2016年U-18代表の現在地 高いレベルでも実力を発揮する投手陣 レベルアップを期待する野手陣
昨年のU-18代表は、非常に投手力に長けたチームであった。6試合で許しった失点はわずかに2。完封試合を4試合達成するなど、過去の代表に比べても極めて良かったとも思える。また、野手陣は打率を残せる選手が多く、好機での1本が目立った。アジア制覇を果たし1年経った今、投手、野手の現在の状況について振り返ってみた。
プロ初勝利を果たした藤平を筆頭に奮闘中
今井 達也(2016年 U-18アジア選手権より)
まず投手すでに一軍登板を果たした選手が2人。
・寺島 成輝(履正社-ヤクルト)
・藤嶋 健人(東邦-中日)
・堀 瑞輝(広島新庄-北海道日本ハム)
・早川 隆久(木更津総合- 早稲田大 )
・藤平 尚真 (横浜-東北楽天)
・高橋 昂也(花咲徳栄-広島)
・今井 達也 (作新学院-埼玉西武)
・島 孝明 (東海大市原望洋-千葉ロッテ)
高校BIG3(藤平・寺嶋・高橋)に加え、甲子園優勝投手の今井や大会中、リリーフエースとして活躍した堀などの活躍が目立った投手陣。いち早くプロの世界で一軍登板を果たしたのは藤平であった。
ここまで3試合にいずれも先発登板し、1勝2敗で防御率2.25 (8月28日現在)。3戦目の千葉ロッテ戦では5回無失点の好投で、嬉しいプロ初勝利を手にした。負けはついているものの、ゲームを作ることのできる藤平はプロの世界でも通用していると言える。楽天は入団前の藤平に対し、高校生の中ではNo.1という評価を示していた。球団からの期待も見事に応えている。
2番目に登板を果たしたのは堀。左腕から繰り出される切れ味鋭いスライダーは今も健在。ここまで1軍で3試合に中継ぎで登板し、防御率6.00(8月28日現在)。まだまだ成長できる部分は大いにある堀。1年目に経験を積むことで、今後の成長につなげてもらいたい。
今井はキャンプでの右肩の故障により出遅れたが、これまでに2軍で7試合に登板。先日は初勝利を挙げた。球団の意向でまだ長いイニングを投げることはできていないが、150キロ前後の直球には力がある。寺嶋もキャンプで怪我に遭ったが、3試合に登板しいまだ無失点と好投。島も1イニングの登板ながら無失点、高橋は1勝を挙げ、防御率2.12(8月28日現在)と安定感を誇っている。藤嶋は2軍で0勝1敗、防御率6.75(8月28日現在)と苦しんでいるようだが、比較的どの投手も結果を残していると言えるだろう。
投手陣で唯一、進学した早川は早稲田大でリーグ戦に登板。入学直後の春季リーグ戦で8試合に登板(1勝2敗)。名門の先発を任されるなどして神宮で活躍を見せている。高校時代に比べ、平均球速が上がっており、140キロ後半を目にすることも少なくない。3年後のドラフト指名に向けひた走っている。
鈴木将平(埼玉西武)がファームで大活躍中
九鬼 隆平(2016年 U-18アジア選手権より)
捕手はどうだろうか。
・九鬼 隆平(秀岳館-福岡ソフトバンク)
・渡辺 雄太(いなべ総合-法政大)
九鬼は主に3軍戦で捕手として出場中。長打力はプロに入っても健在で、打率は.275を残し、7本の本塁打を放っている(8月28日現在)。あとは捕手としてのスキルや、さらなる打撃向上が求められる。渡辺は六大学のうちの1つ、法政大に進学。まだリーグ戦での出場はないが、甲子園で見せた座り投げを可能にした強肩や、シュアな打撃を武器にまずはメンバー入りを目指していきたいところだ。
入江 大生(2016年 U-18アジア選手権より)
続いて内野手を見ていく。
・小池 航貴 (木更津総合- 帝京平成大 )
・伊藤 優平(八戸学院光星-八戸学院大)
・入江 大生(作新学院-明治大)
・佐藤 勇基(中京大中京-法政大)
・松尾 大河(秀岳館-横浜DeNA)
・林中 勇輝 (敦賀気比-立教大)
内野手でプロ入りしたのは松尾のみ。ファームで74試合に出場し、打率は.184と苦しんでいるが遊撃手として経験を積んでいる。打撃を向上させ、持ち前の守備と走塁を兼ね備え1軍デビューを果たしたいところだ。
入江、佐藤、林中は六大学へ進学。入江は、甲子園タイ記録となる3試合連続弾を放つなど打者での活躍が目立ったが、大学では投手に専念。春のリーグ戦では勝利こそ挙げられなかったものの、先発のマウンドにも登った。一時は作新学院のエースナンバーを背負った男が六大学のエースを目指している。林中・佐藤はリーグ戦の出場はまだないものの、持っているポテンシャルは非常に高い。今後に期待したい。
伊藤は八戸学院大で春季リーグ戦から出場。春季は出番がある時とない時があったが、現在行われている秋季リーグ戦では、1番中堅手としてスタメンに名を連ねている。小池は帝京平成大でこれからの活躍が期待される。
鈴木 将平(2016年 U-18アジア選手権より)
最後に外野手。
・納 大地(智辯学園-東洋大)
・静岡鈴木 将平 (静岡-埼玉西武)
鈴木はファームでチーム3位の安打数64を記録し、打率も.277(8月28日現在)と持ち前の打撃をアピール。盗塁数も12と走攻守3拍子揃った外野手として活躍している。チームには秋山 翔吾という素晴らしいお手本がいる中で、どこまで成長できるかに注目だ。
納は東洋大に進学。春のリーグ開幕カードでいきなり2番ライトでスタメン起用されるなど活躍中。以降は守備固めなどで起用されることが多いが、確実に一段一段ステップを踏んでいる。
過去のU-18日本代表と比べ、昨年の代表は盤石な投手陣を要していた。高卒1年目から、1軍の舞台で勝利を挙げた藤平の流れに乗って行きたいところだ。野手は大学進学が多く、今後のレベルアップに期待したところだ。
アジアに頂点に立った昨年のU-18代表は、それぞれの舞台で活躍を続けている。
(文・編集部)