試合レポート

神戸国際大附vs智辯学園

2013.06.02

神戸国際大附vs智辯学園 | 高校野球ドットコム

投手・大園(神戸国際大付属)

左右の本格派が準決勝で激突

好投手を擁し、3番に内野手のキャプテンが座る。同じ軸を持ったチームの一戦は序盤、神戸国際大付属の左腕・大園、智弁学園の右腕・川村の左右の本格派エース同士の投げ合いとなった。

初回、智弁学園・川村がショートゴロ、セカンドフライ、セカンドゴロと上位打線を3人で打ち取れば、神戸国際大付属のエース・大園もテンポ良く二死を奪い、智弁学園のキャプテン・大崎を3ボール2ストライクからインコースのストレートで見逃し三振に打ち取る。

2回、神戸国際大付属は1死から寺山がヒットで出塁すると続く渡邊の初球にエンドランを仕掛ける。この1球はファールになり、後続も倒れたため得点には結びつかなかったが積極的な打撃を持ち味とするチームカラーを示した。
その裏、智弁学園も4番・岡本がレフトへ大きなファールを、5番・北阪がセンターへ大きな飛球を放ち長打力のあるところを見せつける。

3回は共に先頭バッターがヒットで出塁するが、神戸国際大付属は牽制死、智弁学園は併殺打が響き得点には至らない。

両チーム無得点のまま5回を終えるが、神戸国際大付属・大園は本格派らしい力強い投球が光り、打線も2回以降毎回ヒットを放つなど徐々にペースをつかみかけていた。そして6回、ついに均衡を破る。

「最初は力みがあったけど、きっかけがあったら爆発する。自分がきっかけになったらいいなと思ってました」という4番・髙橋がライト前ヒットで出塁すると、寺山もフォアボールを選び、渡邊のバントでチャンスを広げる。一死二、三塁、4回にも全く同じ状況でサードフライに倒れていた飯迫が「1、2打席目に凡打していたので決めないと、と思っていました。キャプテンの宮本さんが思いっきり行け、と言ってくれて楽になりました」と打席に向かう。2ボールとカウントも全く同じ状況から今度はセンター前にタイムリーヒットを放ち2点を先制。捉えたのはストレート。「1、2打席目にストレートしかなくてカーブが無かったから狙っていました」と話した狙いすました一撃は修正能力の高さの現れでもあった。「サードフライの時はバットが下から出ていた。上からかぶせるように打て」という監督の指示を次の打席で即結果に結びつけた。


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ホームランを放った太田(神戸国際大付)

先制を許した智弁学園もすぐさま反撃に出る。川村が先頭バッターとしてヒットで出塁すると1死後、1番・髙岡もヒットを放ち得点圏にランナーを進める。2番・中西の当たりは併殺コースのサードゴロとなったが、一塁への送球が悪送球となり川村が生還。1点差に詰め寄る。

8回、次の1点が大きな意味を持つ展開の中、先制の時と同様先頭の4番・髙橋がヒットで出塁する。送りバントとショートフライで二死二塁となり打席には先制タイムリーヒットを放っている飯迫。1ボール2ストライクと追い込まれながらもレフトへタイムリーツーベースヒットを放ちこの日3打点と活躍。いい当たりでは無かったがしっかり振り切った分、レフトが目測を誤りボールはライン際で弾んだ。更に続く8番・沖もタイムリーツーベースヒットを放ち1点を追加。真芯でなくともセンターの頭を超える打球を飛ばせるバッターが8番にいる、その事実が選手層の厚さを物語っている。

下位打線で4点を挙げた神戸国際大付属は9回、上位打線がつながる。1番・南に代打・太田を送るとレフトスタンドへソロホームランを放つ。ここから代打・梶原、3番・宮本、4番・髙橋が3者連続ツーベースヒットを放ちリードを広げると相手のエラーで更に加点。「もう1点取ろう」と円陣で声を掛け合い始めた攻撃で4点を奪った。


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4番・岡本(智弁学園)

7点のビハインドを背負った智弁学園だが、最終回に意地を見せる。先頭の中西が相手のエラーで出塁すると3番・大崎、4番・岡本、5番・北阪が3連打、神戸国際大付属のエース・大園を降板へ追いやった。それでも好投を続けていた大園には、ベンチに戻る際スタンドから拍手が送られた。ライトからマウンドに上がった横谷は大園と遜色無い球を投げ込み、逃げ切りに成功。最終回に“もしや”の雰囲気を漂わせた智弁学園だったが追い掛ける点差が大き過ぎた。

強力打線の神戸国際大付属にあって、攻撃の口火を切った4番・髙橋と3打点を挙げた飯迫は共に2年生。1年夏からベンチ入りし、去年秋の近畿大会から主軸を任されている髙橋が「決勝戦ということを意識せず自分達の野球をしたい」と話せば、下位打線ながら勝負強い打撃が光った飯迫は「大きいのを狙わずに、シングルを狙って行きたいです」と決勝戦の意気込みを語った。

試合終了から約2時間後、決勝戦の相手は近畿の頂点を争うに相応しい、大阪代表・履正社に決まった。

(文=編集部

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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