[1]自信がなかったスローイング
[2]自信を持つために確立したスローイング
[3]柔軟性を高め、高確率の結果を残せる選手へ
明治神宮大会史上初となる連覇を成し遂げた大阪桐蔭(大阪)を中心に、2023年の高校野球も大いに盛り上がるに違いない。そんな大阪桐蔭を苦しめた数少ない学校は、兵庫の名門・報徳学園だ。
近畿大会決勝で0対1で敗れたものの、最後まで1点を争う好ゲームを見せた。敗戦は受け止めるべき課題ではあるが、収穫もあった一戦だろう。ただ、「同じ相手に負けないように、日本一を取れるようにやっていきたい」とリベンジに燃えている男がいた。それが世代屈指の強肩捕手として注目されている堀 柊那捕手(2年)だ。
今回はそんな堀の強肩を生み出す秘密や、成長の軌跡に迫っていく。
自信がなかったスローイング

堀 柊那(報徳学園)
堀は遠投100メートルを誇る強肩を生かして、イニング間の二塁送球は最速1.81秒をたたき出す。「準々決勝・履正社戦で1つ許してしまいましたが、それ以外はほとんどありません」と盗塁阻止は、堀の絶対的な武器となるなど、NPBのスカウトも高く評価しているポイントとなっている。
小学3年生から野球を始め、5年生の時にはソフトボール投げで58メートルを計測したという。当時から肩の強さは群を抜いていたこともあって、ポジションは捕手だけにとどまらなかった。三塁手、遊撃手、そして投手と地肩の強さを発揮できるポジションを回っていた。
中学では兵庫夙川ボーイズでも変わらない。学年でもトップに入るハンドボール投げ40メートル以上を投げる強肩で、あらゆるポジションを経験した。
そんな堀のもとに、最も先に声をかけたのが報徳学園だった。しかも捕手として話をしてもらえたことに「嬉しかったです」と地元の強豪から評価されたことを決め手に、報徳学園への門をたたいた。
高く評価されているだけあってか、ベンチ入りは早かった。1年生の春にはベンチ入りを果たし、その後もメンバー入りを続ける。順調にステップアップしているように思えるが、「(投手の)球速も変化球のキレも凄いので、とにかく受け続けて慣れるようにしました」と高校野球のレベルに苦戦を強いられていた。
代名詞ともいえるスローイングも同様だ。「暴投が多くて、10球に2球くらいしか良いところには投げられていなかったので、確率が悪くてあまり自信はありませんでした」とかなり精度に課題があったようだ。