試合レポート

都立雪谷vs都立葛飾商

2013.03.24

都立雪谷vs都立葛飾商 | 高校野球ドットコム 

力投する鈴木(都立雪谷)

都立雪谷・鈴木 13奪三振完封で寄せ付けず

ブロック予選から登場の都立雪谷。都立の雄といわれるチームだけにあり、今年も楽しみな投手が現れた。鈴木 優。入学時から高い期待を受けて都立雪谷の門を叩いた新2年生右腕。この日は都立葛飾商打線を全く寄せ付けなかった。

初回は先頭打者から二者連続三振を奪うと、それから奪三振ラッシュ。次々と三振を奪っていき、6回まで13奪三振。そしてヒットはわずか1本と都立葛飾商を寄せ付けない投球を見せた。

彼は智弁学園の青山 大紀(現・トヨタ自動車)とイメージすると分かりやすいだろう。テークバックが小さく、沈み込みが小さい投球フォーム。球速は135キロ程度は出ていそうだ。テークバックは小さいだけではなく、トップで肘を上げるまでのスピードが速く、そこから急に腕が出てくるので、打者からすれば打ちにくく、右打者はかなり打ちにくくしていた。 

ストレートの勢いは本人からすると6割程度の力加減で、自己最速は143キロ。彼の腕の振り、ボールの勢いからして140キロ近いストレートは投げ込んでいてもおかしくはないだろう。

変化球の切れも素晴らしく、球種自体は多彩で、都立葛飾商は彼の変化球に全くタイミングがあっていなかった。球種は横に大きく曲がるスライダー、それよりも遅いが、更に大きく曲がるカーブ。球速が速く、打者の手元で落ちるスプリットを投げている。


都立雪谷vs都立葛飾商 | 高校野球ドットコム 

鈴木(都立雪谷)

 都内の新2年ならば都立小山台伊藤 優輔に匹敵する存在ではないだろうか。ストレートの勢い、スピードは鈴木が上で、投手としてのセンスもなかなか良い。やや独特のテークバックで、沈み込みが小さいフォームをスカウトがどう評価するか注目だが、技術的にも、精神的にも、いずれはプロを狙えるような素質を持った投手である。
これほどのセンスがある投手ならば、中学時代は実績豊富かというとそうでもないようだ。

中学時代は投手・捕手を兼任し、どちらかというと捕手としての憧れが強く、投手としては今では考えられないほど制球が悪かったようだ。だから高校は捕手として勝負するつもりだったという。だが都立雪谷入学後、彼と同学年に投手が少なかったこと。そして制球がやや悪かったが、投手としても高い才能があることを評価されて、投手をやることとなった。投手に専念し、素質を伸ばしてきたのだ。ちなみに鈴木と組む捕手の三井は伊藤とバッテリーを組んでいて、たまに伊藤と連絡をとりあう仲であるという。

「伊藤は自分よりずっと上で、尊敬する存在ですから、たまにアドバイスをいただくことがあります」
それまでは捕手としての楽しみが大きかったが、今は投手としての実力を伸ばすことに貪欲であるという。

今年の新2年。

伊藤といい、先週に見た都立青山田邊 傑といいスカウト受けするようなスケール溢れる逸材ではなくとも、大人びた投球、立ち居振る舞いが出来る実戦向きの投手が多い印象だ。都立ファンにとって彼はまさに夢あふれる逸材。伊藤と共に東京を盛り上げる存在となってくれることを期待したい。

(文=河嶋宗一)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.20

【春季京都府大会】センバツ出場の京都国際が春連覇!あえてベンチ外だった2年生左腕が14奪三振公式戦初完投

2024.05.20

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在31地区が決定、宮城では古川学園、仙台南、岩手では盛岡大附、秋田では秋田商などがシードを獲得

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉

2024.05.20

【秋田】横手清陵と本荘が8強入り、夏のシード獲得<春季大会>

2024.05.21

いまも3人が現役で奮闘中! 200勝達成したダルビッシュの同期生

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.17

「野球部や高校部活動で、”民主主義”を実践するには?」――教育者・工藤勇一さん【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.5】

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.19

【東海】中京大中京がコールド勝ちで17年ぶり、菰野は激戦を制して23年ぶりの決勝進出<春季地区大会>

2024.05.18

【秋田】明桜がサヨナラ、鹿角は逆転勝ちで8強進出、夏のシードを獲得<春季大会>

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?