Column

かなり深い理由があった!龍谷大平安に「1番・センター」が多い理由!【前編】

2019.03.21

 全国屈指の名門で、走攻守全てにおいて鍛え上げられている龍谷大平安。実はある打順が毎年のように続いている。それは「1番・センター」だ。

 過去のスタメンを振り返っていくと、2014年センバツ優勝時には徳本健太朗(トヨタ自動車入社予定)、2015年には城島大輝(日本大)、2016年には小川晃太朗(同志社大)、2017年は17038(東洋大入学予定・2018年は3番)、そして今年は中島大輔(新3年)と1番・センターが続いているのだ。

 なぜ龍谷大平安は、俊足の1番センターが多いのか。そして、原田英彦監督が求める1番打者、センターとはいったいどんな選手なのか。その真相に迫る。

自身の現役時代と重ね合わせる

かなり深い理由があった!龍谷大平安に「1番・センター」が多い理由!【前編】 | 高校野球ドットコム
原田英彦 監督

 「1番・センター」という打順について話を進めていくと、原田監督が「僕が長く社会人で1番・センターだったんですよ」と明かしてくれた。

 原田監督は平安(現・龍谷大平安)を卒業後、地元・京都の社会人チームである日本新薬で13年間プレー。当時は俊足がウリの「1番・センター」として活躍していた。そのこともあり、1番打者としての心構えを熟知している。特に重要視していたのが初回の第1打席だ。

 「僕は初回が好きなんです。まずは、1番バッターが初回に出てほしい。僕自身、初回の第1打席を大事にしていましたし、初回の出塁率はメチャクチャ高かったです。チームとして先頭バッターが初回に出るのは先攻であろうが後攻であろうが、こちらが試合を支配できるかなという雰囲気になります」

 初回に先頭打者が出ればチームに「今日はいけるぞ!」という雰囲気ができ、攻撃に流れが生まれる。そこから自分たちのペースで攻撃をして先制点を奪うことができれば、試合の主導権を握ることができるのだ。

 「野球はツーアウトから」という言葉があるが、先頭打者が出塁すれば有利になるのは言うまでもない。各チームの初回の先頭打者が、どんな打撃をするのか注目してみるのも面白いだろう。

 また、かつてセンターだった原田監督はどういった選手をセンターに起用しているのだろうか。そこには自身の現役時代を重ねているという。

 「センターには足の速い子を置きたいと考えています。野球の定説と言うんですかね。やっぱりセンターラインは芯の強い人間が守らないといけないと思います」

 野球においてセンターラインは、重要なポジションである。そのことからセンターには足の速い中心選手が配置されることが多い。龍谷大平安で、1番・センターを務める者はチームの主力として期待されているのだ。

[page_break:打球を推測しやすいポジションがセンター]

打球を推測しやすいポジションがセンター

かなり深い理由があった!龍谷大平安に「1番・センター」が多い理由!【前編】 | 高校野球ドットコム
ダッシュする中島 大輔

 また、そういった選手を抜擢するにあたって他のポジションからセンターにコンバートされることも少なくない。実は昨年のレギュラーだった松本と、今年のレギュラーである中島は内野手からコンバートされた選手。コンバートの基準について原田監督はこう説明してくれた。

 「やっぱり足があるのと内野として通用するかの部分が一番大きいですよね。彼らは内野として通用しないと僕は踏んだので、外野に行かせました。元々、足があったのというのもあります」

 内野手は外野手に比べて細かい動きやプレーが要求される。原田監督は選手の適性を踏まえて外野手の方が向いていると思った選手をコンバートさせているのだ。さらに原田監督は「センターが一番守りやすい」と話す。

 「ピッチャーの球筋が見えますからコースや内野からのサインを受けて予測できます。センターからだと逆球になるのもわかりますから、憶測で速くスタートが切れるんです」

 距離はあるものの、バッテリー以外で正面からピッチャーの球筋を見ることができるのがセンターというポジションなのだ。

 原田監督には現役時代にセンターとしてあるこだわりを持っていた。それが「右中間、左中間を割らせない」ということだ。そのためには様々な準備を欠かさなかったという。

 「球種やカウント、相手のバッター、自分たちのバッテリーの投球パターン、風向きなどを全て加味して守っていました。僕が一番快感だったのは右中間、左中間に打たれてピッチャーが『やられた』と思った時に振り向いたらそこに僕がいて難なく捕っている。センターが割らさなかったら、やっぱりバッテリーにしても助かりますよね。そういう意味でセンターの守備位置は重要だなと思います」

 さらに原田監督は「元気」がセンターで重要な要素だと付け加える。元気があり、声がよく通る選手だと相手への脅威になるのだという。

 前編はここまで。後編では元気あるセンターがなぜ大事なのか。そして現在、センターのスタメンとして活躍する中島大輔選手について。そしてある教え子のエピソードについて語ってもらいました。後編もお楽しみ!

文・写真=馬場 遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.13

圧倒的馬力! 鹿児島実の151キロ右腕・井上 剣也の実力を徹底分析!ライバル・神村学園を翻弄する投球術を身に付けられるか?<高校野球ドットコム注目選手ファイル・ コム注>

2024.06.12

【千葉】13日に抽選会!中央学院、専大松戸が中心、ノーシードの習志野、市立船橋の相手にも注目<夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.06.12

【福島】郡山北工と田村が4強入り<春季支部選手権大会>

2024.06.12

【野球部マネージャー紹介】国分中央の3年生マネコンビ「絶対甲子園1勝しようね!」

2024.06.12

【北海道】帯広大谷は音更と対戦、足寄と帯広三条が初戦で対戦<十勝支部・夏の甲子園予選組み合わせ>

2024.06.11

センバツ出場・東北のレギュラー左翼手がプロボクサー挑戦へ! エースはENEOS、主力は國學院大、国士舘大などへ進学【卒業生進路】

2024.06.11

【北海道】旭川支部の抽選会は12日!旭川実、旭川志峯など強豪の初戦の相手に注目<夏の甲子園予選組み合わせ>

2024.06.10

【沖縄】11日に抽選会!春の覇者・エナジック、ノーシードの沖縄尚学の対戦相手に注目<夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.06.10

【北海道】札幌支部は11日に抽選会!27連勝中の北海に、20年ぶりに春全道大会出場の大麻にも注目<夏の甲子園予選組み合わせ>

2024.06.11

【北海道】十勝支部は12日に抽選会!帯広大谷、白樺学園の初戦の相手に注目<夏の甲子園予選組み合わせ>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに