試合レポート

市立川越vs聖望学園

2022.04.26

Bシード・聖望学園初戦敗退。市立川越が乱戦を制し初戦突破!!

市立川越vs聖望学園 | 高校野球ドットコム
決勝打を放った南(市立川越)

<春季高校野球埼玉県大会:市立川越7-6聖望学園>◇25日◇2回戦◇所沢航空公園

 この日は前日の雨から一転、春らしい陽気となった所沢航空公園球場。第1試合はBシード・聖望学園vs市立川越という2回戦屈指の好カードである。

 ちなみに、この両校は新人戦でも対戦しており、その時は聖望学園が10対3、7回コールドで勝利したが今回はどうか。

 聖望学園は今大会のエースナンバーは左腕の東山陽紀(3年)、打順は昨秋6番の大橋優人(3年)が2番に上がり、昨秋2番の三井颯大(3年)が4番に入る。またこの日は7番に渋谷一輝(3年)、9番に荒江思優(3年)が入る。

 一方の市立川越も2番に浅井祐輝(3年)、3番に南創太(2年)が入り、昨秋9番の田島翔大(2年)が4番に村田一生(3年)が6番に上がる。8番には鈴木善(2年)が入り、昨秋は二塁手だった当麻雄大(3年)が今大会は遊撃に入る。

 先発は、聖望学園が一昨年秋には主戦で投げるなど復活にかける北原鷹門(3年)、一方の市立川越はエースの左腕・関盛宏(3年)が先発し試合が始まる。

 序盤から両校共にチャンスを作るが1点が遠い展開の中、試合が動いたのは3回表であった。

 2巡目を迎えた市立川越は先頭の畠山敦志(2年)が四球を選び出塁すると、続く浅井がきっちりと送り1死二塁とする。ここで3番・南が右翼線へ適時二塁打を放ち1点を先制すると、2死後5番・関も右前安打を放ち2死一、三塁とチャンスを広げる。

 聖望学園ベンチはここで早くも北原を諦め、2番手・右サイドの鎌田悠希(3年)をマウンドに送る。

 だが、その鎌田が誤算であった。

 代わり端、6番・村田に死球を与え2死満塁とすると、続く当麻がフルカウントから右越えの走者一掃となる適時三塁打を浴び、4対0とされマウンドを3番手・エースナンバー左腕の東山へ譲る。

 その東山も代わり端、2死三塁から暴投により、さらに1点を献上する。市立川越はこの回一挙5得点を奪うビックイニングを作り試合の流れをつかむ。


 一方、聖望学園は4回表途中でたまらずエースの岡部大輝(3年)をマウンドに送る。岡部は昨秋とはフォームが変更し、昨夏のようなサイド気味のフォームに戻したようだ。岡部がその後をきっちりと抑えると、ここから反撃が始まる。

 聖望学園はその裏、先頭の双木琉斗(3年)が左前安打を放ち出塁すると、続く江口生馬(3年)がきっちりと送り1死二塁とする。2死後、8番・東山が四球を選び2死一、二塁としチャンスを広げると、続く荒江が右前適時打を放ちまず1点、さらに1番・菅野天空(3年)も左前適時打を放つなどすぐに2点を返す。

 だが、市立川越は5回表、この回先頭の村田が右前安打を放ち出塁すると、続く当麻がきっちりと送り1死二塁とする。さらに8番・鈴木が四球を選び1死一、二塁としチャンスを広げると、続く西村光貴(2年)が中前適時打を放ち6対3とする。

 それでも聖望学園はその裏、この回先頭の上石航大(3年)が遊撃ゴロエラーで出塁すると、続く三井の所で捕逸により一走・上石が二進する。結局、三井も四球を選び無死一、二塁とすると、1死後、6番・江口も四球を選び1死満塁とチャンスを広げる。ここで市立川越・関が鼻血を出し試合が一旦中断する。中断後、2死後8番・東山が左翼へライナー性の打球を放つ。左翼手はその打球に飛びつくが1歩及ばず走者一掃のタイムリー三塁打となり、聖望学園が一気に6対5と1点差まで追い上げる。

 勢いに乗る聖望学園は、6回裏にも先頭の菅野が中前安打を放ち出塁すると、続く大橋がきっちりと送り1死二塁とする。ここで3番・上石が左越えの適時二塁打を放ち、一時6点のビハインドもついに同点まで追いつく。

 こうなると裏攻めということもあり、流れは聖望学園に傾くかと思われた。だが、7回からマウンドに上がった市立川越の2番手・藤井七生(3年)がその流れを止める。

 すると8回表、市立川越は先頭の畠山が四球で出塁すると、続く浅井がきっちりと送り1死二塁とする。ここで3番・南が右翼線へ値千金となる適時三塁打を放ち、再度突き放して見せる。

 一方の聖望学園もその裏、この回先頭の荒江が四球で出塁すると、続く菅野もフルカウントとなる。ここで聖望学園ベンチはエンドランを仕掛けるが菅野はボール球を打ち、ライトライナーに倒れ、一走・荒江も戻れず万事休す。

 最終回も抑えた市立川越が7対6でBシード・聖望学園を下し夏のシードを得た。

 市立川越は新人戦でのリベンジに成功し、大会への入り方として最高のスタートを切った。

「打線は振れている。苦しいゲームになることはわかっていたので同点までは関で。何より藤井の成長が大きい。負けても藤井の経験の場ぐらいの気持ちで試合に臨んでいたので」

 室井監督も目を細めていたが、特にこの日は同点の状況で登板した藤井の好投が大きかった。また、昨秋の県大会はコロナの影響で出遅れ、スタメン出場できなかった南がこの日は大活躍。新チーム結成時から比べると、チーム力が格段に成長している。次の相手はどちらが来ても強敵となりそうだが、この勢いをぶつけたいところだ。

 一方の聖望学園は、まさに痛恨の一敗となった。ショックのあまり、岡本監督がそそくさと球場を後にしたことを考えても、この敗戦の影響の大きさが窺える。この試合一点だけ気になったのは、3回表の2死満塁フルカウントで、外野の位置がそれまでと全く変わらなかった点だ。二走は自動スタートとなるため、短打で本塁は刺しにくい。自分達の打力を考えれば、試合序盤たとえ短打で2点失ってもという状況であり、外野はやや後ろに下がるのがセオリーである。結果、走者一掃のタイムリー三塁打を食らったのだが、結果よりその過程がやや気になった。

 いずれにせよこれで聖望学園はノーシードで夏を迎える。エース岡部を筆頭に、双木、江口など好資材は多い。名将・岡本監督がいるだけにこのままでは終わらないであろう。夏のリベンジに期待したい。

(取材=南 英博

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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