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重心移動~下半身編~(1)

2011.12.10

久保田正一本気の心技体

重心移動~下半身編~(1)2011年12月10日

 明治神宮大会も終了し、高校野球の公式戦が全日程終了しました。個人的な意見ですが、関東一の1年生エース中村君は素晴らしいフォームでした。今まで説明してきた真っ直ぐ立つは完璧にできていましたね。やはり真っ直ぐ立つことができる選手は投球が安定しています。まだまだ1年生、今後が楽しみな選手です。

 そんな神宮大会に出場していた選手でも、まだしっかりとした下半身の重心移動ができていない投手が多くいました。これは高校生に限った話ではありません、大学生も同じです。

 では、今回からは重心移動、中でも下半身の重心移動について説明させて頂きます。


自分の身体を最大限に利用して投げるには

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※詳しい解説イメージはPCからご覧ください。

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【写真①】

【写真②】

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 まずは『インステップ、アウトステップ』です。

 よく、『真っ直ぐ踏み出しなさい』と言われますよね。それはこのステップになります。やはり自分の身体を最大限に利用して投げるには、軸足からホームベースに向かって真っ直ぐ踏み出すのが理想となります。

 多いのは『インステップ』です。これは写真①のように踏み出し足がホームベース方向よりも内側に着地してしまうことです。右投手なら右側に、左投手なら左側に着くことです。(アウトステップはその逆、写真②)

 本来投球動作で重心移動とは、助走と同じことなのです。遠投するときに皆さん助走はしますよね?助走すれば投げる方向への重心のスピードが上がります。そうすれば下半身~体幹の力が上半身に強く伝わり、ボールスピードは速くなるのです。

 しかし、投手は助走ができません…ですからこの重心移動が重要になるのです。その重心移動はもちろん投げる方向へ真っ直ぐ行なった方がボールに力を伝え易いのはもちろんです。ですからインステップやアウトステップでは自分の最大限の力を発揮できにくい、ということになります。

 また、インステップでは、その後の動作において、踏み出し足の股関節の捻りが行いにくい状態となってしまいます。これまた自分の最大限の力を発揮できにくくなります…

 『では真っ直ぐ出せばいいのですね』とほとんどの選手が言うのですが、そもそも真っ直ぐ出そうとしているのに真っ直ぐ出せていない選手がほとんどなのです。そしてただ踏み出し足を真っ直ぐ出すことが重要なのではなく、正しい重心移動をした結果、真っ直ぐ踏み出し足が出されるのです。

 これが分かっていないと、安定した踏み出し足の着地はできません。

 動作を改善するにはそもそも頭の中でどうしなければならないかを分かっているだけでは改善しません。ここでいう『真っ直ぐ踏み出す』と頭で思うことがそれにあたります。

 これは全ての動作改善に繋がることなのですが、頭で思うだけではなく、『実際に体をどう動かさなければならないか?』これを実践しなければ動作改善することはできません。

 ではインステップになっている選手は自分の体をどうすればいいのか?

 解決するには踏み出した足をどうするか、これでは根本的な改善はできません。重要なポイントは『軸足』なのです。

軸足の支え方で踏み出すステップの位置が変わるのです。


どのような支え方をしたら『インステップ』『アウトステップ』になるのか

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※詳しい解説イメージはPCからご覧ください。

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【写真③】

【写真④】

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 どのような支え方をしたら『インステップ』『アウトステップ』になるのか説明したいと思います。

 まず、真っ直ぐ立った後、前方(キャッチャー方向)へ重心を移動しますが、その時の軸足のどこに体重をかけながら重心移動しているかなのです。

 『どこにだって軸足に体重かけていますよ。』と言われそうですが、軸足全体に体重がかかっているということはありえません。正確に言うと体重ではなく、重心はどこに落ちているか、というのが正しいのですが、それだと分かりにくいですから『体重』と簡単に説明させて頂きます。

 では、試しにやってみましょう。

 皆さん軸足だけで立ってみて下さい。そして足の裏は地面に全部つけたままでつま先の方へ体重をかけてみて下さい。

 足は軸足に体重かけていますが、それでもつま先側に体重がかかっていますよね?

 次はかかと側に体重をかけてみて下さい。足の裏は全部ついたままですよ。

 すると軸足に体重はかかっていますが、かかと側に体重は移動しましたよね。

 というように、軸足に体重がかかっていても、つま先側からかかと側まで幅広い体重のかけ方があるのです。

 そして本題、『インステップ』になり易い選手は、先ほどのつま先側に体重がかかっている選手が多いのです。

 また、『アウトステップ』になり易い選手は、逆でかかと側に体重がかかっている選手が多いのです。(写真③)

 ということはどうしなければならないのか?足の真中に体重をかけましょう!という話ではないのです。足のどこに体重をかけなければならないのか?これは人それぞれ違うのです。

 重要なのは、どこに体重をかけると真っ直ぐ重心移動を行い、真っ直ぐステップできるかなのです。ですので、もしインステップになったとしたら、その時にどこに体重をかけていたのか、これが理解できていないと修正できないということです。(写真④)

 いかに毎回の重心移動で自分がどこに体重をかけているのか?これを考えているかですね。それができている選手は修正ができる選手になれます。

 人間ですから必ず上手くいかないときがあります。しかし、重要なのは失敗した後なのです。そこでどう修正すれば正しい動きに戻るのか?これができる選手は長く安定した動きができるようになります。

 さ~皆さんどの辺に体重をかけながら重心移動すれば真っ直ぐ踏み出すことができますか?しっかりチェックして下さいね!!!

(文・久保田 正一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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