Interview

「ドラ1を目指して大学に進んだ」名城大の右サイド・松本凌人(DeNA2位)が進化のために取り組んだこと<年末特別企画・ドラフト指名5投手の成長物語③>

2023.12.29


松本凌人(名城大)

今年のドラフト会議でDeNAから2位指名を受けた名城大の松本 凌人投手(神戸国際大附出身)。最速153キロの速球、スライダー、シンカーを武器に、大学トップレベルのサイドスローだ。

神戸国際大附時代から140キロを超える速球を投げ込む投手して注目され、3年には春季県大会優勝、夏の兵庫大会でも準優勝をはたしている。甲子園の出場は叶わなかったが、全国レベルの投手だった。

名城大では2年時にエースとして大学選手権出場に導く活躍。3年時には大学日本代表候補に選ばれた。
高校時代から強いプロ志望だった松本は4年後、さらに良い評価を経てプロ入りするために、名城大へ進んだ。4年間の成長の歩みと取り組み。ドラフト前に語った決意に迫る。

今年のドラフト会議でDeNAから2位指名を受けた名城大の松本 凌人投手(神戸国際大附出身)。最速153キロの速球、スライダー、シンカーを武器に、大学トップレベルのサイドスローだ。

神戸国際大附時代から140キロを超える速球を投げ込む投手して注目され、3年には春季県大会優勝、夏の兵庫大会でも準優勝をはたしている。甲子園の出場は叶わなかったが、全国レベルの投手だった。

名城大では2年時にエースとして大学選手権出場に導く活躍。3年時には大学日本代表候補に選ばれた。
高校時代から強いプロ志望だった松本は4年後、さらに良い評価を経てプロ入りするために、名城大へ進んだ。4年間の成長の歩みと取り組み。ドラフト前に語った決意に迫る。

サイドスローの出会いから第一歩に

高校時代の松本凌人

松本の代名詞であるサイドスローの出会いは高校1年秋。青木監督の薦めからだった。
「監督さんからサイドスローにしたらどうだと言われて、自分自身、あまり結果残せていなかったので、迷わずサイドスローにしました」

この転向が松本の持ち味を活かすことになった。
「昔からスライダーには自信があったので、体の回転も合っていたと思います」
結果はすぐについてきた。3年春には県大会優勝。近畿大会にも出場。2019年当時、140キロ中盤の速球、切れのあるスライダーを投げる右サイドは全国でも松本と専大松戸の横山 陸人投手(現ロッテ)しかおらず、まさにスカウト注目の存在だった。

しかし最後の夏は決勝戦で敗退し、甲子園出場は叶わなかった。最初はプロ志望だったが、進学を決断する。

「プロに行きたい気持ちは強かったんですけど、実力的には全然足りていないところがあって、もう一段階レベルアップが必要と考え、進学しました」
進学する意思を聞きつけ、関西の大学などからも誘いがあったが、安井監督からの誘いを受け、名城大進学を決める。

「元プロの山内 壮馬コーチ(元中日)がいて、投手として何が足りないのかを学びたい思いがあったので、名城大に決めました」

大学2年にはストレートが140キロ中盤から一気に150キロに到達した。
「ランニング、ウエイトトレーニングをしたこと、高校時代の体重82キロから88キロまで増量したことで、少し体の強さがでてきたと思います。食事面も工夫して、ご飯も3杯食べるなど、量を増やしたことで、体重も増えてきました」

こうした体作りの影響もあり、名城大のエースとして着実にプロへの階段を登っていた松本。3年生時は大学選手権ベスト8、明治神宮大会ではベスト4入りを果たした。
「明治神宮大会は初めての大会でしたので、とても緊張したことを鮮明に覚えています。各大学の強いチームと対戦して、成長できたと思っています」

4年春に防御率4点台 直球、シンカーを磨き、防御率1点台!そしてドラフト2位に

松本凌人(名城大)

最終学年では、「ドラフト1位」を目指して取り組んだ。

しかし4年春は満足いく投球ができたとは言い難い。15試合を投げて、防御率4.93に終わった。

「自分の成績はもちろんふがいなかったのももちろん、一番は自分がチームを勝たせられなかったことが悔しかったですね」

まず取り組んだのはストレートの強さを取り戻すことだった。

「真っ直ぐの強さを取り戻すために、フォームの見直しや、トレーニングにも取り組みました」強いストレートを投げるための工夫は取材の際も見られた。アップやトレーニングが終わり、キャッチボールに入ると、実に力強い球を投げるのだ。短い距離のキャッチボールであれば、ぐっと伸びてくる。こんなに全力で投げるキャッチボールもあまり見たことがないので、ブルペンに向かう松本に話を聞くと、「自分はできるだけ強いボールを投げています。そうしないと実戦で強いストレートを投げられないです」と語る。実際に強いストレートを投げる手応えは夏から感じていた。

「だんだん指にかかったストレートは投げられる手応えは感じていて、今ではいかに継続できるかに取り組んでいました」

さらに右サイドスローの永遠の課題は、左打者をどう抑えられるか、である。松本が選んだ決め球はシンカーだった。

「サイドスローからすると左打者は対策しないといけない打者なので、自分のストレートの強さを磨きつつ、左打者から逃げるようなシンカーの練習をしてきました。練習をしてその手応えは感じています」
取材の際の投球練習でも切れの良いシンカーを投げ込んでいた。

松本凌人(名城大)

また、松本を刺激する存在となったのはソフトバンク2位指名を受けた岩井 俊介投手(京都翔英)だった。
「岩井が良い投球を見せると、自分も良い投球をしたいと思ったので、良い刺激になっていたと思います」

ドラフト前では元プロの山内コーチからのアドバイスを元にボールの精度を更に高めることを意識していた。

「『ミスしてからの修正力がプロ、アマチュアの違い』といわれていたので、良い球を何球も続けることをテーマにして投球練習をしていました」
秋の投球成績は8試合を投げて、リリーフ中心に防御率1.17の好成績を残し、優勝に貢献した。リーグ優勝を決めた中部大戦で、3.2回を投げ、1失点の好リリーフ。春のリベンジをはたした。

ドラフトでは目標の1位ではなかったが、秋の好投も高く評価され、2位指名となった。
「やはりチームの勝利に直結できる投手になりたいですし、そこで活躍できる投手が良い投手だと思うので、チームをためになる投手になりたいです」

1年目からDeNAのブルペンを支える存在になれるか、注目だ。

<年末特別企画・ドラフト指名5投手の成長物語>はこちら
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この記事の執筆者: 河嶋 宗一

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