試合レポート

盛岡中央vs花巻東

2022.07.23

斎藤響介VS花巻東打線!プロ注目右腕・斎藤が盛岡中央を14年ぶり決勝に導く好投

 <第104回全国高校野球選手権岩手大会:盛岡中央3-2花巻東>◇23日◇準決勝◇岩手県営

 新チーム発足以降県内負けなしの優勝候補・花巻東と、プロ注目右腕・斎藤響介(3年)擁する盛岡中央が準決勝で激突。これまで数々の伝説が生まれた岩手県営野球場のスタンドは、新たな伝説を目撃しようと訪れた高校野球ファンらで埋め尽くされた。

 盛岡中央のエース・斎藤は今大会4試合に登板し、28.2回を投げ1失点40奪三振と圧巻の投球を続けてきた。一方の花巻東は、高校通算74本塁打の2年生スラッガー・佐々木麟太郎を中心に3試合で33得点と打ちまくり、順当に勝ち上がってきた。

 まずマウンドに上がったのは、花巻東の先発・工藤翔大(3年)。わずか6球で三者凡退に打ち取り、好スタートを切った。その裏、2死走者なしで斎藤対佐々木の注目対決が実現。2ボールから147キロの直球を弾き返し、強烈な打球が一、二塁間を破った。続く4番・田代旭(3年)には四球を与えピンチを広げたが、5番・小澤修(3年)は左飛に仕留め、斎藤もなんとか初回を無失点で切り抜けた。

 試合が動いたのは3回。盛岡中央が主将・菊池快(3年)のチーム初安打をきっかけに1死一、三塁と好機をつくると、2番・佐々木優吾(3年)、4番・小笠原彩(3年)が適時打を放ち2点を先制した。

 追う展開となった花巻東打線は4回、小澤が直球を完璧に捉えた本塁打を放ち反撃ののろしをあげる。5回には2死から四球と盗塁で得点圏に走者を進め、2番・渡辺陸(3年)の右前適時打で追いついた。

 同点の7回、盛岡中央が勝ち越す。2番手・萬谷大輝(3年)を攻め1死二塁とすると、3番・三上拓夢(3年)が左翼手の頭を越える適時二塁打。「頑張って投げている響介を助けたかった」。中学時代から斎藤とチームメイトだった三上が値千金の一打を放ち、二塁上で拳を高く突き上げた。

 味方打線が勝ち越して以降、斎藤がギアを上げる。球数が100球を超え、6回は球速がやや落ちていたが、7回には再び140キロ台後半をマーク。2死一塁の場面ではここまで右安、中飛、右安としていた佐々木を迎えたが、変化球で右飛に抑えた。

 8、9回も球速と変化球のキレは衰えず、いずれも三者凡退に抑え見事完投。強力・花巻東打線を封じ込み、チームを14年ぶりの決勝進出に導いた。試合後は「花巻東が勝つだろうと思っている人が多い中で、自分の投球ができてよかった」と充実した表情を浮かべた。

 「チームのみんなが打ってくれた中で、自分が打てなくて申し訳ない」。花巻東は敗れたものの、好投手・斎藤から9安打をマーク。そんな中、先発野手で唯一、4番で主将の田代旭(3年)に安打が出なかった。高校通算52本塁打を誇るプロ注目捕手だが、試合後の取材では涙が止まらなかった。それでも、佐々木洋監督が「人間的にも、技術的にも、最高のキャッチャー」と評した実力と実績は揺るがない。

 「すばらしい選手たち、いい子たちで最高のチームだった。まだまだ彼らと長く試合をしたかった」(佐々木監督)。さらに強くなった花巻東が、秋に戻ってくるのが楽しみだ。

(文=川浪 康太郎)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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