昨年は球団ワーストとなる91敗を喫し、最下位に沈んだ西武が交流戦前で貯金4を作り、3位と健闘している。中でも昨年はパ・リーグワースト記録を更新するチーム打率.212と歴史的な貧打に苦しんだが、今年はリーグ3位となるチーム打率.238と大きな改善を見せている。たった1年でいかにして貧打を解消したのだろうか。

 まずは補強の成功が大きいと言える。ドラフト2位ルーキー・渡部 聖弥広陵大阪商業大)は開幕から左翼のレギュラーを掴み、打率.331、4本塁打、17打点と見事な成績を残している。ドラフト1位候補に挙がっていた選手を13番目の指名権を生かし、2位で指名することに成功した。

 外国人選手では、タイラー・ネビンが大当たり。昨年はヘスス・アギラー、フランチー・コルデロらがいたが、ほとんど機能しなかった。ネビンはすでにアギラー、コルデロを上回る成績を記録し、打率.271、5本塁打、26打点と主軸の役割を果たしている。

 また、昨年の後半戦から中堅のレギュラーに固定し、我慢強く起用を続けた西川 愛也花咲徳栄)が開花。今年は1番打者に定着し、打率.275、4本塁打、13打点、11盗塁と走攻守で躍動している。

 ドラフトや外国人の補強の成功、昨年に投資した若手選手の台頭が西武打線の躍進の要因に挙げられる。

 一方で、チーム本塁打はリーグ5位の24本塁打とまだまだ課題が残る。だが、二軍には、長打力が光る将来の主軸候補が多く控える。高卒5年目の仲三河 優太大阪桐蔭)は打率.302、7本塁打を記録し、プロ2年目の村田 怜音相可ー皇学館大)も打率3割超をマーク。ドラフト4位ルーキーの林 冠臣日南学園日本経済大)も打席数こそ少ないが、打率.412と猛打を発揮している。

 彼らが順調に育てば、2010年代後半に猛威を振るった“山賊打線”の再来もありそうだ。

※成績は6月2日終了時点