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2023年の愛知で注目したい「元女子校」2チーム

2023.01.11

人環大岡崎

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徳山陸(人環大岡崎)

 前身は明治時代末期に設立された岡崎裁縫女学校で、その後、岡崎高等家政女学校、岡崎家政、岡崎女子などを経て、やがて男女共学になるとともに岡崎学園となった。さらに、2022年からは、系列大学の校名を冠して現校名となって付属校色を強く打ち出していくようになった。岡崎女子時代から女子バレーボール部の強豪校でもあり、全国選抜高校バレーボール(春の高校バレー)の初代女王という輝かしい歴史も背負っている。

 そうした、スポーツ部を強化していた土壌に根差して、このところ野球部も県大会の常連となってきている。県大会でも、上位に進出してくるようにもなって来た。昨年秋は県大会では初戦で小牧工科に長身の徳山 陸投手(2年)で完封勝ちしたが、2回戦では優勝した東邦に完敗。力の差を実感させられることになったものの、その後の全三河大会でも成章豊橋中央を下して4強入りしている。

 田中 信宏監督は、「まだまだ、チームとしては底上げをしていかなくてはならない状態ですが、以前よりは、自分たちが何をやっていかなくてはいけないのかということを全員がわかってくるようになってきた」と、希望を得ている。その言葉のように、ミスを少なくして手堅く送るなどという丁寧な野球だ。田中監督の出身校である静岡の伝統校・浜松商の野球が徐々に浸透してきたようだ。

 ことに、今季のチームは、背番号9の長身、徳山と内野手でもある佳山 剛樹投手(2年)がある程度計算できるので、期待も高まる。

至学館

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伊藤幹太(至学館)

 かつての中京女子大附が共学となり、現校名となるとともに2006年に創部して以来、野球部を指導し続けて、6年目の2011年夏と2017年春に甲子園出場まで導いた麻王 義之監督が、秋季大会終了時に「来年夏を最後に指導現場を退く」ということを公表した。

 麻王監督の思いを選手たちもいち早く察知して、秋季大会は名古屋地区2次予選トーナメントでは準決勝で敗退し、3位決定戦でも東邦に敗れて4位での県大会進出となった。しかし、そこから県大会では進撃を重ねて大成豊橋中央刈谷中京大中京に驚異的な粘りで食い下がっていって逆転勝ちなどを繰り返していった。

 麻王監督も、「今年のチームは、2017年にセンバツ出場を果たしたチームに非常によく似ている。選手たちも高い感性で、ボクの思い描く野球に近づいてきてくれている」というのが正直なところのようだ。それだけに、麻王監督のラストサマーに、「監督に花を飾りたい。監督と一緒に甲子園へ行きたい」という選手たちの思いも強くなっていて、期待値は高くなっていく。

 2位校として進出した東海地区大会では、初戦で加藤学園に9回裏サヨナラ負けを喫する形となってしまった。結果としては、秋季東海大会で2年連続のサヨナラ負けということになったのだが、選手たちは、そのことをことのほか悔しがった。

 伊藤 幹太投手(2年)と山本 航投手(2年)という2枚看板の投手陣も安定している。それと、持ち前の機動力というか、「何をやってくるのかわからない」と、相手に思わせる幻惑力というか、仕掛けの野球は、県内の多くの指導者たちも手本としている。「そんなに、素質に恵まれた選手たちが来てくれているわけではありませんから、いろいろ仕掛けていって相手を惑わせていかないといけない」という至学館野球というか“麻王マジック”というか、それが今季に炸裂したら面白くなりそうだ。

(記事:手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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