試合レポート

早稲田実業vs中京大中京

2017.06.03

両主砲の競演でスタートした打撃戦は早稲田実業が制する!

早稲田実業vs中京大中京 | 高校野球ドットコム
2本目の本塁打を打った鵜飼(中京大中京)

 満員の[stadium]刈谷球場[/stadium]。早稲田実業vs中京大中京の名門同士の一戦は両主砲の競演から始まった。

 まず見せたのは中京大中京の4番鵜飼 航丞だ。二死からレフトスタンドへ飛び込む2ランホームランで2点を先制した。

 だが早稲田実業清宮幸太郎もいきなり見せる。先発の香村篤史が投じた外角よりのチェンジアップを泳ぎながらも、レフトスタンドへ飛び込む3ランで逆転に成功する。打たれた香村は「左打者に流し打たれたのは初めて」と驚愕の一発だった。この本塁打で勢いづいた早稲田実業は、打者14人の攻めで、一気に9得点を入れ、2回裏にも1点を入れ、10対3と大量リード。だが中京大中京も早稲田実業投手陣を捉え、5回表には中京大中京の4番鵜飼が高めのストレートを捉えて、レフトスタンドへ飛び込む2ランホームランなど、6回表まで10対8と2点差まで追い詰める。鵜飼はこの春23本目の本塁打と超ハイペースの本塁打。鵜飼の長所はヘッドスピードの速さとコンタクト能力が高いことだ。この2つの長所は、普段の打撃練習から、1球1球集中して打つ練習と、下半身を中心としたウエイトトレーニングで筋力をつけたこと。一冬超えて、体重5キロ増に成功した鵜飼は、軽く振っていてもヘッドスピードは速く、強い打球を打てるまでの選手に成長。一気に量産体制に入った。ボールを飛ばす能力は「清宮には負けたくない」と語った鵜飼。高校通算53号もなかなかのハイペースである。

 そして中京大中京は2番手左腕の伊藤稜(3年)が好投。クイック気味に始動し、コンパクトなテークバックを取って、一気に腕を振りだすフォームをした変則的な投手だが、球速は常時135キロ~141キロを計測。清宮から高めのストレートで三振を奪い、4番野村大樹からもスライダーを織り交ぜた技ありの投球で、三振を奪うなど、5.2回を投げて、被安打4、自責点1、8奪三振の快投を見せた。伊藤稜は「変化球の精度が低かったので、これまで変化球を磨いてきたのですが、それが成果となって現れました。良かったのはスライダーですね」と手応えを実感していた。高卒プロというタイプではないが、変則ながら140キロを投げられる左腕なので、需要は高いタイプ。大学進学以降で、一気に頭角する可能性を持った投手であった。


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高校通算98号本塁打を放った清宮幸太郎(早稲田実業)

 そして7回表、無死一塁から3番谷村優太(3年)の適時三塁打で、1点差に詰めると、一死一、三塁から6番小川原昌也(3年)の内野安打で同点。去らに7番伊賀功晟(1年)が適時打を打ち、勝ち越しに成功。二死一、二塁から代打・鈴村哲(3年)がライトへ本塁打を放ち、14対10とした。

 だが、早稲田実業はこのままで終わらない。7回裏から中京大中京は3番手に最速143キロ左腕・磯村峻平を投入。立ち上がりから130キロ後半の速球を連発。テークバックが大きいフォームから繰り出す速球には威力があり、1年前のエース・長谷部銀次(現・慶応大)より強いボールを投げられる素質を持った投手である。だが、長谷部は「今日はいつもよりボールは来ていないですし、高めにボールが上ずっていた」と話すように、一死一、二塁の場面で、清宮の第5打席を迎えた。清宮は外角ストレートを捉えて右中間の最深部に飛び込む3ラン本塁打で、14対13となる。

 そして8回裏、早稲田実業は1番雪山幹太(2年)の適時打で同点に追いついた。

 9回表、中京大中京は一死満塁から1番伊藤康祐(3年)の犠飛、2番竹田健人(3年)の適時打で16対14で勝ち越した。しかしその裏、早稲田実業は一死二、三塁から敵失で1点差に追いつくと、そして7番小西優喜が左越えの適時二塁打で二者生還し、逆転サヨナラ勝ちを決めた。

 壮絶な打撃戦を制した早稲田実業。まだ投手陣の出来に不安を残すが、お得意の打撃戦を制し、愛知の高校野球ファンを沸かせた。

(取材・写真=河嶋宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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