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エース・達以外も日本代表経験者などタレント揃いの天理を徹底分析

2021.03.17

 近畿6枠目として選抜の出場をつかみ取った天理。2年連続25回目の選抜となるが、過去に春夏ともに優勝経験があるなど、高校野球界の屈指の名門校として2度目の春の頂点を目指す。そんな天理の戦力を見ていきたい。

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達 孝太(泉州阪堺ボーイズ出身)

【投手陣の中心】
達 孝太(泉州阪堺ボーイズ)
森田 雄斗(南紀ボーイズ)
仲川 一平(葛城ボーイズ)
南沢 佑音(大東畷ボーイズ)

 近畿王者・智弁学園に唯一公式戦の黒星を付けた天理の最注目選手となると、達の存在は欠かせない。身長193センチの高身長を活かした角度を付けたストレートは最速146キロを計測。フォークをはじめとした変化球のコンビネーションも抜群で、練習試合21戦で奪った三振は145個。1試合平均6~7個は奪っていく能力がある。

 このピッチングには指揮官・中村良二監督も「練習試合でもほとんど抑えていて、なおかつ奪三振率も高い。なので、守っていて安心できたのか、先に点数を取る。もしくは取られても取り返す余裕がありました」と達の存在の大きさを語っていた。

 その達は「春夏は万全な状態で投げられるようにしたい」と意気込んでいたが、選抜の舞台でどういった投球を見せるのか。

 ただチーム内の課題は、その達の後ろを担う2番手以降の投手の育成にある。秋の大会で左の森田と仲川。そして右の南沢が秋の大会で登板経験がある。

 なかでも南沢はU12日本代表に選出された実績があり、現チームメイトの戸井ともに国際試合を経験している。練習試合も見ると、2番目に多い49回3分の1を投じており、さらなる成長が期待される。

【攻撃陣の中心】
1番 右 内山 陽斗(羽曳野ボーイズ)
3番 三 戸井 零士(松原ボーイズ)
4番 左 瀨 千皓(生駒ボーイズ)

 伝統的に強打で知られる天理の主力打者として中心を担っているのは上記3名。内山主将は中学時代にU15を経験。チームメイト・杉下とともに日の丸を背負って戦ったが、新チーム結成前までは1年冬に膝の手術をした影響で戦線離脱。新チーム結成直前に復帰したが、下半身主導のバッティングを意識してバットを振り続け、ひたすら練習量をこなして秋季大会に入った。

 調子自体は悪かったとのことだが、終わってみれば公式戦打率.545という驚異的な数字を残した。投票によって選ばれた主将に嬉しさとプレッシャーを感じながらであったが、見事バットで選抜にチームを導いた。

 その内山とともに打線を引っ張るのが4番・瀬だ。2019年の神宮大会では2本のホームランを放つ活躍などでブレークすると、新チームでは4番として練習試合含めてチームトップの30打点をマーク。勝負強いバッティングで選抜でもチームを勝利に導けるか。

 そして下級生として打線を支える戸井も見逃せない。U12を経験した選手で、昨秋の公式戦では打率.429というチーム2位の好成績をマークした。下級生スラッガーとして選抜をきっかけにブレークするか注目だ。

[page_break:走塁の中心/春浮上のためには]

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杉下 海生(泉佐野シニア出身)

【走塁の中心】
2番 遊 杉下 海生(泉佐野シニア)
6番 二 堀内 太陽(京都丹後シニア)
7番 中 石本 紘都(橿原磯城シニア)

 練習試合も含めると盗塁40と決して多くはないが、そのなかで走力が光るのが2番の杉下。主将の内山とともにU15の代表経験を持つ杉下は50メートル6.2秒の快足を活かしたスピード感溢れるプレ―が持ち味。守備の要としても選抜の舞台での活躍が期待される。

 その杉下を凌ぐ俊足の持ち主が6番・堀内。50メートル5.8秒という脚力で練習試合も合わせて盗塁数はチームトップの18個を記録。すり足の無駄の少ないフォームでボールを捉える堀内は、練習試合までの結果を含めた打率も3割後半と高い数字が残っている。

 近畿大会では大阪桐蔭松浦 慶斗からタイムリーを放つなどの活躍を見せており、選抜では足とともにバットでも活躍なるか期待がかかる。

 石本も50メートルは6.3秒という走力を持っており、塁に出すと厄介な選手である。

【春浮上するためには】
 先述した通りだが、達の次を担う2番手以降の育成が課題の1つだ。「2、3番手を作らないと夏に間に合わない」と中村監督も語っており、投手層の充実が春浮上のカギを握りそうだ。さらにチーム全体の底上げも必要な課題に挙げていた。

 「チーム内でもレベルの差が激しいので、そこを詰めて厳しい競争を出来ればと思います。それでメンバーが1人でも変われば成長の証だと思います」(中村監督)

 達を軸にした「不思議なチーム」と評価された今年のチーム。脱・達 孝太、そして野手陣の奮起が春浮上のポイントとなりそうだ。

(文=田中 裕毅

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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