試合レポート

山城vs大谷

2017.05.03

エースの完投と4番の一振り

山城vs大谷 | 高校野球ドットコム
完投した松本(山城)

 山城の先発左腕・松本が完璧な立ち上がりを見せた。

 大谷の1番・内田はワンバウンドした変化球にバットが止まらず空振り三振。2番・杉浦も低めの変化球で空振り三振に仕留めると、3番・河村はフルカウントから高めのストレートに手が出てしまう。テンポ良く低めに集めていた松本が、初回に投じた16球の中で唯一浮いた球となってしまったが直前の変化球の残像がある中で見極められなかった。

 山城打線は2回、4番・越田の安打から一死一、三塁とすると7番・松永がライトフェンス手前へ大きな犠牲フライを放ち1点を先制。援護をもらった松本は2回の先頭打者、大谷の4番・西川も三振に打ち取りこれで4者連続三振のスタートとなった。5番・平和は追い込まれてからの変化球をレフト線に痛烈に弾き返すが、惜しくもファール。ファーストフライに倒れると、以降も凡退が続き、序盤3回をパーフェクトに抑えられてしまう。

 2巡目に入った大谷打線は4回、先頭の内田がセンターオーバーの三塁打を放ち出塁する。1ボール1ストライクから低めのボールゾーンに落ちる変化球にバットは空を切ったがその直後、甘く浮いた変化球は逃さなかった。この試合初めて走者を背負った松本は、セットポジションに入ろうとした動作を途中で止め、ボークを取られてしまう。

 1安打で同点に追いついた大谷は5回にも先頭の平和が二塁打を放ってチャンスを作ると久我の適時打で勝ち越しに成功。2回に先制は許したものの3回は併殺を奪い、4回二死満塁も凌ぐなどして先発・若駒の粘投に応えた。

 山城は1点を追う6回、体格のいい3番・萬徳が四球で出塁すると、続く越田のセンター前への安打で判断良く三塁へ。無死一、三塁とし、澤井の併殺打の間に試合を振り出しに戻した。その裏には、セカンド・山本がスーパープレー。一死一塁からセンター前に抜けようかという鋭い打球をダイビングキャッチでつかむと、起き上がりざまに二塁ベースにタッチし一塁へ送球。併殺を完成させた。

 8回には1番・今井が三遊間への内野安打で出塁し、山本が送って一死二塁。終盤の勝ち越し機に萬徳は大きなライトフライに倒れるが今井はタッチアップで三塁へ。二死三塁で打順は4番。一本が欲しい場面で越田が放った打球は、左中間のフェンスを越える2点本塁打となり山城ベンチは喜びを爆発させた。

 ビハインドを背負った大谷は8回裏の攻撃で無死一、二塁としたが、この日2つ目の併殺打が響いて無得点。9回には一死から4番・西川のフェンス直撃の二塁打と続く平和の適時打で1点差としたが、反撃もあと一歩及ばず。

 勝利し、夏のシード権を獲得した山城は好左腕の松本が完投。スライダー、チェンジアップを低めに集めるコントロールが光り、ストライク先行のピッチングで死球はあったが四球は無し。三塁側いっぱいのプレートを踏んだ位置から投げ込むシュートは右打者にはより遠くに感じられ、左打者には外のボールゾーンからストライクゾーンに入れるなど、組み立ての中でアクセントとして有効だった。

(取材・写真=小中 翔太

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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