試合レポート

鹿屋中央vs奄美

2014.07.17

奄高に新風・奄美

 鹿屋中央が攻守に地力の差をみせてコールド勝ちだった。

 初回に3番・吐合駿一郎(3年)の右翼線二塁打で先制。3回は二死から4連打を浴びせて3点を加点し突き放すと、4回以降もそつなく加点した。

 奄美は5月のNHK旗鹿児島実戦に続いて、第1シード鹿屋中央を相手に底力の差を見せつけられた。

 3回までは毎回三塁まで走者を進めたが「あと1本を打つ力」がなかった。相手は、3回のように二死からでも4連打を浴びせて点を取る底力があった。

 4回一死一三塁の守備。けん制で一走を釣り出し、一二塁間で挟んだ。狭殺プレーで一走をアウトに取れれば最高だが、アウトが取れなくても、三走を返さなければOKの場面である。ところが三走の動きにつられて、一塁手が慌てて三塁に悪送球。1点を献上し、傷口を広げた。

 4回以降は、縦のスライダーのキレが増した先発の空地大成(3年)を攻略できず、内野安打1本しか打てなかった。「本気で勝とうという気持ち」(四本凌主将・3年)が強い分、一つのほころびで空回り出すと、それを挽回する底力はまだ備わっていなかった。

 悔しい負け方だったが、自分たちらしい野球はやり切れた。前園監督は「強豪私学を倒すために何をしなければならないのか。本気で考えるきっかけを、この3年生たちが作ってくれた」ことに頭が下がる思いだった。

 振り返れば、昨年まで数年間の奄美は、1勝するためにどうすればいいかに、もがき苦しんできた。この1年間は、昨秋ベスト16、今春8強と当たり前のように勝つことができるようになり、強豪私学に挑むところまでステージが上がった。「野球好きの野球小僧の集まり」(前園監督)だった13人の3年生を中心に野球部が「奄高に新しい風をもたらした」ことは間違いない。

 奄美が「もう一つ上のステージ」(前園監督)に進み、強豪私学をも倒すためにまず必要なことは「相手のチャンス、自分たちがピンチの場面で、落ち着いて守れるようになること」だと四本主将は痛感している。

 3年生が残してくれた「宿題」。
今度はこれまで試合に出ていた2年生たちを中心に残った下級生全員で克服していく。

(文=政 純一郎

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.20

【春季京都府大会】センバツ出場の京都国際が春連覇!あえてベンチ外だった2年生左腕が14奪三振公式戦初完投

2024.05.20

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在31地区が決定、宮城では古川学園、仙台南、岩手では盛岡大附、秋田では秋田商などがシードを獲得

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉

2024.05.20

【秋田】横手清陵と本荘が8強入り、夏のシード獲得<春季大会>

2024.05.21

いまも3人が現役で奮闘中! 200勝達成したダルビッシュの同期生

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.17

「野球部や高校部活動で、”民主主義”を実践するには?」――教育者・工藤勇一さん【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.5】

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.19

【東海】中京大中京がコールド勝ちで17年ぶり、菰野は激戦を制して23年ぶりの決勝進出<春季地区大会>

2024.05.18

【秋田】明桜がサヨナラ、鹿角は逆転勝ちで8強進出、夏のシードを獲得<春季大会>

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?