150キロ超えが7名…通算50本塁打以上が4名。ロマンに振り切ったU-18代表メンバーを選んでみたら凄かった…
高校野球ドットコム編集部が選ぶU-18代表。今回はロマン型だ。実戦型は勝つために振り切ったメンバーだが、ロマン型は多少脆さがあっても、大学代表に負けないポテンシャルの高いメンバーに絞ってみた。
ロマン溢れるメンバーはこちら!
【投手】
木村 大成(北海)
風間 球打(明桜)
松浦 慶斗(大阪桐蔭)
森木 大智(高知)
秋山 正雲(二松学舎大附)
深沢 鳳介(専大松戸)
小園 健太(市立和歌山)
達 孝太(天理)
畔柳 亨丞(中京大中京)
石田 隼都(東海大相模)
【捕手】
松川 虎生(市立和歌山)
高木 翔斗(県立岐阜商)
味谷 大誠(花咲徳栄)
【内野手】
田村 俊介(愛工大名電)
有薗 直輝(千葉学芸)
小澤 周平(健大高崎)
松本 龍哉(盛岡大附)
粟飯原 龍之介(東京学館)
清水 武蔵(国士舘)
【外野手】
前川 右京(智辯学園)
池田 陵真(大阪桐蔭)
吉野 創士(昌平)
次のページから詳しいメンバー解説をしていきたい。
[page_break:投手は全員が145キロ以上 実戦力も兼ね備えた10人の豪腕たち]投手は全員が145キロ以上 実戦力も兼ね備えた10人の豪腕たち
達 孝太(天理)
まず実戦型でも選んだのが風間 球打、森木 大智、小園 健太、深沢 鳳介、秋山 正雲、木村 大成の6人だ。この6人はロマンも実戦力も兼ね備えた投手といっていい。
風間は甲子園で出場投手最速の152キロをマーク。秋田大会では最速157キロをマークし、150キロ超えは甲子園より多かった。
角度のある剛速球と切れのあるスライダー、フォークで翻弄する投球は絶品。2回戦の明徳義塾戦では平均球速146キロをマーク。世代トップクラスの剛腕として注目したい。
木村はセンバツから平均球速が大きく高まり、投手として大きくレベルアップした姿を見せた。抜群の切れ味を誇るスライダーで次々と三振を奪えるのが強みだ。
小園は140キロ後半の速球、スライダー、カットボール、ツーシームと高速変化球を使える投手としての完成度の高さはピカイチ。今回選んだ投手の中で、一番、大学生以上の投手と遜色ない投球をしているのが小園だといえる。
森木は、常時140キロ後半が外角ギリギリにコントロールされており、さらにスライダー、カーブの切れも素晴らしく、甲子園出場していればもっと騒がれた投手だといえる。ドラ1候補に上がるだろう。
最速145キロ右腕の深沢は、速球投手が多いこの世代の中でサイドハンド。なんといっても伸びのある140キロ前半の速球と右サイドでありながらカーブを使えるサイドハンドはなかなかいない。明豊戦の完封で評価を大きく上げた。
最速146キロ左腕・秋山は、この1年でメリハリのきいた投球ができるようになった。特に東東京大会決勝戦は秋山の良さがよく出た試合だった。要所で投げ込む140キロ中盤の速球、落差が鋭いチェンジアップは抜群。投球、打撃も余裕が出ていて貫禄がある。技術面、精神面が半年間で急成長した。
ロマン型に選んだのは、大阪大会で最速148キロをマークした速球派左腕の松浦 慶斗。ネット裏からみても思わず詰まってしまうような威力抜群の直球を投げ込んでおり、今年を代表する左腕として注目だ。
達 孝太は伸びのある140キロ中盤の速球、フォークで翻弄する大型右腕。改めて見て、速球の伸び、縦、横の変化をうまく使い分けた投球は今年の高校生の中でもトップクラスに入る。
畔柳は、140キロ後半の伸びある快速球で次々と三振を奪う投球が象徴的。今年のドラフト候補の中では、最も迫力のあるストレートを投げられる。タイプ的にはリリーフとして持ち味を発揮するタイプだ。今年は速球投手も多く、かなり悩んだのが、センバツ2完封の実績を高く評価し、選出させていただいた。
そしてセンバツ優勝投手の石田も、選ばさせていただいた。辞退前、最後の試合は石田が先発だった。基本的に常時130キロ後半だったが、スイッチが入った時の143キロのストレートは本物だった。スライダー、チェンジアップの切れもよく、この手の実戦派左腕で、高校生だとアベレージ140キロ超えはなかなかいないのだが、石田の場合、スイッチを入れればいつでも投げられる。実戦派左腕タイプだとナンバーワンの実力を持った投手だといえる。
[page_break:野手は通算70本塁打、50本塁打以上などスラッガーを続々選出]野手は通算70本塁打、50本塁打以上などスラッガーを続々選出
有薗 直輝(千葉学芸)
岐阜大会で3本塁打を放った高木 翔斗選手も長打力、スローイングも安定している世代を代表する強肩捕手。また、松川選手は、和歌山大会で2本塁打を放ち、打撃、守備ともに大きく成長した。
捕手3人目に味谷 大誠を選んだ。秋から急激に成長を見せた好捕手で、スローイングタイム1.8秒台を叩き出す強肩で、シャープなスイングで長打を量産。さらにベースランニングも軽快で、走攻守三拍子揃ったプレーヤーだ。
内野手は顔ぶれを変えた。
田村は甲子園でも本塁打を放ったスラッガーだが、何より素晴らしいのは投手、一塁、三塁、外野を守れるユーティリティ性があること。
高校通算70本塁打の有薗は、長打力はもちろん、球際に強く、抜群の強肩を生かした三塁守備は魅力だ。木製バットでもしっかりと飛ばせる打撃技術はあり、甲子園を見て改めて思ったのが、今年の高校生でもトップレベルのバッターだったといえる。
小澤は高校通算50本塁打を超える。小柄ではあるが、遠くへ飛ばす技術、コツを備えており、また二塁守備も実に機敏。今年の二塁手で最も打者としてのスケールがあり、キャラが立っていた。
松本も高校通算60本塁打を超え、左投手に対しても体が開かずに打ち返すことができる。丸 佳浩を思い出させる選手で、ポテンシャルは抜群。さらに三塁守備を見ても、動きがよく、難しい打球をしっかりと捌くことができている。攻守ともに鍛えられたスラッガーだ。
粟飯原は春から夏にかけて大きく評価を上げたスラッガーだ。高校通算30本塁打以上を放っており、抜群のヘッドスピードから長打を量産し、さらに強肩とスピーディさを兼ね備えた遊撃守備はスケールが大きく、夏初戦では多数の球団が詰めかけた。
清水は3回戦敗退を喫したものの、東海大菅生戦で場外級のファールを連発し、粘りながらタイムリー。対戦した東海大菅生の本田 峻也も「打ち取れる雰囲気がしなかった」と語るほどだった。遊撃守備も軽快で、野球脳も高く、全国トップクラスのプレーヤーとして選出した。
前川は甲子園で2試合連続本塁打を放った。春と比べても打撃のアプローチが格段に良くなり、安打を量産しつつ、相手投手が動揺した時に本塁打を打てる嫌らしさが出てきた。また、外野守備も送球、守備の精度が上がってきて、スカウト目線から見ると打撃オンリーのタイプだが、全く守れないタイプではない。脚力もそれなりにあり、野球選手としてのレベルがこの1年で大きく高まった。
池田は、大阪大会では打率.654のハイアベレージをマークした右のスラッガー。大阪大会準決勝の同点弾もあったように、ここぞという場面で打てる勝負強さに加え、センターから投げ込む強肩も魅力ある。勝負強く、リーダーシップもある頼もしい選手だ。
吉野は高校通算56本塁打の長打力が注目されるが、今年の高校生外野手の中で最も守れる選手だ。これまでの大会でも好守備を連発し、強肩も披露した。黒坂監督も守備は一級品と高く評価する。さらに走れて、今年の高校生を代表するアスリート型プレイヤーだ。
改めて見て非常に楽しみなメンバーが揃った。やはり高校野球は頂点を決める公式戦をやってみて、その世代のトップ選手が見えてくる。今年は世界大会が中止となったが、来年はいろいろな障壁を乗り越え、世界大会ができるまで感染状況が収束することを願いたい。
(記事:河嶋宗一)