Interview

甲子園で活躍するための練習、生活を送ってきた 山田健太(大阪桐蔭-立教大)【前編】

2019.06.23

 6月17日から大阪桐蔭特集がスタート!17日連続で記事を掲載していきます。大阪大会夏3連覇を狙う大阪桐蔭の選手たち、OBたちを取材し、大阪桐蔭の魅力をたっぷり伝えていきます。今回は甲子園で何度も勝負強さを発揮した強打のセカンド・大阪桐蔭山田健太選手です。

 史上初二度目の春夏連覇を果たした大阪桐蔭。プロ入りはしなかったが、その実力、スター性はドラフト級だった大型二塁手・大阪桐蔭山田健太根尾昂藤原恭大とともに4度の甲子園を経験し、6番打者ながら2人に負けない活躍を見せてきた。そして立教大へ進学すると、早くも4番打者を任され、2本塁打。注目度がますます高まっている山田に高校ラストイヤーを振り返ってもらった。

山田健太(大阪桐蔭)「新世代大型二塁手」としてセンバツ連覇へから読む

秋季大会の反省を生かし、打撃フォームを一から見直した

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インタビューに答える山田健太(立教大)

 3年春夏合わせて、38打数13安打、1本塁打7打点の活躍で連覇に大きく貢献した山田だが、センバツ前まで状態は良くなかった。

 「やはり秋の大会まで打率2割台でしたし、打撃の内容も全然良くなく、明治神宮大会で創成館に敗れた試合は、ターニングポイントとなりました。あのままではだめだと、自分たちの学年でミーティングを行って、何がだめなのかをとことん話し合いました」

 そして冬の個人練習期間に入り、もう一度、打撃を見直した。
 「打撃フォームを一から見直しました。あの時の自分は無駄な動きが多かったですし、シンプルさを求めた打撃フォームにしました」

 冬の間は自分の打撃フォームを見直し、野球ノートに感想を綴りながら、自分の課題を克服するための毎日を送った。
 「冬の間はずっとコーチと確認しながらやってきましたし、大会前にはしっかりと状態を高めて臨むことができましたし、ボールの見え方もすごく良くなりました」

 その山田が最も輝いたのが準決勝三重戦だ。三重のエース・定本拓真の投球の前に苦しめられた。
 「良い投手でしたし、初球から甘いボールは振って行こうと思いました。これで2本目の本塁打となりましたが、甲子園のホームランというのは気持ちいいもので、お客さんの入り、歓声の聞こえ方が違いますし、本当に嬉しかったです」

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3年生の春・関大北陽戦での山田健太

 そして決勝戦では智弁和歌山を下し、センバツ連覇を達成したが、すぐに夏へ気持ちが入れ替わっていた。「自分たちの代は注目されていましたし、勝って当たり前の雰囲気 春夏連覇しなければ意味がない。慢心というところは一切なかったです。センバツ後の練習では、まだこのままでは夏に勝てないという認識は僕だけではなく、チーム全員にありました」

 山田自身、夏へ向けて
 「自分は6番、7番打者、チャンスに回ってくるパターンが多かったので、レベルアップしないと勝てないなと感じました。だから春が終わってからも試行錯誤しながらやっていったと思います」

 山田は上位打線を打つこともあったが、最終学年は6、7番が中心だった。なぜこの打順となったのか。その意図について西谷監督は
 「あの代はアスリートタイプが多く、本当の4番打者タイプがいなかったと思います。山田がそうなればよかったと思いますが、彼も良い意味で勝負強さを持っていて、打順の兼ね合いで6番打者を打たせたほうが良いと思いました。ポイントゲッターとしての起用です」

 西谷監督の期待に応えるために山田は打撃面で自ら課題を設定して取り組んだ。
 「打撃については藤原、根尾のような素晴らしい打者がいたので、2人に打撃について聞いたり、コーチの方にフォームを見ていただき、フォームも変化していきました。僕は結構フォームを変えていきましたね。そのときに自分がいいと思ったものを取り入れました。大会によって違っていきました」

 大会によって自分が打ちやすい、捉えやすい打撃フォームを追求してきた。

[page_break:夏に強くなるために取り組んだ]

夏に強くなるために取り組んだ

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招待試合の桜丘戦での山田健太

 また日体大との練習試合、招待試合でも本塁打を量産することが多くなり、
 「冬場はパワーを付ける意味でウエイトトレーニングもしてきたので、それがだんだん出てくるようになりました」と手応えを感じていた。

 迎えた最後の夏。北大阪大会で打ちまくる。
 21打数11安打、2本塁打、12打点の大活躍で、大阪大会2連覇に貢献した。

 「今まで、夏場で調子を落とすことが多く、絶対に打てるようになりたいと思っていて調整や練習をしていました。夏バテすることも少なく、良い状態で入ることができたのが大きかったと思います」

 大阪桐蔭は5,6月は強化練習期間としてグラウンドコートを着て、練習をする。さらに練習最初のメニューはグラウンド10周、そして最後のメニューも走って終わり、ある日は下級生の時に取り組んだ山ランも行い、まさに冬の期間さながらのメニューに取り組んだ。そしてその状態のまま、試合に入る。

 「強化練習期間中は試合なんて関係ないですから。めちゃくちゃきつかったですね。だから夏前になると強化練習期間が終わり、実戦練習がメインで練習時間はそう変わりないのですが、走るのがないのがこんなに楽なのかと思いましたね(笑)」と苦笑いする山田。

甲子園で活躍するための練習、生活を送ってきた 山田健太(大阪桐蔭-立教大)【前編】 | 高校野球ドットコム
早稲田大学とのリーグ戦での山田健太(立教大)

 その状態で近畿大会は強豪相手を下し、優勝をしているのだから恐るべしだ。2年生からレギュラーだった山田は2年時もこの経験をしている。違ったのは生活の仕方だ。

 「2年生の時と比べて、ご飯を食べる量を増えましたし、食堂に体重計がありましたので、毎日体重を測って、体重を減らさないことを意識していました。それだけではなく、体調を整えるために、いろいろ考えながら取り組んできました。あのきつい期間があったからこそ、夏は『やっておいて良かったな』と思うことがありました」

 優勝するためにレギュラーとして何をすればいいのか、それを考えながら取り組む山田は大阪桐蔭のレギュラーとしての自覚が出ていた。

 今だから明かせるが、山田は満身創痍の中でプレーしていた。
 「腰にきていましたし、体的にも結構きていました。それも含めて夏の大会だと思いましたし、ケアをしていました。多少痛くてもプレーができていましたし、とにかく最後の夏!という思いで、自分を奮い立たせていましたね」

 第100回大会で優勝したい。その思いで山田を含めた大阪桐蔭ナインの選手たちは日々の練習、試合に臨んでいたのだ。

 そして圧倒的な打力で優勝した大阪桐蔭は、第100回大会に突入する。

 前編はここまで。後編では高校最後の夏、そして東京六大学で活躍する現在について伺いました。後編もお楽しみに!

【後編を読む】4年後はメンタリティも、技術もプロに進むのに相応しい選手へ 山田健太(大阪桐蔭-立教大)【後編】

文=河嶋 宗一

大阪桐蔭特集がスタート!!

 6月17日から大阪桐蔭特集がスタートしています。17日連続で記事を掲載していきます。大阪大会夏3連覇を狙う大阪桐蔭の選手たち、OBたちを取材し、大阪桐蔭の魅力をたっぷり伝えていきます。
6月17日12時 大阪桐蔭 野球部訪問【前編】「夏の全国連覇を目指して、大阪桐蔭の現在地」
6月18日12時 大阪桐蔭 野球部訪問【後編】「どんな結果でも日本一を追求しつづける毎日は変わりない」
6月19日12時 中野波来主将 インタビュー【前編】「偉大な先輩たちの背中を追ってきた下級生時代」
6月20日12時 中野波来主将 インタビュー【後編】「知られざる主将としての重圧。すべてを乗り越え、夏は大爆発を」
6月21日12時 宮本涼太選手 インタビュー【前編】 名門の道を歩んできた野球人生 転機となった台湾遠征
6月22日12時 宮本涼太選手 インタビュー【後編】 そして憧れる強打の二塁手へ 宮本涼太(大阪桐蔭)【後編】
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6月24日12時 OB 青地斗舞選手(同志社大学)インタビュー【前編】 大阪桐蔭最強世代の2番になるまでの軌跡
6月25日12時 OB 青地斗舞選手(同志社大学)インタビュー【後編】史上初2度目の春夏連覇を達成の影に高校生活で最も厳しい練習があった
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6月28日12時 OB 宮崎仁斗選手(立教大)インタビュー【前編】「自分の生きる道を考え続けた3年間 宮崎仁斗(大阪桐蔭-立教大)」
6月29日12時 OB 宮崎仁斗選手(立教大)インタビュー【後編】「自分の居場所を見つけて勝負ができれば、チームも強くなる 宮崎仁斗(大阪桐蔭-立教大)」
6月30日12時 OB 山田健太選手(立教大)インタビュー【前編】「甲子園で活躍するための練習、生活を送ってきた 山田健太(大阪桐蔭-立教大)」
7月1日12時 OB 山田健太選手(立教大)インタビュー【後編】「4年後はメンタリティも、技術もプロに進むのに相応しい選手へ 山田健太(大阪桐蔭-立教大)」

7月2日12時 OB 田中誠也選手(立教大)インタビュー【前編】「コントロールで生きる!自身のスタイルを確立させた大阪桐蔭時代 田中誠也(立教大)」


7月3日12時 OB 田中誠也選手(立教大)インタビュー【後編】「研究を重ねてどり着いた回転数の高いストレートと決め球・チェンジアップ」

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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