試合レポート

南稜vs市立川口

2014.09.14

5点リードを自滅で吐き出した南稜、延長10回で辛くも振り切る

南稜vs市立川口 | 高校野球ドットコム

南稜・横山君

 試合の勝ち負けということで言えば、埼玉南稜としては快勝のはずの試合を追いつかれて、苦しみ抜いて延長にまでもつれて、負けなくてよかったということになる。また、市立川口としては、せっかく5点差を終盤で追いつきながらひっくり返せずに、勝ちきれなかったということだ。どちらにも反省点があり、課題が見えた試合ということであろうか。

 7、8回に5点のリードを追い付かれた埼玉南稜。

 7回1死で失策の走者を許して、ここでそこまで4安打無失点のエース横山君を右翼に下げて、根岸君を送り込んだ。遠山巧監督としては、
「本当は、こういう展開だったら横山の完投なのでしょうけれども、先を見た時に、横山一人だと負担も大きく苦しくなるので、もう一人(公式戦で)投げられる投手を試合を通じて育てたいと思っていましたから、同点までならばOKというつもりで根岸を行かせたんですけれども…、本当に同点になってしまいました」と、苦笑していた。

 夏休みの新人大会では裏を実践でも好投した根岸君だったが、この日は1回2/3で打者13人に対して5四死球と暴投もあって、そのうえ打ちとったと思った打球もポトリと外野手の前に落ちるなどの不運もあった。いずれにしても、そんな展開で自滅気味の5失点となってしまった。

 それでも、9回から再び横山君が戻ってきて、延長にもつれた10回、埼玉南稜は力のあるところを示した。

 この回の埼玉南稜は、1死から7番に入っていた堀越君が四球で出ると、2死となってから9番横山君が左前打でつないで、一二塁。ここで、この日ここまで3安打ともっとも当たっている小堺君が右越三塁打して2者が帰って埼玉南稜が再び突き放した。


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市立川口先発・嶋原君

 その裏も、横山君が安打されながらもきっちり併殺で切って取って落ち着いた投球だった。

 埼玉南稜は3回に1死満塁から小暮君の右犠飛と飯塚君の右線三塁打で3点。5回にも安打などで2点を追加して、ここまではほぼ理想的な展開だったと言ってもいいだろう。しかし、その後がやや攻めあぐんだ。
遠山監督も、「いろいろ試したいと思っていたので、仕掛けてみたのですが…」という盗塁なども、ことごとく失敗して試合の流れが徐々に相手に向かっていってしまった。

 そこで、投手交代が切っ掛けとなり、一気に市立川口が追いついた。ただ、市立川口としても結局同点止まりだったことで悔いが残った。
長井秀夫監督も、「実は、ここ何年かの中で、この秋は一番厳しいかなと思っていたんです。1年生も多く試合に使わざるを得ないんですけれども、誰か精神的に引っ張っていってくれる存在が出てきて欲しいんですけれども、それがいないんですよね。そういう気持ちがあれば、こういう展開だったら、ひっくり返せたんですけれどもね…」と、いささか歯がゆい思いのようでもあった。

 それでも、そうした中で、この日の先発嶋原君、三番手として投げた武田君の両左腕には、期待していた。また、ショートから2度もリリーフマウンドに立った紺野君には、チームを引っ張っていって欲しいという期待を込めていた。

 県南部地区では、力のあるチーム同士である。地元の注目度も高いようで、スタンドにも多くの人が詰め掛けていた。

(文=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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