藤川球児新監督体制となった阪神が序盤から好調だ。6月1日終了時点で2位の巨人に2.5ゲーム差をつけて首位に立っている。その原動力の1つが、2020年のドラフト指名組だ。

 2020年のドラフト会議で阪神は、競合を覚悟で佐藤 輝明(仁川学院→近畿大)に入札。4球団競合となったが、見事、当たりくじを引き当てた。その佐藤輝はルーキーイヤーから24本塁打を放つ活躍を見せた。その後も主力として活躍し、昨年までの4年間で通算84本塁打を記録している。

 今年は例年以上に序盤から好調で、ここまで13本塁打は12球団トップの数字。昨年は第12号を放ったのが9月6日だったことを考えると、驚異的なペースだ。

 また、三塁だけでなく左翼や右翼と、チーム事情に応じて複数のポジションを守っている。岡田 彰布監督時代は三塁に固定されており、外野を守るのは矢野 燿大監督が指揮を執っていた2022年以来3年ぶりのこと。それでも鋭い返球を見せるなど、守備面に問題はなさそうだ。

 ドラフト1位の佐藤輝以外にも、投打にわたり主戦力が揃っている。野手では6位指名の中野 拓夢(日大山形→東北福祉大→三菱自動車岡崎)だ。中野も佐藤輝と同じく1年目からレギュラーとなり、今年も打率.304でリーグ2位につけている。不動の二塁手としてチームを支える存在だ。

 そして7位の髙寺 望夢上田西)が頭角を現しつつある。高卒で入団したこともあり、昨年までに一軍での実績は皆無。2年目に8試合出場はあったが、ここ2年は一軍出場がなかった。しかし、今年はすでに12試合に出場。5月13日のDeNA戦では9回2死から起死回生の同点ホームランを放ち、話題を呼んだ。レギュラー争いに加わるためにも、さらなるアピールが求められる。

 投手では5位の村上 頌樹智弁学園→東洋大)がエース格となった。2023年に彗星のごとく現れ、最優秀防御率のタイトルを獲得。MVPと新人王を同時受賞した右腕は、今年も9試合に登板し7勝1敗、防御率1.63と抜群の安定感を誇っている。

 8位の石井 大智(秋田高→高知ファイティングドッグス)も中継ぎの柱として活躍。1年目は18試合に登板し防御率6.23と苦しんだが、2年目以降は飛躍。直近2年はいずれも40試合以上に登板し、防御率は1.50を下回っている。今年もここまで22試合に登板し、防御率0.38と例年以上の成績を残している。岩崎 優(清水東→国士舘大)に繋ぐセットアッパーとして欠かせない存在だ。

 1年目から3年連続9勝以上を記録した2位の伊藤 将司横浜→国際武道大→JR東日本)は、昨年から不振が続いている。今年も一軍では1試合の登板にとどまっているが、実績があるだけに復調が期待される。

4位の榮枝 裕貴(高知→立命館大)は開幕一軍帯同しながらも試合に出ない時期がずっと続いたが、6月1日の広島戦で4月3日以来の出場となった。ここまで3試合に出場している。

3位の佐藤 蓮(飛龍→上武大)は現時点で一軍の実績がない。

ドラフト指名からわずか5年で、これだけの成果を上げた。まさに“神ドラフト”。彼らの今後のさらなる活躍にも期待したい。

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