Column

冬のウォームアップとクールダウン

2016.01.15

 こんにちは、アスレティックトレーナーの西村 典子です。

 遅くなりましたが、新年あけましておめでとうございます。2016年も読者の皆さんに役立つコラムをお届けしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。さて今回はケガ予防には欠かせないウォームアップクールダウンについて、特に寒い時期に気をつけたいことなどをまとめてみたいと思います。

身体を十分に温めるために

 寒い時期は時間をかけてウォームアップに取り組むところも多いと思いますが、一方で技術練習の時間を考えると手早く身体を温めたい…という悩ましい状況も考えられます。身体を動かすときにはウォームアップジャケットを着用し、だんだん身体が温まってきたら脱いでいくのが一般的ですが、この時間を短縮するための方法として、いくつか紹介しましょう。

ココアやしょうが紅茶は血流がよくなり身体が温まりやすい

●練習前に温かい飲み物を飲む(しょうが紅茶、ココアなど)

水分補給
をするときは冷たいもの、もしくは常温の飲み物を飲むことが多いと思いますが、一番簡単にできる方法としては練習前に温かい飲み物を飲んで、身体の中から温める方法があります。オススメはしょうが紅茶やココアなど。練習前ですので砂糖入りのものであれば、糖分補給も兼ねることが出来ますね。しょうがのもつ成分(ジンゲロール等)が血流を改善させるため、こうした飲み物を飲んでから身体を動かすようにすると、より効率よく身体が温まります。

 練習前などに飲む際、生のしょうがをすりおろして準備するのは手間がかかりますので、練りチューブタイプのものや粉末のものをうまく活用しましょう。またココアについても同じく身体を温める効果があると言われています。しょうがは即効性があり、ココアは持続性に優れているとのこと。温めた牛乳でココアを飲むとタンパク質摂取にもつながります。

●カイロを活用する
最近はネックウォーマーなどを着用し、首元を保温して身体を動かすことも多いと思いますが、簡易タイプのカイロを上手に活用してみましょう。皆さんはカイロをどの部位に当てることが多いでしょうか。手や指先を温めるために手に持っていることが多いと思いますが、首の後ろを温めるようにすると体全体が温まります。首の後ろには大きな動脈(椎骨動脈)があり、全身へと血液を送り出していますので、ここを温めると体全体がポカポカと温かく感じられるようになります。

●縄跳び
短時間で脈拍を上げ、身体を温める動作としてはジャンプを繰り返すことが挙げられます。しかし激しいジャンプ動作は足首や膝、腰などに大きな負担がかかりやすいため、実施するにはしっかりと身体の準備を整える必要があります。その点、縄跳びは軽くジャンプを繰り返して行うため、取り組みやすく短時間で身体も温まりやすいことが特徴的です。ただし足首や膝などに不安要素を抱えている選手は、事前にストレッチなどを行い、それでも不安が残る場合は別の方法でウォームアップを行うようにしましょう。

このページのトップへ

[page_break:身体を冷やさないクールダウン]

身体を冷やさないクールダウン

 クールダウンといえば「身体を冷やすこと」と考えられがちですが、実際には疲労回復のために行う運動後のコンディショニングであると考えましょう。痛みがあって炎症などを抑える場合はRICE処置を行い、文字通り「冷やす」ことを行うわけですが、クールダウンについては体内に蓄積された疲労物質をいかに早く分解・代謝して身体の外に出すかがポイントとなります。

外気温の影響を考えながらウォームアップジャケットで体温調節を

●身体が冷えることを防ぐ
練習後の身体は汗をかいて熱くなっていると思いますが、時間がたつと汗がひき、濡れたウェアは身体を冷やしてしまいます。まずは汗で濡れてしまったウェアを着替え、保温用のウォームアップジャケットなどを着用して身体が冷えることを防ぎましょう。クールダウンに入る前に心がけておきたい習慣の一つです。

●心拍数を徐々に平常時に戻す
運動直後の心拍数は非常に高くなっていますので、これを平常時の心拍数(安静時心拍数)に戻していくようにします。もちろん何もしなくてもそのうち心拍数は元に戻るのですが、疲労物質を分解・代謝させるためにはある程度身体を動かしたほうが、より効果的なクールダウンといえるでしょう。軽いジョギングを行う、ウォーキングを行う等、いきなり運動をやめてしまうのではなく、少しずつ強度を下げながら身体を動かすようにしましょう。

●外気の影響を考える
心拍数が落ち着いたところでストレッチへと移行したいところですが、寒い中でストレッチを続けているとやはり身体が冷えてしまうことになります。練習後のストレッチは短時間にとどめて、帰宅後、入浴後に入念に行うことや、室内に移動して外気や風の影響をなるべく受けないところでストレッチを行うようにすると、極端に身体が冷えてしまうことを防ぐことが出来るでしょう。また寒い時期は体調管理がむずかしい時期でもあります。風邪などを引かないようにするためにも、適切なクールダウンを心がけましょう。

【冬のウォームアップとクールダウン】
●寒い時期のウォームアップは身体を温めるのに時間がかかる
●温かい飲み物(しょうが紅茶、ココアなど)で身体の中から温める
●カイロや縄跳びなどをうまく活用する
クールダウンは身体を冷やすのではなく、疲労物質を分解・代謝させるためのもの
●汗をかいたウェアは練習後に着替え、身体を冷やさないようにする
●外気の影響を考慮したクールダウンストレッチを実施する

(文=西村 典子

次回コラム公開は1月30日を予定しております。


注目記事
【1月特集】2016年、自律型のチームになる!

このページのトップへ

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.19

【東海】中京大中京がコールド勝ちで17年ぶり、菰野は激戦を制して23年ぶりの決勝進出<春季地区大会>

2024.05.20

【春季京都府大会】センバツ出場の京都国際が春連覇!あえてベンチ外だった2年生左腕が14奪三振公式戦初完投

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得

2024.05.20

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在31地区が決定、宮城では古川学園、仙台南、岩手では盛岡大附、秋田では秋田商などがシードを獲得

2024.05.19

【宮崎】日章学園、富島、小林西などが初戦を突破<県選手権大会地区予選>

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.17

「野球部や高校部活動で、”民主主義”を実践するには?」――教育者・工藤勇一さん【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.5】

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.19

【東海】中京大中京がコールド勝ちで17年ぶり、菰野は激戦を制して23年ぶりの決勝進出<春季地区大会>

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?