Column

鼻血・正しい理解と対処法

2013.02.15

守備の選手同士でぶつかって鼻血を出すケースも多い

こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。

練習を行っていると接触プレーが起こったり、鼻にボールが当たったりして、鼻出血(いわゆる鼻血)を起こすことがあります。そのとき皆さんはどのように対応していますか。硬球は文字通り硬く、当たった衝撃が強ければ大きなケガへとつながってしまう危険性を含んでいます。またこういった場面に出合ったときにキチンとした応急処置をすることが何より大切となってきます。今回は知っているようで何となく対応をしている鼻血について、その対処法などをお話したいと思います。

プレー中に接触プレーや直接ボールが当たることによって鼻に強い衝撃が加わり、鼻孔(びこう)から出血が生じることがあります。鼻出血は高血圧症、鼻道の乾燥、頭部挫傷によって生じることもあります。鼻出血が見られた場合によく見られるやってはいけない対処法は次の通りです。

【やってはいけない鼻出血対処法】
●上を向いて首筋をトントンと叩く
●鼻をかむ
●鼻にティッシュなどを詰めてプレーを続ける

上を向いてしまうと出血している血液が逆流して気分を悪くすることがあります。下を向くとどうしてもダラダラと出血が続いてしまいますが、鼻の下をティッシュなどで抑えて流れるままにしておきましょう。また大きな衝撃が加わった場合、鼻骨骨折を起こしている可能性があります。こういった場面で鼻をかんでしまうと、鼻の変形がひどくなってしまったり、骨折部位にさらに衝撃を与えてしまうことになりますので、骨折していないことが確認できるまでは鼻をかむことも控えましょう。ティッシュを鼻に詰めてそのままプレーを続行する選手もよく見かけますが、これは直接的な止血効果とはならないばかりか、ティッシュを取るときに鼻の粘膜を痛めてしまうこともあるため、やめておきましょう。どうしてもプレーをする場合は完全に止血が出来てから、戻るようにします。

では正しい対処法とはどのようなものでしょうか?


鼻への衝撃が強く変形がある場合はすぐに病院へ行こう

【鼻出血のときに行う正しい対処法】
●頭を前方に傾けて座る
●直接圧迫を加えるために、指を使って軽く鼻孔をはさむ。
●出血が止まらなければ、鼻を冷却する。

横になってしまうと鼻出血が逆流してしまう可能性がありますのでなるべく座った状態、もしくは逆流しないような体勢をとるようにします。前方に傾けると出血がダラダラと続きますが、これは鼻の下をティッシュなどでサポートして流れるままにしておくようにします。

また出血を止める基本の応急処置は、直接圧迫を加えることです。鼻の上部は硬い鼻骨で、下部は軟骨で形成されていますので、外から触っても骨がない、いわゆる「小鼻」の部分を親指と人差し指を使って軽く圧迫しましょう。RICE処置の対応として冷却することも止血には効果があります。ただしこの場合、キューブ型のアイス(家庭などで使用する四角い氷)などを使うとゴツゴツ鼻に当たって痛いときがありますので、準備できるのであれば砕かれた状態のクラッシュアイスが理想的です。キューブ型のアイスを使用する場合にはビニール袋に氷を入れ、その中に少量の水を入れて使用すると氷が溶けて、直接鼻に当たって痛いということも防ぐことが出来ます。

止血の目安は10分~15分程度ですが、鼻出血が止まらなかったり、鼻の変形が明らかであったりする場合は、すみやかに医師の診察を受けるようにしましょう。

皆さんの対処法はいかがでしたか?
正しい知識を知り、鼻出血が起こったときにもキチンとした応急処置を心がけてくださいね。

【鼻血・正しい理解と対処法】
●鼻血は接触プレーや直接ボールが当たることによって起こることがある
●鼻骨は衝撃によって骨折することがある
●正しい対処法1:頭を前方に傾けて座る
●正しい対処法2:指を使って小鼻部分を軽く抑える
●正しい対処法3:ビニール袋に氷と少量の水を入れて鼻を冷やす
●出血が続くとき、明らかな鼻の変形が見られるときはすみやかに病院へ行く

(文=西村 典子

次回、第63回公開は02月28日を予定しております。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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