Interview

【ロッテ育成指名】上位候補として注目された192センチの長身右腕・白浜快起(飯塚)の現在地。ケガがあっても負けず嫌いは健在

2023.01.07

 2022年10月20日に行われたプロ野球ドラフト会議2022で、エンゼルス・大谷 翔平投手(花巻東)と同じ7月5日生まれの大型右腕が育成指名を受けた。ロッテ育成2位指名の飯塚(福岡)・白浜 快起投手だ。

 身長192センチの白濱にとって、長身右腕の大谷は憧れの存在で、投げ方、体の使い方などを研究し成長につなげてきたと言う。まずは支配下登録へ強い意気込みを語る。

「今自分の立場は育成なので、1軍というよりは這い上がることを2年間かけてやっていかないといけません。早ければ23年には支配下に上がりたいと考えているので、1日でも早く全力で投げれるように頑張っていきたいと思います」

 1日でも早く全力で。

 そう語るのは、ケガに苦しんだ1年間があったからだ。

肘痛で力を出せぬまま終わった高校野球

【ロッテ育成指名】上位候補として注目された192センチの長身右腕・白浜快起(飯塚)の現在地。ケガがあっても負けず嫌いは健在 | 高校野球ドットコム
白浜 快起(飯塚)

 ちょうど1年前、白浜はドラフト上位候補とまで呼ばれる存在だった。192センチの長身から最速146キロの直球を投げ込み、「無限の可能性を秘めた大型右腕」として大きな注目を集めていた。

 だがドラフト指名への試金石となる春季大会の直前、思わぬアクシデントに見舞われた。

「春先に肘を痛めてしまい、そこから上手く投げれなくなってしまいました。そこが高校野球で一番悔いが残る部分で、夏も調子が上がらないまま終わってしまって。秋の時点で146キロが出て、冬の練習でも148キロぐらいは出ている感触はありました。正直、150キロもすぐに出せると思っていたので、本当悔しかったです」

 コンディションが上がらないまま迎えた夏は、甲子園を考える余裕すらなかった。球速は130キロ中盤から上がらず、下級生投手の力も借りながらマウンドに立ち続けたが、準決勝で敗れ高校野球に幕を下ろす。

 大会前は、メンバーから外れることを自ら申し出ることも考えたが、最後は「チームのために」という思いで投げ続けた。

「自分では本当に自信があったので、力を出せなかったことが悔しかったです。甲子園のマウンドに立って、そこで活躍してドラフト指名という道のりもイメージしていたので。夏はただ、チームのためにということだけを考えて投げていました」

[page_break:兄の紹介で決めた飯塚への進学]

兄の紹介で決めた飯塚への進学

【ロッテ育成指名】上位候補として注目された192センチの長身右腕・白浜快起(飯塚)の現在地。ケガがあっても負けず嫌いは健在 | 高校野球ドットコム
白浜 快起(飯塚)

 ケガに苦しみ、力を出せないまま終わった高校野球。それでも高い潜在能力が評価され、ドラフト会議ではロッテから育成2位指名を受けた。一時は「プロに行けなかったら高校で野球を辞めようとも考えた」と明かすが、現在は新人合同自主トレに向けて、コンディションの回復を最優先に練習している。

「今はプロの練習に合流して困らないように、体づくりを優先に考えていています。フォームを見直してコンディションを整えたり、ケガをしにくい体づくりを意識していて、体重も6キロくらい増えて89キロになりました。
 自分は負けることが嫌いなので、誰にも負けない投手になりたいと思いますし、日本代表に選ばれるような選手になって活躍したいと思います」

 また夢を後押ししてくれた兄への思いもある。

 福岡県・飯塚高校で3年間を過ごしたが、実は広島県呉市出身だ。

 呉市立広中央中学校では軟式野球部に所属し、中学2年にして133キロを記録するなど大器の片鱗を見せていたが、その後はケガの影響で1年間登板はなし。進路も思うように決まらず、地元の公立高校への進学も考えていたが、そんな時に手を差し伸べてくれたのが兄の威吹さんだった。

 威吹さんは、山口県の実力校・早鞆出身で甲子園にも出場した。弟にハイレベルな環境で勝負してほしいと、自身の繋がりから飯塚高校を紹介。白浜も飯塚の環境に心が動き、越境入学を決意した。

「元々県外からも声がかかっていたのですが、その時は行く気がなくて。ギリギリのタイミングで、兄が地元で終わらせたくないと探してくれたんです。 吉田(幸彦)監督も身長が高いということですぐに獲ってくださって、兄にも監督も本当に感謝しています」

 「高いポテンシャル」と「縁」でつかんだプロの世界。高校時代の悔しさを晴らし、そして兄への感謝をプレーで示すことができるか注目だ。

(取材:栗崎 祐太朗

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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