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14年ぶりセンバツ出場の東洋大姫路 勇退する指揮官の有終の美を飾れるか【後編】

2022.03.12

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 今年のセンバツで春夏通算20回目の甲子園出場となる兵庫県の名門・東洋大姫路。1977年夏には全国制覇の実績があり、元メジャーリーガーの長谷川 滋利投手や原 樹理投手(ヤクルト)、甲斐野 央投手(ソフトバンク)など多くの名選手を輩出してきた。

 今年度限りで藤田明彦監督と三牧一雅部長の勇退、4月から履正社で長年監督を務めた岡田龍生監督の就任が決まっており、今回のセンバツは藤田監督の集大成としても注目を集めている。最後の花道を飾るべく、センバツへの意気込みなどについて話しを聞いた。

「あるよ」と言い続けてきた

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主将の岡部 虎尉(東洋大姫路)

 近畿大会は8強に終わり、センバツ出場を確実にすることはできなかった。明治神宮大会で大阪桐蔭が優勝して、出場枠が7に増え、試合内容を考えても選出は有力と見られていたが、「とても不安はありました」(岡部)というのが、選手たちの本音。そんな中でも「子どもたちのモチベーションを上げたかったものですから、『(センバツは)あるよ』ということを部長も私も言い続けてきました」と藤田監督は選手を鼓舞し続けてきた。

 そして迎えた運命の出場校発表の日。東洋大姫路は最後のイスとなる7校目で選出され、14年ぶり8回目の出場を決めた。

「いっぺんにこの10年間のことが思い出されましたよね。なかなか長く辛い日々が続きましたので、一気に雪解けじゃないですけど、そんな感傷に浸りました」と出場が決まった瞬間を振り返った藤田監督。長いトンネルを抜け、最後の采配を甲子園で飾ることができた。

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ベスト8以上の組み合わせ

岡部主将、リベンジ誓う

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藤田 明彦監督

 センバツに向けて最大の課題が、打力の強化だ。近畿大会は2試合で2得点に終わっており、甲子園で勝ち進むためには得点力のアップが必須となる。

 その中で指揮官がキーマンとして期待を寄せているのが、主将の岡部だ。本来であれば、クリーンアップとして打の看板選手になることを期待されていたが、秋は責任感の強さが空回りして打率.219と苦戦。「秋は自分が足を引っ張ってしまう形になったので、それを甲子園の舞台で返せたらいいなと思っています」と春はリベンジに燃えている。

 エース・森に絶対的な信頼が置けるだけに岡部ら打撃陣が奮起できれば、上位進出が見えてくるだろう。

 3月に入り、藤田監督の野球人生も終わりが近づいてきた。「いよいよユニフォームを脱ぐんだなと万感迫る思いが日に日に募ってきますけど、だからこそ一日の練習を大事にしようかなと思っています」とかみしめるように日々の練習に向き合っている。

 初戦は20日の高知戦に決まった。負ければその時点で藤田監督の監督生活が終わる。「部長さんと監督さんがこの大会で勇退されるので、1日でも長く一緒に野球がしたいと思っています」(岡部)と選手も気持ちは1つになっている。

 藤田監督はどんな終わりを思い描いているのか。その質問にはこう答えてくれた。

「勝って終わりたいと思いますけど、センバツはベスト4までの実績がありますので、その先の景色は1度見てみたい。最後のチャンスですから、そこまで行きたいと思っております」

 藤田監督最後の采配が決勝戦となれば、これ以上ない終わり方だろう。名将の有終の美を飾ることができるのか。彼らの戦いぶりに注目したい。(終わり)

(取材=馬場 遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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