26日開幕!静岡、至学館など出場8校の戦力分析!【春季東海大会展望】
川口 龍一(至学館)
「打てない至学館」からの脱皮
昨秋の決勝を争い、ともにセンバツ出場を果たした静岡と至学館が、この春もそれぞれ出場する。この2校が中心となっていくであろうが、初戦を突破すれば、準決勝で対戦する組み合わせになっているのも興味深い。
愛知県大会を制した至学館は、センバツでは開幕試合で市立呉に延長の末に敗退した。わずか4安打で5点を奪ったのだが、もっと打っていれば勝てた試合でもあった。そんな反省もあって、「打てない至学館からの脱皮」がこの春季大会のテーマでもあった。
県大会序盤では、まだまだ、パワーアップさせたはずの打撃が爆発しきらなかった。「どんな形からでも、得点を取れるということで言えば、県内でもトップレベルだと思う」という麻王 義之監督だが、準々決勝では豊橋中央に勝ったものの、内容が不甲斐なかったことで一喝。これでようやく気合が入って、選手全員がその意識を示すためにも丸刈りとなって挑んだ準決勝では栄徳の好投手釜谷 竜哉君から、初回に3点を奪うなどして粉砕。さらに決勝でも、東邦投手陣から17安打9得点と打ちまくって、振り込みの成果を示した。この勢いが維持されていれば、この大会でも面白い存在となるはずだ。新美 涼介君と左の変則川口 龍一君の両投手も健在だけに、一番の注目校となりそうだ。
池谷蒼大(静岡)
総合力の高さは静岡が一番
静岡はセンバツでは21世紀枠代表の不来方には快勝したが、優勝した大阪桐蔭に初回に6点ずつを取り合うという激しい試合の末に敗退した。爆発力を示した打撃力は健在だ。池谷 蒼大君と竹内 奎人君の両投手も安定感があり、やはりチーム力は高い。2位校での進出ではあるが、総合力では最も高いと言ってもいいであろう。
その静岡を県の決勝で下したのが東海大静岡翔洋だ。結果としては昨秋の県大会3位決定戦のリベンジということになった。春は中部地区予選のトーナメントでも1位となっており、盤石の強みを発揮している。飯澤 万里君と高橋 春樹君の左右の好投手と、強打の奥村 光一君が光る存在だ。
東海大静岡翔洋に初戦でぶつかるのは愛知の2位校で進出した東邦だ。昨夏の代表校でもあるが、甲子園出場メンバーはほぼ一新された中で、夏の経験者でもある田中 来起君が遊撃手を守りながら打撃でも頼りになるが、状況によってはリリーフのマウンドにも立つなど、フル回転の活躍でチームを引っ張る。
エースナンバーを背負うのは松崎 圭吾君だが、スーパー1年生といわれている石川 昂也君にも注目が集まっている。初戦を突破すると、森田 泰弘監督の恩師でもある阪口 慶三監督が率いる大垣日大との師弟対決となる可能性もあるだけに、興味は尽きない。
岐阜から中京・大垣日大が登場/三重は津田学園に注目
大垣日大は昨秋の県大会では2回戦で中京に屈した。中京には、昨夏も敗れていただけに、今春の県大会では決勝で当たったが、是非借りを返したいところだった。72歳の超ベテラン阪口 慶三監督は、大垣日大に異動して以来、「仏の阪口」を自認して、好々爺を演じていたが、同じ相手に連敗したことで、この冬からは、「東邦時代の鬼の阪口に戻った」と、公言するほど厳しさに徹した。それが功を奏した形で春季大会の優勝となったが、主砲の宮坂 元規君が決勝でも先制タイムリーを放つなど、打線はフルに機能している。
昨夏の代表校の中京は、甲子園でも先発した古田 星投君をはじめ左腕小鶴 純貴君、髙野 信元君、岡本 隼人君ら、コマは豊富だ。NTT東海を経てNTT西日本で監督、GMなどを経験して後、母校監督に就任して3年目となる橋本 哲也監督。今年は就任とともに入学してきた選手たちが最終学年にもなり、勝負年として、2年連続出場を目指している。春季大会はそのステップとしたいところである。
開催地の三重県勢は、プロ注目の岡林 飛翔君のいる菰野や昨秋の優勝校三重海星、チーム力が高いと評価されていた三重三重などが、比較的早い段階で敗退した。三重三重を2回戦で下した津田学園が準決勝では、一昨夏の代表校の津商を下して2年連続で春季東海大会出場を決めた。また、準決勝で岡林君の乱調に乗じて初回に8点を奪うなどして菰野を下した近大高専が5年ぶりに東海大会進出を果たした。リードオフマン上西 貫太君が引っ張る1位校の近大高専は強打の静岡を迎える。津田学園は、大垣日大に挑むことになるが、どんな戦いをしていくのだろうか。開催県の面目にかけて、初戦は突破したいところであろう。
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