Interview

プロも強く意識した好投手・隼瀬一樹(伊香)の武器は空振りが奪えるストレート【後編】

2020.01.19

 21世紀枠の近畿地区候補に選出され、第69回大会以来となる33年ぶりの甲子園出場に期待がかかる伊香。秋の滋賀大会4強の立役者となったのがエースの隼瀬 一樹(2年)だ。初戦の滋賀学園戦で完封勝利を飾ると、準決勝の近江戦では惜しくも敗れたが、延長11回途中まで無失点の好投を見せた。その評判は近畿内に知れ渡っており、強豪校指導者からも「ええ投手です」と絶賛の声が飛ぶ。

 センバツに選出されることになれば、大会注目の好投手としてピックアップされることだろう。前回に続き、今回は隼瀬投手の強みや、選抜への想いを伺いました。

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21世紀枠候補校屈指の右腕・隼瀬一樹(伊香)の進化のきっかけは練習試合観戦【前編】

強豪校を苦しめた隼瀬のストレートの原点は2人の大投手

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隼瀬一樹(伊香)

 新チーム結成当初の目標だった近畿大会出場はならなかったが、幸いなことに21世紀枠でセンバツ出場のチャンスを得た。チームとしては選ばれる前提で練習を続けており、隼瀬も秋以上の投球を目指している。その中で理想の投手像として挙げているのが吉田輝星(日本ハム)と江川卓(元巨人)だ。

 「ストレートのキレを求めつつ、スピードもどんどん上げていきたいです。吉田選手のように高めのストレートを振らせて三振の山を築き、江川さんのような球速じゃなくてキレで速く見えるようなピッチャーになりたいです」

 隼瀬のボールの持ち味はノビのあるストレートだ。球速は140キロ前後だが、初速と終速の差が少なく、ストレートで空振りを取れるのを強みとしている。理想とする江川も、吉田も、伸びのあるストレートを持ち味にするだけに隼瀬の投手スタイルに合致した目標像だといえる。

 小島監督は隼瀬の調子を示すバロメーターについて、「ボールにどう空振りしているか、バットに当てられた時にフライアウトにしているかを見ています」と話す。ノビが良ければ、ボールの下を振ることが多くなるからだ。

 現代では140キロ以上の速球を投げる高校生投手は数多くおり、強豪校の打者にとってはあまり脅威に感じなくなってきている。だからこそ球速以上に質の高いストレートを目指してトレーニングを続けている。

 昨年末には滋賀選抜に選出され、オーストラリア遠征を経験。秋季大会で対戦したライバル校の選手たちと寝食を共にしたことで、「みんな考えていることも凄いですし、刺激をもらえました。もっと頑張ってこのメンバーを倒して甲子園に行きたいなと思いました」とより甲子園への想いが強まった。

[page_break:オーストラリア遠征などを経て強くなったプロへの思い]

オーストラリア遠征などを経て強くなったプロへの思い

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隼瀬一樹(伊香)

 現地ではクイーンズランド州選抜と5試合を実施。隼瀬は2試合に登板したが、8回7失点と打ち込まれた。そこには国際試合特有の難しさがあったという。

 「国際試合は日本とはリズムが違いました。日本の野球は攻守交代が速いですが、海外は一つ一つが遅くて戸惑いました。僕はテンポで投げるタイプなんですけど、それができなかったので、難しかったです。逆に抑えて帰ってきたら得るものはないと思いますし、そこはオーストラリア遠征に行けていい経験になったと思います」

 結果は出せなかったが、それもポジティブに捉えている。短期間で貴重な経験を積んだ隼瀬は最近になって、プロ入りを強く意識するようになったという。
 「秋の大会で自信がつきました。全力でプロを目指したら自分の能力が上がっていくと思いますし、チームにもいい影響をもたらせられると思います。プロを目指して今後は頑張って行きたいです」

 プロ入りを目指すために甲子園はスカウトにアピールする絶好の場だ。運命の日は24日に決まる。隼瀬は甲子園への想いをこう語ってくれた。
 「僕たちは結果を待っているだけですが、行けたらいいなと思っています。伊香高校は甲子園でまだ1勝もしていないです。歴代の先輩も応援に来て下さると思いますし、勝って先輩と一緒に校歌と歌いたいと思っています。球速は145キロ以上を投げたいです」

 果たして彼に吉報は届くだろうか。センバツに選出された際には彼のピッチングをぜひ注目して見てほしい。

(取材=馬場 遼

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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