Column

舩曳 海は類まれな才能を発揮できるか?

2015.08.26

 第27回WBSC U-18ベースボールワールドカップでは、外野手の枠は僅かに「3」。狭き門でありながら、見事に代表選出された天理舩曳海。颯爽と駆け抜けるベースランニング、抜けるかと思った打球に追いつく守備範囲の広さ、芯を捉えれば場外級の本塁打と、走攻守の総合力は代表選手の中ではトップクラスといっていい。しかし、第97回全国高等学校野球選手権大会でのプレーをみると、その舩曳の全てをまだ出し切ってはいないだろう。

 8月24日に行われた近畿大との強化試合では9番で出場したが、活躍次第ではもっと上位を打ってもおかしくないぐらいの才能を秘めた選手だ。

走塁面で魅せるも、打撃面で大爆発ならず

三盗を決める舩曳 海(天理)

 舩曳は2年夏から天理のレギュラーの座を獲得。6番ライトで出場した2回戦の奈良高田商戦で2打数2安打。この大会、17打数7安打、打率.412の活躍を見せた。昨年の夏の大会では、振り遅れてのレフトフライが多かった船曳。その時は今ほどヘッドスピードが速くなく、タイミングが遅れることも多かった。一つ上のレベルの選手になるためにも、ヘッドスピードを速くし、右中間へ強い打球をコンスタントに打てる選手になれるかどうかが船曳の課題だった。

 それでも、秋季大会では「足」を武器に活躍。特徴的な場面を挙げると、近畿大会決勝立命館宇治戦では先制のきっかけとなる二塁打を放った。そして5回には相手投手のモーションの大きさを見抜き三盗を決めた。その後、チームは4点を追加し、近畿大会優勝に大きく貢献。神宮大会では二塁ゴロで塁間タイム3秒97を計測。4秒以内に駆け抜ける俊足ぶりに注目が集まった。秋季大会では11試合で11盗塁を記録するなど、驚異的なペースで盗塁を稼いだ一方、打率.262と打撃面で課題を残していた。

 迎えた今年の選抜1回戦糸満戦では打撃面で成長の兆しを見せる。まず、3回裏に先制の適時打を放ち、8回裏の第5打席で右中間を破る適時三塁打を放った。この試合は4打数2安打3打点の大活躍で勝利に貢献。三塁打を決めた時に颯爽と駆け抜けたベースランニングが多くの人を惹きつけた。また盗塁死に終わったが、この時のタイムは3秒20を計測。プロ野球選手の盗塁タイムは3秒30未満が基準なので、驚異的な走力を見せていたのだ。

 しかし2回戦健大高崎戦では初回に二塁内野安打を放ったものの、その後は3打席連続三振に終わり、チームも敗退。打撃面で大爆発とはならず、甲子園を後にした。


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・第27回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ特設ページ
・【8月特集】打撃力アップ
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[page_break:智辯学園戦で見せた二打席連続本塁打のようなインパクトある活躍を]

 しかし、昨夏から振り返ると、舩曳は走攻守すべてにおいて着実にレベルアップを果たしている。特に驚異的なスピードを見せる走塁、脚力を生かした外野守備は高く評価されている。ただ一方で、まだ打撃面が課題と話すスカウトも少なくなかった。

 やはり高校生トップレベルと評される選手は、打撃面で圧倒的な活躍を見せている。舩曳にはまだ周囲を圧倒させるような打撃面の活躍がなかった。
そのため今夏ではインパクトある活躍を見せることがカギとなったが、いきなりその活躍を見せる時が来た。

智辯学園戦で見せた二打席連続本塁打のようなインパクトある活躍を

舩曳 海(天理)

 7月19日、初戦を迎えた天理は、いきなり宿敵・智辯学園と対決。この対決に[stadium]佐藤薬品スタジアム[/stadium]は超満員となった。

 1点を先制された3回裏、打席に立った舩曳は右中間スタンドへ飛び込む同点本塁打を放つ。この時の本塁打はこれまで見たことがない打球であった。ヘッドスピードの速いスイング、無駄のないスイング軌道、打球速度の速さ。どれもずば抜けていた。舩曳が凄いのは二打席目でベストスイングができたこと。
どのチームもそうだが、初戦は試合間隔から遠ざかっていて打席での感覚も掴んでいないため、打つことに苦労する。 その状況で、たった一振りで同点にしたのは見事で、今までの舩曳にはない姿であった。

 そして5回裏、二死一塁の場面で再び舩曳に打席がまわってきた。智辯学園の先発・村上 頌樹のストレートを捉え、ライトポールをまく場外本塁打を放った。これで二打席連続本塁打。1本目の本塁打でも驚かされたが、2本目はさらに度肝を抜く当たりで、その時、ダイヤモンドを回る舩曳の姿は、一際輝いて見えた。

 そしてこの本塁打を機に、さらに目立つ結果を残すことができるかに注目をしていたが、奈良大会では16打数5安打、打率.313とずば抜けて高い数字ではなく、迎えた甲子園1回戦創成館戦では4打数1安打に終わり、チームも敗退。二打席連続本塁打を見た人にとっては、もっとできるのではないか?と思ったかもしれない。それだけあの2本塁打はインパクトがあったのだ。
それでも代表に選出されたのは西谷 浩一監督をはじめとした選考委員会の方々が舩曳の潜在能力を高く評価しているからだろう。そこにはもっと活躍できるという期待があるはずだ。

 大会では是非、走攻守すべてにおいてインパクトある活躍を見せ、舩曳海の名を全国の野球ファン、世界の野球ファンに知らしめることに期待したい。


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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