Interview

中京大学附属中京高等学校 佐藤 勇基選手「U-18代表入りして得た知識や経験を最大限活かしたい」【後編】

2016.11.30

 前編では、中京大中京の入学時から遊撃手として活躍に至るプロセスを紹介。後編では、第11回BFA U-18アジア選手権でのエピソードや、この大会を活躍して、学んだこと。そして来年、法政大でプレーする佐藤選手へ、今、課題にしていることを語っていただいた。

高校野球最後の舞台は想定外の「侍ジャパンU-18」

中京大学附属中京高等学校 佐藤 勇基選手「U-18代表入りして得た知識や経験を最大限活かしたい」【後編】 | 高校野球ドットコム

佐藤 勇基選手(中京大学附属中京高等学校)

 佐藤が最終学年になった後、チームはひとつの壁に直面した。2年秋は愛知県大会3位決定戦に敗れて東海大会出場ならず。最後の夏は愛知大会4回戦で愛工大名電と対戦し、佐藤は4打数2安打と活躍を見せたが敗戦。
「全くダメでした。最後の夏も大事なところで打てなくて、チームに迷惑をかけてしまいました」

 これで佐藤の高校野球生活は終わったはず、だったが……。大学でプレーする準備をするため練習していた佐藤に想定外の事態が起こる。
第11回BFA U-18アジア選手権に出場する「侍ジャパンU-18代表」に選出された。本人にとっては正に「寝耳に水」だった。
「まさか僕が選ばれるとは思わなかったです。春も夏も甲子園に出ていないですし、こんなところにいていいのか?と思いました」

 メンバーのほとんどが夏の甲子園出場選手。不安を抱えたまま合宿を迎えた佐藤だったが、周囲の和やかさが緊張を解いた。大会では大車輪の活躍を見せた左腕・堀 瑞輝広島新庄・北海道日本ハムドラフト1位関連記事)がその筆頭格。
「人見知りでなかなかしゃべらないですけれど、慣れてくるとどんどんしゃべる奴で面白い奴だなと思いました」(佐藤)

 他のメンバーも、それぞれがキャラクターを持っていた。
履正社寺島 成輝(東京ヤクルトスワローズ1位指名関連記事)。九鬼 隆平(福岡ソフトバンクホークス3位指名関連記事)と松尾大河(横浜DeNAベイスターズ3位指名関連記事)の秀岳館コンビは、関西出身ということもあって面白かったですね。納 大地智辯学園関連記事)はいじられキャラ。最高のキャラをしていたのが藤嶋 健人東邦・中日ドラゴンズ5位指名関連記事)。アイツはいつも大きな声を出して盛り上げる良い奴なのですが、練習が終わってバスに乗っても、いきなり歌を歌いだすんです。面白い奴らばかりでしたね」

[page_break:「侍ジャパンU-18」の学びを胸に大学で飛躍する]

「侍ジャパンU-18」の学びを胸に大学で飛躍する

中京大学附属中京高等学校 佐藤 勇基選手「U-18代表入りして得た知識や経験を最大限活かしたい」【後編】 | 高校野球ドットコム

佐藤 勇基選手(中京大学附属中京高等学校)

 自分の力を最大限引き出してくれる仲間たちに囲まれた佐藤。同時に「侍ジャパンU-18」は、多くの学びを得る場所ともなった。特に印象深かったのは藤平 尚真横浜・東北楽天ゴールデンイーグルス1位指名関連記事)の意識である。
「彼は夜になると、いつも肘にサポーターをつける。食事もバイキング形式なのでに、好きなものばかりではなく、フルーツをいっぱい摂っていて、バランスよく食べているんですよね。そういう姿を見て『一流ってすごいな』と実感しました」

 高い志を持つ周囲から刺激を受け、佐藤も自らを見直し吸収。その効果は大会が進むにつれて形になってきた。
「凄い選手と混じっても守備には自信が持てたんですが、課題になったのは打撃。夏が終わってからは大学でのプレーを考えて、木製バットで練習をしていたのですが、それでも金属打ちがなかなか抜けきれなくて打てなかったんです。でも、代表入りしてからは他のメンバーの打撃を見たり、また大藤 敏行コーチから打撃フォームを指導してもらったりすることで、大会後半になるにつれて手ごたえを掴んできました」

 主に9番ショートとして出場し13打数5安打6打点。そしてファインプレーを堅実な守備に変える打球判断の速さでチームにリズムを与えた。そして侍ジャパンU-18は決勝において1対0で地元のチャイニーズ・タイペイに勝利しアジア制覇。ベストナイン遊撃手部門に選ばれたのは、「YUKI SATO」であった。「めっちゃ嬉しかったです」。それ以上のものを彼は得ることができた。

「本当に良い経験をさせてもらいました。球場の雰囲気、高校野球にはない試合の流れ。そして日本にないグラウンドコンディションでプレーし続けた経験は、今後の野球人生に生きる素晴らしい経験だったと思います」と振り返った佐藤は現在、大学進学へ向けて汗を流している。中でも重点的に取り組んでいるのは秋から引き続き「打撃」である。
「守備はある程度、手ごたえがありますので、今は打撃練習を中心に練習をしています。打撃のレベルを高めれば大学でも勝負できると思っています」

 進学先は全国の逸材が集まる法政大学の合格が決まった。再び、チャイニーズ・タイペイの空の下で共に戦った仲間たちと同じ舞台に、そして、かつてプロの世界で活躍した父の背中を追う道へ。飛躍を期して、今日も佐藤 勇基の努力は続く。

(インタビュー=河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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