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近年、急上昇中の京都国際。甲子園出場するための課題と冬の取り組みに迫る【前編】

2020.06.15

 昨年は春の京都大会で初優勝、上野響平が日本ハムからドラフト3位指名を受けるなど、話題を集めた京都国際。今年も早真之介釣寿生(ともに3年)がドラフト候補に挙がっている。そんな京都国際のチーム作りの指針に迫る。

課題は試合での駆け引き、野球力

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シートノックの様子

 今夏に甲子園初出場を成し遂げることはできなかったが、下級生にも有力選手が揃っており、来年以降も十分に期待が持てそうだ。これまでは勝利よりも育成に力を入れてきたが、いよいよ上で活躍できる選手を育てながら勝てるチーム作りに挑戦しようとしている。

 昨夏は甲子園まであと一歩まで迫ったが、決勝戦の立命館宇治戦でサヨナラ負け。序盤に2点のリードを奪うも、8回裏に追いつかれ、9回裏にエースの酒井海央(現日体大)が力尽きた。

 悔しさを味わって始まった新チーム。酒井や上野といったタレントは抜けたが、4番の早、正捕手の釣に加え、内野の要である森下結翔(3年)、安定感のある左腕投手の入海勇太(3年)など軸になる選手は残っていた。今春のセンバツ出場を狙えるだけの力があると思われていたが、小牧憲継監督は秋の時点で甲子園は見えていなかったと話す。

 「持っている能力は高いけど、試合での駆け引きとか野球力がなかったので、その時点で甲子園はまだ見えてなかったですね。去年は勝手に自分たちで考えてできるチームでしたが、今年は能力がある分、それでどうにかなってきて深く考えることができない子が多いです。相手の心理を読む駆け引きとかを一年かけて鍛えていけば、夏には去年のチームを超えるチームになると思っていましたけどね」

 その不安は的中した。準々決勝の京都外大西戦では8回裏に5点を勝ち越すも、直後の9回表に8点を奪われて逆転負け。「流れでやられてしまった」(釣)と勝利への執念を燃やす相手の勢いを止めることができなかった。

[page_break:オフシーズンの取り組み内容]

オフシーズンの取り組み内容

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選手を指導する小牧憲継監督

 大会前の練習試合から終盤の逆転負けは何度かあり、小牧監督はこのような展開もある程度予測していたようだ。冬場には例年よりも実戦練習を多めに取り入れた。さらに「体が大きい割に芯がない子が多かった」(小牧監督)とトレーニングの量も増やしたという。

 「期待している選手はこちらが思っている以上に頑張ってくれましたし、春先の試合が楽しみな状態ではありました」と指揮官は手応えを感じていたが、コロナ渦により、その成果はまだ披露できていない。4月に緊急事態宣言が出てからは寮に住む選手たちも実家に帰り、各自での練習を余儀なくされた。しかし、この経験は選手にとってプラスになると小牧監督は考えていた。

 「残念な気持ちはもちろんありましたけど、どちらかというと一人で頑張れる子が少ない学年なので、自分でどれだけ頑張ってくれるかという意味では楽しみでした。一番の課題が精神面の甘さでしたからね」

 休校期間は選手たちに家でできるトレーニングを提示し、LINEで打撃フォームの確認をするなどして、コミュニケーションを図っていた。さらに体重を増加させるために食事もしっかり摂るように伝えていたという。

 5月25日から活動を再開することができたが、その5日前に夏の甲子園中止が決定。主将の森下ら一部の3年生は落ち込んだ雰囲気を隠せなかった。(後編を読む)

(取材=馬場遼

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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