Column

石川大会準V・小松大谷 宮口 昇キャプテンに聞く

2014.09.19

「キャプテン論」

石川大会準V・小松大谷 宮口主将2014年9月19日

 今夏の石川大会決勝。小松大谷星稜に逆転負けをし、惜しくも甲子園出場を逃した。今回はキャプテンの宮口 昇君に、キャプテンとして過ごした1年間のことや後輩たちへのメッセージなどをうかがいました。

試合で学んだ“気持ちを持ってプレーすること”

宮口 昇主将(小松大谷高校)

――キャプテンになった経緯を教えてください。

宮口 3年生みんながひと通りやって、それから監督の指名で自分がやることになりました。

西野貴裕監督の証言
「初めは(エースで中心打者の)山下(亜文)をキャプテンにしようと思ったんです。でも、山下が自分から『やろうと思えばできます。でも、現状、僕が言ってもついてこないヤツもいますから、しない方がいいと思います』と。宮口は一番周りが見えて的確なことが言える子だったので指名しました」

――自分が指名されると思っていましたか?

宮口 若干あると思いましたけど、正直、そんなにはなかったです。

――キャプテンを任されたとき、どんなチームにしたいと思いましたか?

宮口 どんな逆境でも、そこから粘り強く勝てるチームです。去年とか、あまり粘れんとそこで負けていたのが多かったので、どんなところでも粘って食らいついていけるようになりたいと思いました。

――粘れずに負けた試合で印象深いのは?

宮口 (2012年)金沢学院東戦です。同点の最終回2アウト二、三塁で相手は代打が出てきて、セーフティー(バント)をされて、それがサヨナラの点になって負けました。

――そのためにやってきたことは何ですか?

宮口 とりあえず、自分が三振しようが、エラーしようが、気持ちはしっかり持ってプレーすることです。

――キャプテンとして自分は背中で引っ張るタイプですか? 声で引っ張るタイプですか?

宮口 声で引っ張るタイプですね。アップのときから(声を出します)。どんな声って言われてもあんまりないんですけど、そのとき、そのときで考えて出してます。あとは背番号20の中江に言うと雰囲気がよくなるので、その子に声をかけたりしました。

第87回 【三年生座談会】小松大谷高等学校(石川)

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大人扱いで育てられたチームの中で

宮口 昇主将(小松大谷高校)

――同級生への声の出し方、後輩への声の出し方などはありますか?

宮口 同級生には、「お前ら一番上の学年なんやから、ついてっとるんじゃなくて、一人ひとりキャプテンのつもりでやれ」という感じです。後輩には仲良くっていうか、そんな感じですね。

志田慶歩部長の証言
「個性的なチームですからね。キャプテン経験もなかったし、先頭に立って引っ張っていくようなタイプでもなかったんですけど、いつも一番デカい声を出してくれました。そういう姿勢は苦労したんじゃないかなと思います」

――キャプテンとして大変だったこと、つらかったことはありますか?

宮口 つらかったことはそんなにないです。苦労もあったと思うんですけど、出てこないです。キャプテンをやめたいとかもなかったですね。

――監督はあれこれ指示をするよりも「考えろ」と言ったそうですが、大変ではなかったですか?

宮口 大変じゃないです。そっちの方が逆にやりやすかったです。

西野貴裕監督の証言
「『このチームは子供扱いじゃない。大人扱いだ』と言ったんですよ。『どんなプロセスで、こちらが言っていることにたどりつくか。それがチームの特色だ。こちらの言ってることをかみ砕けなかったら、違う方向へ行くよな』と。こちらがどうしたいんだろうというのを一生懸命感じてやってくれた。
今回のチームはまとめるというと言い方がおかしいので、チームを方向づけるという言い方になるんですけど、他の子だったら方向づけはできなかったと思います」

志田慶歩部長の証言
「こちらもそんなに多く言葉をかけてないです。感じ合いながらやっていた感じですね」

――キャプテンとして監督に怒られたことは?

宮口 特にないです。

西野貴裕監督の証言
「キャプテンでもあえて怒らないです。だからつらかったと思いますよ。『こうやれ』と言われた方が楽ですから。それなのに、『あそこでこういう雰囲気になっちゃって。動いてないよね。血がめぐってないよね』って小言言われて。でも、『次は何時にこうするからね』と言いますから、それで考えてくれたんじゃないかと思います」

第87回 【三年生座談会】小松大谷高等学校(石川)

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星稜との試合に向けて

宮口 昇主将(小松大谷高校)

――ともに星稜と対戦しています。甲子園に行くためには避けて通れない相手。対星稜に向けて、どんなことをやってきましたか?

宮口 ベンチにいる人数だけ、どんな逆境でも雰囲気をつくれる選手になろうとやってきました。次に何をやるとか、いろんなことを確認するとか、とにかくしゃべれる選手になろうと。

――声が出ない選手にはどうしましたか?

宮口 見て覚えてもらうしかないです。わからないなら、マネするぐらいのつもりで、そっから自分なりに(やり方を)つくってくれればいいと思いました。

――下級生のときから声が出る方でしたか?

宮口 下級生のときも、出してましたけど、3年になってからの方が出してたと思います。意識して出してたんじゃなくて、無意識(で出る)ぐらいになってたんで、(どうやって出そうとか)意識したことはないですね。

――大舞台でも動じずにプレーするためにどんなことをしてきましたか?

宮口 気持ちをぶらさないことです。試合でミスしたり、自分で最悪なプレーをしてもぶらさんとおれるか。自分はぶれる方なんで。

――それはできましたか?

宮口 夏大(会)始まるぐらいにはなんとか。完璧になったわけではないです。

――は4番でしたが、からは1番を任されるようになりました。一番打者として心がけていたことは?

宮口 出塁することです。

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キャプテンたちへのメッセージ


小松大谷ナイン(春季大会より)

西野貴裕監督の証言
「本当は一番打者タイプじゃないんですけどね。キャプテンだし、一番で打って引っ張ってもらおうと思いました」

志田慶歩部長の証言
「中心打者なので、打ちたい気持ちが強いから(一番は)大変だったと思います。それでも、(決勝の星稜戦、初回先頭打者で)岩下からもフォアボールで出てくれたし、冷静だったと思います。
1、2年生のときは振り回すことが多かったですけど、夏の大会は「低めに手を出すな」というのもしっかりやってくれました。(安打が)ほとんど単打で、それもセンター前が多かった。チャンスではつなぐ集中力がすごかった。それが結果につながったと思います」

――最後の夏、「いいチームになったな」と感じる場面はありましたか?

宮口 大会でリードされる場面が多かったんですけど、それをしっかり逆転して勝てたことです。(準々決勝と準決勝の)寺井とか遊学館戦です。寺井のときはリードされてちょっと焦ってる場面があったんですけど、攻撃の前にみんなで「もう一回、落ち着こう」みたいな話をして、そっから逆転できたのでよかったです。

――経験を通じて、新チームからキャプテンをやる選手へメッセージをお願いします。

宮口 自分の場合は声で引っ張ったことですけど、自分でしっかりと行動に移すことですね。

(インタビュー・田尻 賢誉

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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