Interview

履正社高等学校  福田観大選手 「国体で打率.643!抜群のバットコントロールを生み出している理由」

2016.10.05


福田観大選手

 

  初優勝を収めた履正社。二けた得点が2試合、コールド勝ち1試合と圧巻の打撃力を見せた大会であった。今回はその火付け役となった福田観大選手に迫る。4試合で14打数9安打、打率.643の好成績を残した福田が語る打撃論とは。

木製バットで芯で捉える練習を積み重ねている

 履正社はエース・寺島成輝、野手では2年生スラッガー・安田尚憲が注目されるが、甲子園ではこの男の打撃が注目された。その名は福田観大。夏の甲子園の高川学園戦の第1打席、ボールになるようなスライダーを合わせて左前安打にしたのが福田の打撃スタイルを象徴させる打席だった。甲子園で計3試合で11打数6安打を記録したアベレージヒッターは、国体でも調子を維持してきた。とにかくどのコースへもバットが出る。外角、内角。そして右投手、左投手問わずに打撃ができるところに凄さを感じる。

 福田の打撃を見ると、ヘッドが遠回りすることなく、無駄のないスイング軌道でボールを叩くことができているが、履正社は普段から木製バットを使うことが多いチームだが、芯で捉える意識で練習に取り組んでいる。特に夏が終わってからは上を見据えて木製バットでほとんど練習をしている。

 しっかりと芯でコンタクトする。しかし木製バットはスウィートスポットが狭く、芯で捉えるのは難しく、ただ当てるだけでは飛ばない。振り切る意識と振り切れるだけの身体の使い方も大事になる。その積み重ねが今のバットコントロールを生み出しているのかもしれない。
 またタイミングを取るときで気を付けていることは、「タイミングを取る段階で、止まらないことですね。動作の途中で止まってしまうと、自分の打撃が崩れてしまうような感じがしてしまうので、意識的に動くことを大事にしています」

独自の感覚を持った選手であり、タイミングの取り方でも、一瞬、前に出る感覚から後ろに戻るなど、自分なりの感覚を大事にしている選手のように感じた。右投手、左投手によってどのコースに合わせるのか、どの球種に合わせるのかも細かく意識して打席に入っているのが分かる。

夏が終わってから、調子を上げてきているようで、今回の大会に臨むことができた。福田はアベレージヒッターのように見えてしっかりと振り切ったスイングができる選手で、近畿大会決勝でも本塁打を放つなど、長打力ももちろんある。

 誰の打撃を参考にしているのかというと、同校の先輩であるT-岡田選手だ。「T-岡田さんの打撃は参考にしていて、ああいうスイングができればと思っています」<br 確かに体格は違う。だが、重心を沈めた構え、打席前の素振りする動作を見るとt-岡田と似ている。当てる中でもしっかりと振り切るスイングができるのも、t-岡田に影響されているといっていいだろう。

 また福田は快足、守備力の高さも注目されるが、今大会は広い守備範囲も注目された。守備については「普段の守備練習から、バットに当たった瞬間でどこに打球が落ちるのか、それをすべて予測して、練習をしています。それを積み重ねていくうちにどこが落ちるのかわかってきます。国体で対戦したチームは打てるチームが多く、苦労しました」というが、的確なポジションニングで数多くのアウトを演出した。

 国体優勝で終えて、「高校最後の大会で優勝ができて良かったですし、3年生とやれて楽しかったです」と喜びを表した福田。次は大学で続け、プレー予定だ。木製バットに切り替わってもアベレージヒッターとして、そのリーグの首位打者を常に狙えるような選手になっていくことを期待したい。

(文=河嶋宗一


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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