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八戸学院光星高等学校(青森)「八戸学院光星・仲井 宗基監督が教える『強打者』への道」【前編】

2016.11.29

 東北を代表する甲子園の常連校・八戸学院光星(青森)。これまで日本を代表するリードオフマン・坂本 勇人(読売ジャイアンツ関連記事)、今季大ブレイクを果たした北條 史也(阪神タイガース)、千葉ロッテマリーンズの正妻をつかんだ田村 龍弘。そして今年、福岡ソフトバンク育成3位指名を受けた田城 飛翔関連記事をはじめ、次のステージで活躍する強打者を数多く育ててきた。

 では、高校球児の誰もが憧れる「強打者」になるための秘訣とは?仲井 宗基監督がそのポイントを教えてくれた。

強打者への絶対数値は「ベンチプレス80キロ・スクワット自体重×2.5倍」

八戸学院光星高等学校(青森)「八戸学院光星・仲井 宗基監督が教える『強打者』への道」【前編】 | 高校野球ドットコム

サンドバッグをたたく選手(八戸学院光星高等学校)

 2010年春に仲井監督監督が就任してから、甲子園春夏合わせて9回出場している八戸学院光星。加えて出場9回すべてで初戦突破。2011年夏2012年春は3大会連続準優勝。2014年夏にもベスト8。その好成績を支えているのは3季連続甲子園準優勝時の主軸・北條 史也(阪神タイガース)、田村 龍弘(千葉ロッテマリーンズ)なども輩出してきた「強打者の育成」である。

 そこで高校球児の皆さんは思うことだろう。「僕も八戸学院光星の選手のようになりたい!」
ただ、八戸学院光星にはそんな強打者へ到達するスタートラインに立つための絶対数値が存在する。

1.ベンチプレス80キロ
2.スクワット自体重×2.5倍

「まずはこれぐらいのパワーがなければベンチ入りはできません」と明言する仲井監督。技術的に優れていても、この数値が達成できない限りベンチ入りは不可能。これが八戸学院光星の伝統である。実際、「自分はそんなにパワーがない方です」と語る田城 飛翔でさえ、ベンチプレス90キロ。そしてレギュラー、ベンチ入りの選手のほとんどはベンチプレス100キロ超えがほとんどである。因みに過去には、ベンチ入りしていない選手でも大学進学後、パワー競技のアメリカンフットボール部で活躍した例もある。

 もちろん、そこに至る道筋は指導者側から発信する。たとえばオフ期間においては筋力トレーニングは週5回。上半身中心のベンチプレス、下半身中心のスクワットトレーニングなどバランスよく身体を鍛える。

 また、食事についても「身長-体重=95キロ」を指針に朝からどんぶり飯3杯以上の食事量が通例。強打者への土台を作るため、妥協なき身体づくりが八戸学院光星では日々繰り広げられている。

[page_break:八戸学院光星がこだわる「トップの動作」]

八戸学院光星がこだわる「トップの動作」

八戸学院光星高等学校(青森)「八戸学院光星・仲井 宗基監督が教える『強打者』への道」【前編】 | 高校野球ドットコム

トップの動作を確認する足立 裕紀選手(八戸学院光星高等学校)

 このようなトレーニングと同時に、八戸学院光星では振る力を「素振り」中心で付ける。1日のスイング数はシーズン中でも300スイング。毎年11月に行われる強化練習期間では800スイング以上。一年を通じて通常の素振り、早振り、コース別の素振りなどバラエティーに富んだメニューの中で、選手たちはスイングするスタミナを養う。

 さらにもう1つ。基本的に選手の打撃フォームを大きくいじることはない八戸学院光星だが、1つだけ技術面でこだわっていることがある「トップの取り方」だ。ここで、仲井監督から謎かけのボールがが筆者に投げられた。
「打者がトップに入るとき、どんなイメージを持っていますか?」

 トップといえば……。「打者が始動を仕掛けたときに、バックスイングを取ったときの動作」と思い浮かんだ。しかし、これは仲井監督に言わせれば「不正解」である。

「そう思いますよね?でも、トップで両腕が止まっていると、そこからバットをスムーズに出すことはできますか?できませんよね。始動に入ってからインパクトに入るまで両腕の動きが止まってしまうのはNGなんです。ですから、私が教えているのは、トップを取ったときに、少し反動を使うことです。大きすぎると振り遅れてしまうので、少し反動を使って打ちに行くことで、強い打球を打ち返すことができます。

 だからトップに入ったときに両腕が止まったままボールを待っている選手に対しては、『見逃しにいっているのか?』といっています。歴代の教え子やプロ野球選手を見ると、そういう動作ができています」

 八戸学院光星OB・仲井監督が指導した阪神タイガース・北條 史也選手の打撃にもその動作が確かに見える。トップを作りながらも小さく手首を動かし、そこからインパクトまで反動を使って叩いている。

 このトップ作り、実は覚えこむのはかなり難しい。プロ入りした田城ですら「最初は難しかったです」と振り返れば、現チームの5番中堅手・秋の青森県県大会ではプロ注目右腕の八戸工大一古屋敷 匠真の初球スライダーをバットに乗せる技あり本塁打を放った花房 大晴も「僕も1年かかりました。今もできているかわからないですけど、それを意識したことで強い打球を打つことができています」との弁。

 すなわち八戸学院光星にとって、素振りは強打者となるトップの動作を身に付けるための大事なレッスン。逆にこれができた時には、強打者への扉が開くことになる。

 後編では、知っておけば損がない配球の読み方について仲井監督が解説していただきます!お楽しみに!

(取材・文=河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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