第50回 東京ヤクルトスワローズ 田中 浩康選手2010年08月02日
第50回の独占インタビューは、東京ヤクルトスワローズ、田中 浩康選手です。
高校時代は尽誠学園にて1、2年時に甲子園出場。そして早稲田大学に入学し、六大学リーグ戦の全試合に出場し活躍された田中選手。その後東京ヤクルトスワローズに入団し、堅実な守りと安定したバント技術でチームの勝利に貢献している田中選手に、高校とプロの世界の練習の違い、持ち味の守備の秘訣についてお話を伺ってきました。
尽誠学園の練習から学んだこと
スタッフ(以下「ス」):高校時代の練習で得たものはなんだと思いますか?
田中浩康選手(以下「田」):ディフェンスを大事にする方針だったので、守備練習にあてる時間が長かったですね。ノックや基本的なゴロ捕球だとか、そういうものが多かったです。でもバッティング練習も長かったな・・・(笑)。
「ス」:全部長かったですね(笑)。
「田」:だからたくさん練習ができる土台が高校時代で作れました。高校時代は練習の量をこなせる時期なので、すごく練習をした期間でした。そのときの経験が、今でも練習で自分を追い込む基準になったりしています。
高校時代に練習をたくさんしたことが今にすごく生きています。ここまでやっても大丈夫だとか、逆にここまでやらないとダメだとか、そういう基準ができました。そういった基準がないまま大学やプロに進むと、壁にあたったときに戻る場所がないですよね。そういったことでは良い経験になりました。たくさん練習をした中にいろいろな発見があるので、そういう経験もして欲しいと思います。
「ス」:高校時代から守備の意識は高かったのですか?
「田」:二遊間を守っていたので高かったですね。特に僕の場合はチームに良いピッチャーがいたので、それを中心にした守りに重点を置いました。打ち勝つというより守り勝つということが大前提でした。高校野球は一発勝負ですから、バッテリーを含めた内野の守備が勝敗を分けることも多いので守備力を上げることが第一でした。
リーグトップの守備率の秘訣
「ス」:守備のアドバイスをお願いします。
「田」:内野手だとバウンドを合わせることが一番大切だと思います。高校のときは良いバウンドに入ることを意識していました。試合になるとグランドが荒れた状態でもプレーをする必要があるので、普段からバウンドに合わせる練習をしておかないといざというときにエラーが増えてしまいますから。普段の練習からしっかり足をつかって良いバウンドに入る習慣をつけて欲しいです。良いバウンドに入って良いキャッチをすれば、自然とステップも踏めて良い送球もできます。
「ス」:配球ごとにポジショニングはどうしていますか?
「田」:実はプロの試合はポジショニングがとりやすいんです。セオリー通りに打たなければならない場面も多いし、そこを狙うバッターの技術も高いので場面ごとに飛んでくる打球が読みやすいんです。バッターのクセや特徴、点差や状況、自分のチームのピッチャーとの兼ね合いでポジショニングしています。
「ス」:高校生はどうすればいいですか?
「田」:高校時代は相手がわからないことが多いので、セオリー通りのポジショニングでしたね。無茶はせず堅実にということがモットーでした。だから高校生では状況や得点差、ちょっとしたバッターのスウィングを見て動けたら素晴らしいんじゃないでしょうか。ただまずは味方からしっかり分析してほしいと思います。味方のピッチャーの特徴をしっかり把握しておくことで、飛んできそうな雰囲気がわかったりしますよ。速球派でインコースをついていくピッチャーなら、逆方向に振り遅れてくる打球が多いとか。
「ス」:用具にこだわりは?
「田」:中学、高校時代からグラブは大事にしていました。僕はやっぱり軽いものが良いですね。軽くてやわらかい皮で、でも芯だけはしっかりしているグラブが良いです。手は痛いですけどやわらかいグラブの方が安心感があるので好みです。
試合後にグローブを磨いて、タオルで縛って一晩寝かします。これは必ずしているルーティーンワークです。そうすると次の日の試合前にはいい皮に仕上がっています。グラブを磨いているときに試合を振り返って反省して気持ちを切り替えたりしています。
球児へメッセージ
「ス」:これから新チームになる球児にメッセージを。
「田」:野球もそうですけど、勉強もしっかりしてほしいなって思います。勉強することで野球をする道も増えると思うので。僕も野球を続けるために勉強してきたし、受験で大学にも入りました。だから勉強と野球を両立した3年間をおくって下さい。
・・・ちょっと良い発言じゃないですか(笑)?
「ス」:さすがです(笑)。ありがとうございました。