試合レポート

東京成徳大深谷vs所沢商

2013.09.23

東京成徳大深谷vs所沢商 | 高校野球ドットコム

先発した柳澤(所沢商業)

成徳大深谷が延長の末、2回戦へ進出

 夏からメンバーは大幅に入れ替わったが、4番・冨澤を中心に地力のある所沢商業対、粘りの野球が身上の成徳大深谷、試合は終盤までもつれる展開となった。

 所沢商が柳澤、成徳大深谷が青木と両エースが先発し始まったこの試合、序盤は成徳大深谷ペースで進む。

 初回、一死から2番・永松がレフト前ヒットで出塁すると、続く木村がしぶとくセンター前に落とし、一、二塁とする。相手のパスボールもあり二、三塁とすると、4番・岡田がレフト前へタイムリーヒットを放ち1点を先制する。さらに、5番・後藤が四球でつなぎ満塁とすると、ここで6番・江花がライト前タイムリーで続く。続く、皆川は併殺に倒れるが、幸先良く2点を先制する。

 一方の所沢商業もすぐさま反撃をみせる。この回先頭の冨澤が四球で出塁すると、続く指田の犠打が内野安打となり無死一、二塁とする。これで青木は動揺したかワイルドピッチで二、三塁としてしまう。さらに、ワイルドピッチや連続四球などで1点を失うが、間の2度のスクイズを本塁で封殺するなど何とか内野陣がバックアップし1失点で切り抜ける。

 すると、その裏、この回先頭の青木がライト前ヒットで出塁すると、続く河田がきっちりと送る。ここで相手のエラーと永松、木村の連打でさらに2点を奪い4対1とする。
地力のある所沢商も5回表反撃開始。この回先頭の柳澤のライト前ヒットを皮切りに連続四死球などで一死満塁とすると、二死後、4番・冨澤が左中間へ走者一掃のタイムリー2塁打を放ち4対4とし試合を振り出しに戻すが、成徳大深谷はその裏、永松、木村の連打などで無死満塁とすると、5番・後藤のショートゴロの間に1点を勝ち越す。だが、その後のチャンスはスクイズ失敗などで逸し1点止まりに終わる。

 5回終了時点で5対4、所沢商業にとってはまだまだ跳ね返せる展開であったが、6回裏、一つのアクシデントで流れが変わる。
 無死一塁で、8番・青木の場面、青木は犠打をしようと試みるが、失敗し打球はダイレクトでキャッチャー冨澤に当たる。ここで試合は一時中断し、治療の末冨澤は復帰するが、二死三塁からショートバウンドの球が取れずパスボールで成徳に1点が入る。この場面、冨澤の主将としての意地もあったのであろうが、結局冨澤は次の回の打席で交代する。

 流れを代えたい所沢商は7回から左の増田へスイッチする。この増田が好投をみせ、打線の援護を待つ。すると最終回だった。所沢商業は無死一、二塁から駒崎が右中間へ2点タイムリー三塁打を放ち土壇場で6対6の同点とする。同点でなお、無死三塁と所沢商業にとって絶好のチャンスであったが、ここは成徳大深谷内野陣の堅守などもあり、後続を打ち取られ試合は延長戦へと進む。


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サヨナラに沸く成徳大深谷ナイン

 延長で最初にチャンスを掴んだのは、所沢商業だった。10回表、この回先頭の落合がセンター前ヒットで出塁すると、相手の牽制悪送球と犠打で一死三塁とする。だが、途中出場の松本のスクイズは本塁封殺に終わりチャンスを活かせない。

 すると12回裏、成徳大深谷はこの回先頭の木村がセンター前ヒットで出塁すると、その後牽制悪送球や三振振逃などもあり無死一、三塁と絶好のサヨナラのチャンスを掴む。5番・後藤、6番・江花は打ち取られるが、二死ニ、三塁で7番・皆川のショートゴロをショートがジャックルし一塁はセーフ。成徳大深谷がサヨナラで2回戦へ駒を進めた。

 まずは所沢商だが、主力のアクシデントなどやや不運な面があったがこの日4失策と守備が乱れたことも事実。新チームからメンバーが大幅に入れ替わりまだまだ発展途上な所は否めないが地力はある。福地監督も、
「新チームになってメンバーが大幅に変わりどうかなと思っていたが(旧チームの)3年生のプレーを見て色々な事を吸収していたようだ。楽しみなチーム」
と新チームのメンバーに期待している。それだけに一冬越えると怖い存在になりそうだ。

 一方の、成徳大深谷はとにかく攻守に粘っこい。青木はこの日四球こそ多かったが、打たれてもとにかく際どいコース、低めへの投球を徹底し12回を完投した。守備もワイルドピッチや牽制悪送球などはあったが、際でのプレーでミスはなく、打撃もこの日中盤までフライアウトが0ととにかく低い打球で相手投手に喰らいついていくことが徹底されている。

 泉名監督も新チームについて、
「この子たちは目立つ選手はいないが、とにかく主将を中心に人にエネルギーを使える子たち」
と目を細める。野球のことはもちろんだが、日々の生活を大切に他の人へ心配りを重視する。泉名監督が日々唱える”人間力野球”を体現する選手達。気まぐれな勝利の女神は、最後彼らに微笑んだ。

(文=南 英博

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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