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2015年の高校野球を占う【大阪編】大阪桐蔭と履正社の2強体制を止めることができるか

2015.02.17

昨秋も際立った大阪桐蔭の強さ

 新チーム結成からわずか20日後に公式戦を迎えた大阪桐蔭、チームとして発展途上にありながらも秋季大会緒戦で5回コールド勝ち。すると以降もほとんどの試合で2桁得点を挙げ他校を全く寄せ付けず。大阪商大堺大阪産大附の躍進もあったが、横綱が前評判通りの強さを見せつけ昨春から3季連続優勝を飾った。

 その大阪桐蔭に対抗するのは全国でもトップレベルの投手を複数擁する履正社との見方が強い。大阪桐蔭履正社、近年の大阪を牽引するこの2強が今年も優勝争いの中心となりそうだ。

戦力の厚みから今年も本命はやはり大阪桐蔭

田中 誠也 (大阪桐蔭)

 昨夏、4度目の全国制覇を成し遂げた大阪桐蔭は旧チームからエースと4番とキャプテンが残る。低めとコーナーにキレの良い球を投げ込む田中 誠也(2年)は昨夏の府予選でも甲子園でも、先発経験十分。主将を務める福田 光輝(2年)は3番・ショートと攻守の要で、広角に打ち分ける打撃技術と広い守備範囲が魅力。三遊間の深い位置からでも矢のような送球を一塁に送る。

 4番を打つスラッガー・青柳 昴樹(2年)は高校生離れしたいかつい打球を飛ばす。秋季大会では、ノーヒットで打席の内容も良くなかった試合の終盤には交代させられたこともあったが、それは西谷監督が本来持っているものを高く評価しているからこそ物足りなく感じたのだろう。

 さらに下級生にも逸材が揃う。中軸の前を打つ中山 遥斗永廣 知紀は1年生。また、正捕手は谷口 一樹(2年)だが、秋季大会で西谷監督は「いい選手なので少しでも経験を積ませたい」と吉澤 一翔(1年)に最後の1イニングだけマスクをかぶらせる試合もあった。戦力の厚さは頭2つぐらい抜けており、再び黄金期を築く予感が漂う。

今回のコラムに登場した学校の野球部訪問は以下から!
大阪桐蔭高等学校(2011年05月27日公開)

2015年度 春季高校野球大会 特設ページ
【ひとまとめ】2015年の全国各地の高校野球を占う!

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履正社はスモールベースボールに勝機を見出す

寺島 成輝 (履正社)

 昨春のセンバツ準優勝した履正社はその原動力となった2枚看板、まとまりのある溝田 悠人(2年)とパワーピッチングで押す永谷 暢章(2年)の両右腕が健在。さらにこの2人を押し退けて先発を務める大型左腕・寺島 成輝(1年)を加えた主戦級3枚を擁する豪華投手陣は全国屈指だ。

 ただ旧チームから主力投手がそのまま残った反面、課題は打撃陣。主将・西村 卓浩(2年)はセンバツ準優勝時には3番を任されていたが、新チームでは1番打者として打線を引っ張った。これは岡田監督の理想とするところではなく、いい打者に少しでも多くの打席を回したいという苦心のオーダー。この冬の間にどれだけ打線を強化出来たか、答えは春季大会初戦のオーダーに表れる。引き続き西村を1番に据えざるを得ないようならやや苦しいか。

 戦術面では、岡田監督はバントを非常に重視しているため打順に関係なく、しかも2ストライクに追い込まれてもバスターに切り替えずバントのサインを貫くことが多い。時には初球をファールにしてしまった選手にバントの上手い選手を代打に送ったほどで、采配からもその徹底ぶりが伺える。

 また過去には一、三塁の場面で一塁走者がスタートを切った後、三塁走者もスタートを切ったと見せかけ実は、捕手から送球されても十分戻れるリードしかとっていない“偽装重盗”を、強豪ばかりが集う春の近畿大会で決めたこともある。打つ以外で進塁させるバリエーションは豊富で、今年は例年以上に投手力と小技を絡めたスモールベースボールで戦う年になりそうだ。

2強を止めるのはどこか

 大阪桐蔭履正社が優勝争いの中心になりそうだが、かつて甲子園で優勝するよりも大阪で優勝する方が難しいと言われたほどの激戦区には2強以外にも多数の有力校がひしめく。

 注目は監督不在の戦いを続けながら2季連続で準優勝PL学園。だが、すでに今年は新入部員を受け入れない方針を固めており、2年生が引退すると部員数は10人をわずかに超える程度になってしまう。しかも1年生は推薦入学や特待生ではなく一般組ばかり。何とか今年結果を残したいところだ。

 主戦・山本 尊日出(2年)、主軸・グルラジャニ・ネイサン(2年)を中心にどこまでチーム力を高められるか。他にも昨秋ベスト4の大阪商大堺大阪産大附はもちろん、熱血漢の村田コーチが新監督に就任した上宮や、猛練習をこなす大阪偕星学園などの古豪も復活を誓う。

 さらに昨秋ベスト8入りを果たし21世紀枠に推薦された大塚や1、2年生だけで部員数が100人を超える桜宮など地力のある公立勢も打倒私立に執念を燃やす。

 大阪は夏の大会でもシードの無いフリー抽選のため、強豪が同一ブロックに固まる、初戦でいきなり激突するといったことが毎年のように起こる。2強のどちらかが制すのか、他校の下克上なるか。どんな結末になるにせよ今年も大阪は激戦必至だ。

(文・小中 翔太

今回のコラムに登場した学校の野球部訪問は以下から!
履正社高等学校(2011年10月24日公開)
履正社高等学校(2014年03月25日公開)
履正社高等学校(2014年05月30日公開)
大阪市立桜宮高等学校(2012年06月30日公開)

2015年度 春季高校野球大会 特設ページ
【ひとまとめ】2015年の全国各地の高校野球を占う!

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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