中日ドラゴンズ 大島 洋平 選手
第138回 中日ドラゴンズ 大島 洋平 選手2013年3月22日
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50メートル6.0秒の足で、2012年は盗塁王に輝いた大島洋平選手。また守備でも、ゴールデングラブ賞を獲得。打撃でもシーズン打率3割超と走攻守において、昨シーズンは大きな活躍を残した大島選手に、今回は『野球へのこだわり』をテーマにお話しを伺いました。
意識的な練習と、試合での無意識
中日ドラゴンズ 大島洋平選手
――2012年のシーズンは、32盗塁をマークし、盗塁王に輝いた大島洋平選手。まずは、盗塁での意識を教えてください。
大島 洋平選手(以下「大島」) 僕の場合は、投手との駆け引きというよりも、『思いきり』と『開き直り』を大事にしています。もちろん、アウトになったらダメな場面もあるし、そういう時は無理しませんが、ここはアウトになってもいいという場面では、思い切ってスタートを切りますね。
――毎日の練習では、どのような意識を持って走塁練習に取り組んでいるのでしょうか?
大島 日々の練習では、出来るだけ真っ直ぐ走るように意識をしています。セカンドベースより、ちょっと横に一歩ずれてしまうことが多かったんで、真っ直ぐ走るように意識をしながら練習をする。そして、試合の時には、どれだけ無意識で走れるかが勝負ですね。
また、バッティングピッチャーの方が投げてくれる時を利用して、全部いくというつもりでスタートを切る練習をしています。そこで思い切ってスタートを切る練習を重ねておくことで、試合でも「けん制がない」という気持ちでスタートを切れた瞬間というのは、やっぱりいいスタートが切れるんですよね。
――昨年は、バッティングでも、シーズンを通して3割1分の高打率を残しました。その要因はご自身ではどのように、分析されていますか?
大島 プロ入り2年目のオフは、インコースを課題に練習をしていました。僕は、それまで逆方向に打つことが多かったので、インコースを攻められることが多かったんですよね。インコースを打てるようにならないと成績が伸びないと思ったので、とにかくそこを重点的に練習しました。
練習方法としては、早振りですね。ティーではなく、素振りだけで早振りを10~20回。これを10~20セットやります。ポイントを前において、自分の中のイメージだけで振っていくんです。全体のバッティング練習がすべて終わった最後に、その早振りをする。ずっとそれをやっていました。
結果的に、昨シーズンはインコースを確率よくヒットに出来たので、その成果が出たのかなと思いますね。去年の9月、10月であれだけ結果が残せたので、今シーズンはその数字をシーズンの最初から残せるようにしていきたいです。
軽さ×グリップ力=プレーの質を高める
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――そんな大島選手の走塁を支えるスパイクへのこだわりを教えてください。
大島 僕がスパイクで一番気にするのは、「軽さ」です。やっぱり軽いスパイクがいいですね。今履いている「マキシライト」は、今までの中で一番軽いですね。最初手に持った時も、履いた時も、とても軽くてビックリしました。
それと、マキシライトが他のスパイクより優れているのはグリップ力だと思います。金具がV字型になっていて、これまでとは地面への力の入り方が変わりました。
特に、盗塁をする時に一番意識するスタートの瞬間では、地面に力が伝わりやすくなり、蹴る力が強くなったことで、「最初の一歩目の足の出しやすさ」が変わりましたね。
盗塁数もそうですが、「一塁までのスピードが速くなったんじゃないか」と周りからも言われました。実際、内野安打が昨シーズンはすごく増えたんですよね(43本でセ・リーグトップ)。自分はスピードを武器にしている選手なので、走攻守ですごくプラスになっているスパイクです。グリップ力はすべてのプレーに影響すると思いますね。
「グラブは少しでも軽い方が安心します」
――バットへのこだわりは何かあるのでしょうか?
大島 プロ入り3年目の昨シーズンは、バットの重さは変えずに、形を変えました。これまでのグリップは細いタイプだったのですが、ちょっと太いタイカップにしました。グリップ以外にも、ヘッドの下の部分など全体的に太くなっていますね。
これまで、調子が悪い時はヘッドが下がってフライとか弱い打球が多くなってしまったのですが、タイカップにしたことでヘッドが下がらなくなったんです。ヘッドが寝ないからバットが遅れて出てもファールになる。ちゃんとしたタイミングでバットが出れば、一・二塁間に飛びますし、そこはこのバットだからこそ、出来るようになったのかなと思います。自分の中で感触がとても良かったので、今年も変えずにこのままでいこうと思っています。重さは905グラムを使っていますが、バランスはとてもいいですね。
――では、グラブ選びでは、何を重視されていますか?
大島 グラブは軽くて丈夫なものを選んでいます。グラブをはめて走る距離が長いので、腕を振って走る時に軽いかどうかを重視しますね。特に僕の場合は、打球にダイビングして追いつくより、自分の足で追いついてなるべく正面で取りたいタイプなので、出来るだけ速く落下地点まで行くためには、少しでも軽いほうが気持ち的に楽なんですよね。
また、僕は親指と人差し指の間でボールを取るようにしていて、芯で捕球しながらグラブの型を作っていきますが、今使っているSSKのグラブは型崩れしにくいところがいいですね。
――ありがとうございます。最後に、高校球児の皆さんにメッセージをお願いします。
大島 高校3年間、とにかく上手くなることを考えながらやるしかないと思います。僕も、毎日色んなことを考えていましたね。野球をやっている人って、いい打ち方を追い求めると思うんですよね。とくに野球は確率のスポーツなので、毎日のバッティング練習でも、いい打ち方ができたという感覚を忘れないようにしていました。どうやって打てたのかを、体で覚えておくこと。そして、自分が失敗したことを忘れないことですね。
体の状態や自分の感覚を考えながら毎日練習を続けていれば、その時その時に自分がやることも分かってくるだろうし、経験値も上がっていくと思うんです。一日という限られた時間の中の「その日その日を大事」にしてほしいですね。
大島選手、ありがとうございました。2013年のご活躍も応援しております!