かなり深い理由があった!龍谷大平安に「1番・センター」が多い理由!【前編】
全国屈指の名門で、走攻守全てにおいて鍛え上げられている龍谷大平安。実はある打順が毎年のように続いている。それは「1番・センター」だ。
過去のスタメンを振り返っていくと、2014年センバツ優勝時には徳本健太朗(トヨタ自動車入社予定)、2015年には城島大輝(日本大)、2016年には小川晃太朗(同志社大)、2017年は17038(東洋大入学予定・2018年は3番)、そして今年は中島大輔(新3年)と1番・センターが続いているのだ。
なぜ龍谷大平安は、俊足の1番センターが多いのか。そして、原田英彦監督が求める1番打者、センターとはいったいどんな選手なのか。その真相に迫る。
自身の現役時代と重ね合わせる
原田英彦 監督
「1番・センター」という打順について話を進めていくと、原田監督が「僕が長く社会人で1番・センターだったんですよ」と明かしてくれた。
原田監督は平安(現・龍谷大平安)を卒業後、地元・京都の社会人チームである日本新薬で13年間プレー。当時は俊足がウリの「1番・センター」として活躍していた。そのこともあり、1番打者としての心構えを熟知している。特に重要視していたのが初回の第1打席だ。
「僕は初回が好きなんです。まずは、1番バッターが初回に出てほしい。僕自身、初回の第1打席を大事にしていましたし、初回の出塁率はメチャクチャ高かったです。チームとして先頭バッターが初回に出るのは先攻であろうが後攻であろうが、こちらが試合を支配できるかなという雰囲気になります」
初回に先頭打者が出ればチームに「今日はいけるぞ!」という雰囲気ができ、攻撃に流れが生まれる。そこから自分たちのペースで攻撃をして先制点を奪うことができれば、試合の主導権を握ることができるのだ。
「野球はツーアウトから」という言葉があるが、先頭打者が出塁すれば有利になるのは言うまでもない。各チームの初回の先頭打者が、どんな打撃をするのか注目してみるのも面白いだろう。
また、かつてセンターだった原田監督はどういった選手をセンターに起用しているのだろうか。そこには自身の現役時代を重ねているという。
「センターには足の速い子を置きたいと考えています。野球の定説と言うんですかね。やっぱりセンターラインは芯の強い人間が守らないといけないと思います」
野球においてセンターラインは、重要なポジションである。そのことからセンターには足の速い中心選手が配置されることが多い。龍谷大平安で、1番・センターを務める者はチームの主力として期待されているのだ。
[page_break:打球を推測しやすいポジションがセンター]打球を推測しやすいポジションがセンター
ダッシュする中島 大輔
また、そういった選手を抜擢するにあたって他のポジションからセンターにコンバートされることも少なくない。実は昨年のレギュラーだった松本と、今年のレギュラーである中島は内野手からコンバートされた選手。コンバートの基準について原田監督はこう説明してくれた。
「やっぱり足があるのと内野として通用するかの部分が一番大きいですよね。彼らは内野として通用しないと僕は踏んだので、外野に行かせました。元々、足があったのというのもあります」
内野手は外野手に比べて細かい動きやプレーが要求される。原田監督は選手の適性を踏まえて外野手の方が向いていると思った選手をコンバートさせているのだ。さらに原田監督は「センターが一番守りやすい」と話す。
「ピッチャーの球筋が見えますからコースや内野からのサインを受けて予測できます。センターからだと逆球になるのもわかりますから、憶測で速くスタートが切れるんです」
距離はあるものの、バッテリー以外で正面からピッチャーの球筋を見ることができるのがセンターというポジションなのだ。
原田監督には現役時代にセンターとしてあるこだわりを持っていた。それが「右中間、左中間を割らせない」ということだ。そのためには様々な準備を欠かさなかったという。
「球種やカウント、相手のバッター、自分たちのバッテリーの投球パターン、風向きなどを全て加味して守っていました。僕が一番快感だったのは右中間、左中間に打たれてピッチャーが『やられた』と思った時に振り向いたらそこに僕がいて難なく捕っている。センターが割らさなかったら、やっぱりバッテリーにしても助かりますよね。そういう意味でセンターの守備位置は重要だなと思います」
さらに原田監督は「元気」がセンターで重要な要素だと付け加える。元気があり、声がよく通る選手だと相手への脅威になるのだという。
前編はここまで。後編では元気あるセンターがなぜ大事なのか。そして現在、センターのスタメンとして活躍する中島大輔選手について。そしてある教え子のエピソードについて語ってもらいました。後編もお楽しみ!
文・写真=馬場 遼