試合レポート

佼成学園vs玉川学園

2022.07.12

玉川学園、強豪・佼成学園に健闘も惜しまれる2回の守備の乱れ

<第104回全国高校野球選手権西東京大会:佼成学園8−1玉川学園>◇11日◇2回戦◇[stadium]スリーボンドスタジアム八王子[/stadium]

 ノーシードながら強豪の佼成学園玉川学園が挑んだ一戦。もっとも佼成学園といえども、初戦は硬くなる。1回表、玉川学園の2番・藤木 一信の遊ゴロを佼成学園の2年生・木村 拡大朗が失策。いきなりピンチとなったが、ここは次打者の併殺で切り抜ける。

 玉川学園の先発・清水 悠翔は遅い球を効果的に使い、1回裏は得点を許さない。しかし2回裏、1死後6番・藤井 洸士が中前安打で出塁すると、清水の一塁牽制は悪送球。藤井は三塁まで進む。7番・青山 晃琉の中前安打で藤井が生還した。さらに、この試合の先発で、8番の大貫 秀一朗のバントを、清水が一塁に悪送球して青山は三塁に進む。9番・木村の遊ゴロをまたも失策で1点を追加。そのうえ、捕手の悪送球や2番・澤井琉亜の左前安打などで得点を追加し、この回4点が入った。

 失策続きの失点ということもあり、このままズルズルと失点を重ねるかとも思われたが、ここから玉川学園も踏ん張る。3回裏は走者を4人も出しながら、盗塁の失敗もあり、佼成学園は得点を挙げられない。

 すると5回表の玉川学園は、この回先頭の6番・上野 諒音が中前安打で出塁すると、野選と犠打で三塁に進み、9番・原田 悠生のスクイズで生還して1点を返した。

 その裏、佼成学園は、1番・郷原 証悟の中前適時打などで1点を入れて突き放した。

 佼成学園の先発・大貫は、1年生の秋から公式戦のマウンドを踏んでおり、経験は豊富。細長い体から、キレのある球を投げ込む。ただ本人のこの日の採点は60点。「1番打者に粘られてフォアボールを出したところがマイナスです」と語る。2回に玉川学園の1番・津曲 晄成にファウルで粘られ四球を許しているが、大貫は6.1回を投げ四死球は、これを含めて2個しかなく、安定していた。

 玉川学園は7回表から捕手の小西 陽大がマウンドに上がる。投手の練習は1カ月くらい前から始め、練習試合は投げているという小西は、7回は無失点に抑え、8回裏も2死になったものの、佼成学園の4番で主将の重藤 琳太郎が右前安打で出塁すると、5番・涌嶋 陽太の死球に続き、6番・藤井の右前安打で1点。さらに藤井が二盗して二、三塁となり、途中出場の有村 祐真が右前安打を放ち2人が還り8−1。8回コールドが成立した。

 玉川学園の三井 健聖監督は、「もともとも目標は6回まで試合をすることでした」と語る。力の差があることは確かだが、強豪相手に物おじせず、しっかり戦った試合だった。8回コールドながら、健闘と言える試合内容だった。

 一方勝った佼成学園の藤田 直毅監督は、「いつもこんな感じです」と、思うようにいかない初戦の難しさを語る。特に二塁手の澤井、遊撃手の木村、左翼手の松本 幸士ら2年生に守備のミスがあったが、「硬さですね」と藤田監督。逆に言えば、初戦でそうした硬さを経験したことは、むしろ幸運だったともいえる。佼成学園はノーシードでも力があることは確かなだけに、一戦一戦、コンディションを上げていきたいところだ。

(取材=大島 裕史

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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