横浜vs平塚学園
斎藤健汰(横浜)
斎藤健汰が覚醒するためには
横浜が桐蔭学園を下した平塚学園を7-1で下し、ベスト4進出を決めた。
この試合はエースの斎藤健汰が桐蔭学園の投手陣を攻略した平塚学園を1失点に抑えたので、称賛を浴びる内容だったかもしれない。
ただ彼の投球を見ていると伸び悩んでいる印象を受けた。右オーバーから投げ込む直球は常時125キロ~132キロ前後。そこそこのキレはあるのだが、物足りなさを感じる。そのため彼は技に走る。変化球は115キロ前後のスライダー、シュート、フォーク。速球と変化球をコーナーに投げ分ける配球だ。速球、変化球ともにストライクが取れるし、横の変化だけではなく、縦変化もあるので、芯を外す投球ができている。彼が夏の大会の決勝まで勝ちぬけたのはこの投球術の巧さとゲームメイクの能力の高さがあったからだろう。
しかし今の投球は技に走りすぎている感がある。好投手ということは周知の事実だが、「こいつはプロに行ける!」と思わせるような光るものはまだ見せていない。
とはいえ、伸びる要素は沢山ある。肩と肘ともに柔らかく、球持ちも良く、打者の近くでリリースできる技術は素晴らしいものがある。
下半身もかなり鍛えられているが、まだ上半身にひ弱さを感じる。しっかりとしたトレーニングを積んでいけばいくらでも化ける要素は秘めている。
高いモチベーションでトレーニングを積むことが彼の成長を加速させると見ているが、それには選抜出場の切符を掴むことだけだ。
乙坂智((横浜)
野手では乙坂智(2年)、樋口龍之介(1年 右/右)、拝崎諒(1年 左/左)をピックアップ。
抜群のバットコントロールが光る乙坂は右、左へと打ち分けた。彼はトップの動作のときにヒッチすぎる傾向があり、しっかりと形成しないまま振りだしていき、捏ねるような当たりを打ってきた。
2安打を打ったときはトップが体に入りすぎずに振り抜くことができていた。トップの動作さえ一定すれば、両サイドに打ち分ける技術はあるので、そこだけ気をつけてほしい。
走塁ではセーフティバントを仕掛けようとしており、トップバッターとしての役割をこなそうという意気込みが見られる。
守りではポジショニングがうまい選手で、打者に応じてしっかりと守備位置を変えている。強肩で、走攻守のバランスが取れた選手だが、高卒プロを目指すのならば走攻守をすべてワンランク引き上げるつもりでやってほしい。
樋口は厚木西戦でも取り上げたが、やはり良い選手だ。
この試合ではフェンス直撃の二塁打を放っており、厚木西戦を含めてすべての打席でミートしているように感じる。
構えから無駄な動作はしていないし、自然体で構えることができているので、しっかりボールを呼び込むことができている。
しっかりとトップを形成することによって強いスイングができており、また軸足もしっかり踏ん張ることができているので、右にも強い打球を打つことができている。セカンドの守備も堅実。グラブ捌きは柔らかく、フットワークは軽快。そして打球に対する準備も良いので、ヒット性の当たりを2本封じた。攻守ともにバランスのとれたプレイヤーで高校1年生としてはハイレベルな選手だ。
センターの拝崎は3安打。腰が据わったバランスのとれた構えから鋭い打球を飛ばす好打者だ。
しっかりとボールを呼び込むことができているし、トップをしっかり形成して鋭いスイングを見せている。センターの守備も打球勘もよいし、地肩の強さもまずまず。盗塁も決めており、バランスの取れたプレイヤーだ。
平塚学園はバッテリーをピックアップ。
エースの内田は球威がそれほどないため、甘く入ると横浜クラスにしっかりと捉えられてしまう。投球のコツはしっかり押さえている投手なので、ストレートが磨かれて、今の投球ができればもっと高いレベルで通用する投手になるだろう。球威が増したことで勘違いして、投球が雑になる投手も多いので、気をつけてもらいたい。
岡部はスローイングタイム2.00秒を切る強肩捕手。内田をうまくリードしたが、内田の投球が横浜の打線が上回っていた。それだけだ。この試合では本塁打を放ったが、ストレートに強さが光る選手だが、変化球に対応に課題を残す選手だ。
(文=編集部 河嶋 宗一)