相手の和田朋也君は良い投手でしたが、試合は1対3でずっと来ていました。その中で選手たちが、『ランナーが溜まって1発を打てればランナーを返せるんじゃないか。そのうち逆転できる』というイメージを作ってしまった。その結果、受け身の姿勢のままズルズル9回まで続いてしまった」と反省を口にする。

 その後、「もし勝つことができていればチームの状況は違ったと思いますが、反省になりましたね」と高橋監督。

 最後に春への抱負を伺うと、「正直怖いです。浦和学院に勝って、周りからは『白岡だけには勝たないと』とマークされますので、とにかく一戦必勝です」と返ってきた。

 東部地区の予選は花咲徳栄昌平叡明などの強豪私立が揃っている地区だ。だからこそ、浦和学院戦の時のように、欲を出さず、まずは予選を勝ち抜いて県大会に行きたいと高橋監督は意気込みを語った。

 欲を出さない。これは選手にも浸透している。

 「まずはこのチームの中でレギュラーを取りたいです。そして試合では欲を出さずに単打で後ろにつないでチームの勝利に貢献することで、1つ1つ勝てればと思います」と浦和学院戦で決勝タイムリーを放った佐藤優多選手は話す。

 そして主将の山田大空は、「自分たちの目標である、打倒私学、打倒春日部共栄を果たし、それ以上の結果を手にしたい」と語った。

 埼玉県では現状、春日部共栄が夏の甲子園に最も近いだろう。その春日部共栄を倒すという目標以上ということは、甲子園出場ということだ。

 目標以上のモノを掴み取るため、白岡はこれからも無心で前に進み続ける。

(文・編集部

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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